雨の日の外出で、お子さまが傘をさせない、傘を持つと歩きにくそうにする、閉じたりたたんだりする場面で止まってしまうことはありませんか。
傘は大人にとって身近な道具ですが、未就学児にとっては見た目より難しい生活動作です。
片手で持ち続ける、前を見ながら歩く、人との距離を保つ、雨にぬれた傘を閉じる、ベルトでまとめる。こうした動きがいくつも重なるため、発達が気になるお子さまにとっては負担が大きくなりやすい場面です。
「ちゃんと傘を持って」と伝えても、本人はどう持てばよいのか、どこを見て歩けばよいのか、閉じた後に何をすればよいのかがわからず困っていることがあります。
このページでは、傘をさせない未就学児に見られやすい姿、傘の操作を苦手に感じやすい理由、雨の日の外出で必要な持つ・歩く・たたむ練習を、児童発達支援事業所ゆめラボの家庭療育の視点からお伝えします。
INDEX
傘をさせないときは、まず「傘のどの動作でつまずいているのか」を見ます。
傘を開くことが難しい子もいれば、開いた傘を持ち続けることが苦手な子もいます。歩き始めると傘が傾く、前が見えなくなる、閉じた傘を引きずってしまうなど、止まりやすい場面は一人ひとり違います。
雨の日は大人も急ぎやすい時間です。だからこそ、外出当日に叱りながら練習するのではなく、どの動作でつまずいているのかを普段の中で見つけておくことが大切です。
傘をさすには、片手で柄を握り、傘の向きを保ちながら歩く必要があります。
未就学児の中には、傘を開くことはできても、開いたまま同じ向きで持ち続けることが難しい子がいます。歩いているうちに傘が前に倒れる、後ろに傾く、近くを歩く人に当たりそうになる場合は、握る力だけでなく、腕やからだのバランスも関係していることがあります。
この場合は、いきなり雨の日に歩かせるより、家の中や玄関先で、短い時間だけ傘を持つ練習から始める方が取り組みやすくなります。
傘をさすと歩きにくくなる子は、前や足元が見えにくくなっている場合があります。
傘を低く持ちすぎると視界が隠れます。反対に、高く持とうとすると腕に力が入り、すぐ疲れてしまうことがあります。雨の日は地面も見えにくく、水たまりや段差、車や自転車にも注意が必要です。
傘を持つ位置が合っていないと、本人はまじめに歩いているつもりでも、歩行中の危険が増えます。まずは「前が見えているか」「足元が見えているか」を大人が横から確認してあげると、練習するポイントが見えやすくなります。
傘の難しさは、さしている時間だけではありません。
建物に入る前に閉じる、しずくを落とす、ベルトで留める、持ち歩くという動作も必要です。特に未就学児の場合、閉じた傘の持ち方がわからず、先端を後ろに向けたり、地面に引きずったりすることがあります。
傘をたたむ動作で毎回止まる場合は、手先の不器用さだけでなく、濡れた傘に触る不快感や、手順の多さが負担になっていることもあります。
未就学児が傘をさせないとき、大人は「練習不足かな」と考えがちです。
もちろん経験の少なさも関係しますが、それだけではありません。傘は片手で扱う道具であり、雨の日は音、風、視界、足元、濡れる感覚など、子どもが気にすることが一気に増えます。
発達が気になるお子さまの場合、こうした負担が重なり、傘を持つことや歩くことに集中しにくくなることがあります。
傘を持つと、片手がふさがります。
普段は両手を使ってバランスを取っているお子さまにとって、片手で傘を持ちながら歩くことは難しい動作です。傘の重さや風の抵抗も加わるため、からだが傾いたり、歩く方向がずれたりすることがあります。
特に、まだ体幹や足元の踏ん張りが育つ途中のお子さまは、傘をまっすぐ持つことに力を使い、歩くことまで意識が向きにくくなります。傘の操作は手だけでなく、体全体の使い方とつながっています。
雨の日は、傘に当たる雨音、車の音、風の音、人の声などが重なります。
音や動きに敏感なお子さまは、傘を持つことよりも雨音や風の感覚に意識が向いてしまうことがあります。反対に、音の中で大人の声に気づきにくくなり、「止まって」「こっちだよ」という声かけに反応しにくくなることもあります。
雨の日に傘をさせない姿は、手先の問題だけではありません。周囲の音や風の刺激が多く、普段よりも負担が増えている状態かもしれません。
傘には、開く、持つ、歩く、閉じる、まとめる、ベルトで留めるという複数の手順があります。
一つひとつは小さな動作に見えても、未就学児にとっては順番を覚えながら手を動かす必要があります。特に、濡れた傘をまとめる場面では、手が濡れる、傘の布が広がる、ベルトの位置が見つからないといった負担が重なります。
一度に全部できるようにしようとすると、子どもも大人も疲れてしまいます。開く練習、閉じる練習、ベルトで留める練習を分けることで、取り組みやすくなります。
雨の日の外出では、手や服が濡れる、足元が冷たい、傘に雨が当たる音が続くなど、感覚の負担が増えます。
濡れることが苦手なお子さまは、傘をさす前から外出そのものに不安を感じている場合があります。傘を閉じた後に濡れた布に触ることを嫌がり、たたむ動作が止まることもあります。
このような場合は、無理に慣れさせるのではなく、どの感覚が苦手なのかを見ながら、触る時間を短くする、タオルを用意する、濡れていない傘で練習するなどの工夫が必要です。
傘の練習は、雨の日だけに行う必要はありません。
