気がつくと服の襟や袖を噛んでいる。タオルやハンカチを口に入れる。おもちゃや身の回りの物まで、手に取るとすぐ口へ運んでしまう。
こうした姿が続くと、「どうして何でも噛むのだろう」「もう赤ちゃんではないのに大丈夫?」「自閉症や発達障害と関係があるの?」と気になる保護者の方もいるのではないでしょうか。
赤ちゃんの時期には、物を口に入れて形や感触を確かめることは珍しくありません。一方、幼児期になっても服やタオルを繰り返し噛む、危険な物まで口に入れる、食べ物ではない物を飲み込もうとするといった場合には、年齢だけでなく、いつ、何を噛んでいるのかにも目を向けます。
噛む行動の背景には、口やあごに刺激を求めている、噛むと落ち着く、緊張したときに無意識に口へ運ぶなど、子どもによって異なる理由があります。
このページでは、服やタオルを噛む子、何でも口に入れる子に見られる様子、口の感覚を求める理由、年齢による見方、自閉症や発達障害との関係、家庭でできる安全な代替遊び、誤飲に注意したい物、相談を考えたい目安について、児童発達支援事業所ゆめラボが解説します。
INDEX
「何でも口に入れる」といっても、子どもによってよく噛む物や場面は異なります。柔らかい布を好む子もいれば、鉛筆やおもちゃなど硬い物を噛みたがる子もいます。
また、一日中噛んでいるように見えても、よく見るとテレビを見ているとき、考え事をしているとき、眠いときなど、特定の場面に偏っていることがあります。
服を噛む子では、襟元を口まで引っ張って噛む、袖口を吸う、パーカーのひもを口へ入れるなどの姿が見られます。同じ場所を繰り返し噛むため、服がいつも濡れていたり、布が傷んだりすることもあります。
服は身につけているため、特別に探さなくてもすぐ口へ運べます。そのため、暇なとき、何かを待っているとき、集中しているときなどに、気づかないうちに噛んでいる子もいます。
「服を噛む癖」として止めることだけを考えるのではなく、どの時間帯や活動で増えるのかを見ると、理由を探しやすくなります。
タオルやハンカチの端を噛む、口に含んだまま過ごす、寝る前に吸うといった子もいます。柔らかい布の感触や、いつも使っている物に触れることが安心につながっている場合もあります。
特に、眠いときや疲れたときだけタオルを噛むのであれば、その子にとって気持ちを落ち着ける行動になっていることがあります。
一方、布を噛み切って繊維を飲み込む、口いっぱいに入れるといった場合は、単なる癖として見守らず、安全面を優先します。
積み木、人形、ミニカー、鉛筆、消しゴムなど、手元にある物を次々と口へ運ぶ子もいます。おもちゃで遊んでいる途中に口へ入れる子もいれば、考え事をしながら鉛筆の端を噛み続ける子もいます。
小さな子どもでは、見る、触るだけでなく、口でも物を確かめることがあります。ただし、年齢が上がっても頻繁に続き、小さな部品や危険な物まで口へ入れてしまう場合には、安全対策が必要です。
特に小さな部品が外れるおもちゃや、電池を使う製品は、噛むことで破損しないかも確認しておきます。
物だけでなく、指を噛む、手を口の奥まで入れる、爪や指先を繰り返し噛む子もいます。
指や手はいつでも使えるため、不安になったときや待ち時間などに口へ運ぶことがあります。また、本人が噛んでいることを意識していない場合もあります。
強く噛んで傷ができる、皮膚が赤くなる、出血するほど続く場合は、口の感覚だけでなく、行動が強くなる場面も含めて小児科や児童発達支援事業所へ相談する目安になります。
「それは噛まないよ」と伝えて口から出しても、少しすると別のおもちゃや服を噛んでいることがあります。
このような場合、子どもが大人の言葉を理解していないとは限りません。「この物は噛まない」というルールはわかっていても、噛む感覚を求めていれば、別の物へ移ることがあります。
繰り返し注意するだけで変わりにくいときは、「何を噛んだか」だけでなく、噛んだあとに落ち着くのか、集中しやすくなるのかまで見てみます。
子どもが物を噛む理由は一つではありません。口の感覚を求めている場合もあれば、緊張や退屈、集中しているときの癖として出ていることもあります。
同じ子でも、場面によって理由が変わることがあります。「感覚を求めているから」と一つに決めず、行動が出る前後を見ていきます。
口の中やあごに強い刺激が入ることを好み、物を噛む子がいます。柔らかい物ではなく、ある程度抵抗のある物を何度も噛みたがる場合もあります。
口やあごへの刺激を好む子は、柔らかい物より、噛んだときに抵抗を感じる物を選ぶことがあります。
服やおもちゃを噛む以外にも、クッションへ体を押しつける、押す・引く遊びを好むなど、体に強い刺激を求める姿が一緒に見られることもあります。
眠いとき、不安なとき、初めての場所へ行ったときなどに、噛む行動が増える子もいます。
本人にとって、いつもと同じ物を噛むことが気持ちを落ち着ける方法になっている場合があります。タオルや服など、決まった物を選ぶ子では、その傾向が見えやすいことがあります。
この場合は、突然すべて取り上げるより、どのようなときに不安が強くなるのかを確認し、別の落ち着き方も少しずつ増やします。
テレビを見ている、絵本を読んでいる、机に向かっている、車で移動しているなど、体の動きが少ない時間に噛み始める子もいます。
反対に、難しい課題へ集中するときだけ鉛筆を噛む子もいます。本人に「どうして噛むの?」と聞いても、「わからない」と答えることがあります。
無意識に出ている行動では、理由を言葉で聞くだけではわかりません。いつ、どこで、何をしていたときに増えたかを見る方が、背景をつかみやすくなります。
小さな子どもは、手で触るだけでなく、口も使って物の特徴を確かめます。硬い、柔らかい、冷たい、ざらざらしているといった違いを、口で感じ取っている時期があります。
特に赤ちゃんから幼児期前半では、手に取った物を口へ運ぶこと自体は珍しい行動ではありません。
ただし、成長とともに見る、触る、遊ぶといった確かめ方が増えていきます。幼児期になっても口で確かめることが中心で、危険な物まで区別なく口へ入れる場合には、安全を守りながら背景を見ます。
保育園や幼稚園へ行く前、新しい活動へ参加するとき、人が多い場所にいるときなどに、服を噛む回数が増える子もいます。
普段はほとんど噛まないのに、予定が変わった日だけ袖口を噛み続けるのであれば、感覚刺激そのものだけでなく、不安や緊張との関係も考えます。
そのようなときは、「噛まない」と注意することより、次に何をするのかを先に伝える、静かな場所で少し休むなど、緊張を和らげる関わりも取り入れます。
「何歳までなら口に入れても大丈夫なのか」と気になる方もいますが、年齢だけで問題の有無を分けることはできません。
赤ちゃんが物を口へ運ぶことと、幼児が食べ物ではない物を繰り返し飲み込もうとすることでは、見方が異なります。
赤ちゃんは、手に取った物を口へ運びながら、その物を確かめていきます。まだ指先だけで細かな違いを調べることが難しい時期には、口も大切な探索の手段になります。
そのため、生後数か月頃からおもちゃや自分の手を口へ入れること自体は、発達の中でよく見られます。
この時期は、「口に入れることをやめさせる」より、口へ入っても危険のない大きさや素材のおもちゃを選び、誤飲しそうな物を周囲からなくすことが重要です。
1歳、2歳頃でも、興味を持った物を口へ運ぶことがあります。ただ、成長すると、見る、振る、重ねる、転がす、指先で触るなど、物を確かめる方法も増えていきます。
以前は何でも口へ入れていた子が、少しずつ口へ入れる以外の遊び方をするようになることもあります。
同じ年齢でも個人差があるため、2歳で物を口へ入れるという行動だけで発達上の問題とは判断しません。頻度が減っているか、危険な物を避けられるようになっているか、遊び方が広がっているかも見ます。
3歳、4歳、5歳頃になっても、一日の中で何度も身の回りの物を口へ入れる場合には、物を確かめる探索行動だけでなく、感覚や不安、習慣など別の理由も考えます。
この時期に服やタオルを噛み続けている場合は、口の刺激を求めている、気持ちを落ち着かせている、緊張する場面で増えるなど、その子なりの理由を探します。
年齢が上がるほど、鉛筆、工作用品、小さなおもちゃなど、口へ入れると危険な物に触れる機会も増えます。行動の理由を考えることと、安全な環境をつくることを同時に進めます。
同じ4歳でも、眠いときだけタオルの端を噛む子と、床に落ちている小さな物まで一日中口へ入れる子では、必要な対応が異なります。
見るポイントは、年齢だけではありません。頻度、口へ入れる物、飲み込むことがあるか、園生活へ影響しているか、ほかの発達面で気になることがあるかを合わせて考えます。
「何歳だから大丈夫」「何歳だから発達障害」と線を引かず、生活への影響と誤飲などの安全面をあわせて見ます。
服を噛む、何でも口へ入れる姿が続くと、「自閉症や発達障害のサインなのでは」と心配になることがあります。
ASD(自閉スペクトラム症)など発達に特性のある子の中には、口へ物を入れたり噛んだりする子もいます。ただし、この行動一つで自閉症や発達障害と判断することはできません。
服を噛む、指を口へ入れる、おもちゃを噛むといった行動は、ASDのない子にも見られます。
噛む行動には、年齢、習慣、気持ちの状態、感覚の好みなど、さまざまな要素が関わります。
自閉症や発達障害について考える場合も、噛む行動だけではなく、ことば、人とのやり取り、遊び方、こだわり、日常生活での困りごとなどを合わせて見ます。
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもの中には、音、光、触った感触、におい、体の動きなどの受け取り方に特徴がある子がいます。
口の感覚についても、少しの刺激を強く感じる子がいる一方で、強く噛んだり押したりする刺激を好む子もいます。
ただし、ASDのある子ども全員が物を噛むわけではなく、同じ診断名でも感覚の感じ方は一人ひとり異なります。