むしろ、雨の日は音や風、濡れる感覚が加わるため、初めての練習には向いていないことがあります。家庭療育では、落ち着いている時間に、短く、動作を分けて練習することが大切です。
傘をさす練習は、持つ、立つ、歩く、止まる、閉じるという順番で、少しずつ経験を増やしていきます。
最初は、実際に歩く前に、傘を持つ姿勢から始めます。
傘を開かずに柄を持つ、開いた傘を大人と一緒に支える、鏡の前で持ち方を確認するなど、短い時間で十分です。家の中で行う場合は、周囲に物が少ない場所を選びます。
このとき、「もっと上」「ちゃんと持って」と何度も言うより、「前が見える高さだね」「両足で立てているね」と、今できている動きを伝える方が次の行動につながりやすくなります。
傘を持てるようになったら、短い距離をまっすぐ歩く練習に進みます。
玄関から部屋の入口まで、廊下の端から端までなど、距離は短くてかまいません。大切なのは、傘を持ったまま前を見て歩き、止まる場所がわかることです。
歩く距離が長すぎると、途中で傘が傾いたり、足元への注意が抜けたりしやすくなります。まずは数歩で終わる距離から始め、できる日だけ少しずつ伸ばしていきます。
傘は、持ち方によって周囲に当たりやすい道具です。
開いた傘だけでなく、閉じた傘も先端の向きに注意が必要です。人の顔や体に向けない、後ろに振らない、歩くときに横へ大きく動かさないなど、雨の日の外出では安全に関わる動きになります。
未就学児には、言葉だけで「危ない」と伝えてもイメージしにくいことがあります。大人が横に立ち、「傘の先は下」「人の方に向けない」と短い言葉で伝え、実際の動きの中で経験を重ねます。
雨が止んだ後や建物に入る前には、閉じた傘を持ち歩く場面があります。
このとき、傘を地面に引きずる、先端を後ろに向ける、横に振るといった姿が見られることがあります。閉じた傘は軽く見えますが、長さがあるため、未就学児には扱いにくい道具です。
家の中では、閉じた傘を体の横で持つ、先端を下へ向ける、短い距離だけ運ぶ練習から始めます。外で使う前に、持ち歩き方を先に経験しておくと、雨の日の混乱を減らしやすくなります。
傘をさすことはできても、たたむ場面で止まるお子さまは少なくありません。
傘を閉じる、布をまとめる、ベルトを探す、留めるという手順は、手先の動きと見通しが必要です。さらに雨の日は、傘が濡れていて触りたくない、急いで建物に入りたい、人が後ろから来るなど、焦りやすい条件も重なります。
家庭療育では、たたむ動作を一つの課題として見て、できない工程だけを分けて練習していきます。
傘をたたむ練習では、閉じる動きとベルトで留める動きを分けます。
傘を閉じるだけならできるのに、布をまとめるところで止まる子もいます。ベルトの位置が見つからない、片手で押さえながら留めることが難しい、ボタンや面ファスナーを扱いにくいという場合もあります。
最初から最後まで一人でやらせるのではなく、「今日は閉じるところまで」「今日はベルトを見つけるところまで」と分けると、子どもが取り組む部分がはっきりします。
雨の日の本番でたたむ練習を始めると、濡れる不快感や周囲の慌ただしさでうまくいかないことがあります。
まずは濡れていない傘を使い、家の中で手順を確認します。閉じる、布を寄せる、ベルトを巻く、留めるという流れを短く練習します。
濡れていない状態で流れがわかっていると、雨の日にも大人の短い声かけで動きやすくなります。苦手なお子さまには、たたみやすい軽い傘や、ベルトの位置が見えやすい傘を選ぶことも助けになります。
傘の操作は、全部を子ども一人でできるように急ぐ必要はありません。
開くことは子どもが行い、向きの調整は大人が手伝う。閉じることは子どもが行い、ベルトで留めるところだけ大人が手伝う。このように、できている部分と手伝う部分を分けると、子どもの負担を減らせます。
大切なのは、できない部分を責めることではなく、雨の日の外出を安全に進めることです。家庭での練習と大人の手伝いを組み合わせながら、少しずつ自分でできる動作を増やしていきます。
傘をさせない未就学児への家庭療育では、傘を持つ、前を見て歩く、閉じる、たたむという動作を分けて見ていくことが大切です。
雨の日の外出でうまくいかないとき、子どもはわざと困らせているのではなく、片手で持つこと、視界を保つこと、雨音や風の中で歩くこと、濡れた傘を扱うことに負担を感じている場合があります。
家の中で傘を持つ姿勢から始める、短い距離を歩く、傘の先を人に向けない、閉じた傘を引きずらずに持つ、濡れていない傘でたたむ手順を練習する。こうした小さな経験が、雨の日の外出で必要な力につながっていきます。
また、強い雨や風の日、人の多い場所、車や自転車の通行が多い道では、無理に傘だけに頼らず、レインコートや長靴、大人の手伝いも組み合わせて安全を守ることが必要です。
傘の操作だけでなく、道路や駐車場で急に走り出す、手をつなぐことを嫌がる、外出先で待てないといった様子がある場合は、子どもが道路や駐車場に飛び出すのはなぜ?発達が気になる未就学児の安全対策も参考になります。
児童発達支援事業所ゆめラボでは、未就学児のお子さまの生活動作や外出時の困りごとについて、ご家庭での様子を伺いながら、お子さまに合う関わり方を一緒に考えています。
雨の日の外出で傘をさせない、傘を持つと歩きにくい、たたむ場面で毎回止まるなどの困りごとが続く場合は、ご家庭だけで抱え込まず、ゆめラボへご相談ください。
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