口の感覚を強く求める子がいる一方、特定の食感を嫌がる、歯みがきを嫌がる、顔へ触られることを避けるなど、口や顔まわりの刺激を苦手とする子もいます。
さらに、一人の子の中で「強く噛む刺激は好きだけれど、歯ブラシは嫌い」といった違いが見られることもあります。
感覚の感じ方を「感覚過敏」「感覚鈍麻」の二つだけに分けず、どの刺激なら受け入れやすく、どの刺激を自分から求めているのかを見ることが大切です。
感覚の受け取り方について詳しく知りたい方は、感覚鈍麻とは?自閉症の感覚過敏との違い・主な症状・支援の工夫もあわせてご覧ください。
服を噛むことに加えて、ことばがなかなか増えない、人とのやり取りが続きにくい、遊び方が限られている、予定が変わると強く崩れるなど、ほかにも気になる姿がある場合があります。
反対に、服を噛むこと以外には特に困りごとがなく、特定の場面だけに出ていることもあります。
噛む行動だけを自閉症のサインとして扱わず、日常生活全体の様子をあわせて見ることで、その子に合う関わり方を考えやすくなります。
感覚探求とは、自分が心地よく感じる刺激や、もっと感じたい刺激を自分から求める行動のことで、「感覚探し」と呼ばれることもあります。
口だけでなく、ジャンプを繰り返す、強く押す、回る物を見続けるなど、求める刺激によって行動は変わります。
口の感覚を求める子では、噛むだけでなく、物をなめる、吸う、口の中で転がすといった行動が見られることがあります。
同じ「口に入れる」行動でも、好んでいる感覚が異なる場合があります。柔らかい布を吸う子と、硬い物を奥歯で噛む子では、求めている刺激も同じとは限りません。
代わりの方法を考えるときも、一つの遊びですべて置き換えようとせず、普段どのような物をどのように口へ入れているかを見ます。
奥歯で何度も物を噛む子では、噛んだときのあごへの圧や抵抗感を好んでいる場合があります。
柔らかい布より、鉛筆やおもちゃなど硬い物を選ぶ場合には、噛んだときの抵抗感を好んでいることがあります。
ただし、硬い物を自由に噛ませるのは危険です。歯を傷める物、壊れて破片が出る物、口の奥へ入る細長い物は避け、安全を優先します。
口の刺激を求める子でも、噛むだけとは限りません。冷たい物を好む、味の濃い物を好む、ストローで飲むことを好むなど、日常の中に別の形で表れていることがあります。
また、口ではなく、走る、跳ぶ、押す、狭い場所へ入るといった体の動きとして強い刺激を求める子もいます。
「口の刺激だけを求めている」と決めず、遊び方や普段の体の動きも含めて見ていきます。
子どもが刺激を求めて噛んでいる場合、服だけを取り上げても、次にタオル、おもちゃ、指などを噛み始めることがあります。
このようなときは、「服を噛むこと」だけを問題にしても解決しにくくなります。噛みたくなる場面と、噛んだあとに落ち着くのか、集中しやすくなるのかを見てみます。
感覚を求める行動全体と安全な代替方法については、子どもがくるくる回るのはなぜ?発達障害との関係と家庭での対処法でも紹介しています。
服やタオルを噛む行動が気になると、「また噛んでいるよ」「口から出して」と一日何度も注意してしまうことがあります。
危険な物を噛んでいるときはすぐに止める必要がありますが、安全に関わらない場面では、注意の回数を増やすより、噛む時間帯やきっかけを見つける方が対策を考えやすくなります。
本人が無意識に噛んでいる場合、「やめなさい」と言われても、次にどうすればよいかわかりません。
不安なときに噛んでいる子の場合も、叱るだけでは噛みたくなる理由そのものは変わりません。
危険がなければ、まずは短く「これは口から出そう」と伝え、必要であれば別の活動へ誘います。危険な物については、本人の我慢だけに任せず、最初から触れにくい場所へ移します。
服、タオル、おもちゃと、噛む物が毎回違っていても、行動が出る場面には共通点があることがあります。
朝の登園前、テレビを見ているとき、課題へ集中しているとき、眠くなる時間など、噛み始める場面を数日間意識して見てみます。
「毎日夕方になると増える」「初めての予定の前に増える」とわかれば、疲れや緊張への対応を先に考えられます。
噛む直前に何があったかだけでなく、噛んだあとに子どもがどうなったかも見ます。
噛んだあとに落ち着く様子があるなら、気持ちを静めるために噛んでいる可能性があります。机に向かっている間だけ噛んでいるのであれば、集中するときの習慣になっていることも考えられます。
保護者だけでわかりにくい場合は、園にも「どんな時間に噛んでいますか」と聞いてみましょう。家庭と園で共通する場面が見つかることがあります。
何でも口へ入れる子に、「危ないから入れないで」と伝えるだけでは事故を防げないことがあります。
ボタン電池、磁石、薬、小さな部品、硬貨などは、子どもから見えず、手が届かない場所へ置きます。電池を使うおもちゃは、電池部分が簡単に開かないかも確認します。
「もう4歳だから大丈夫」と年齢だけで判断せず、その子が実際に口へ物を入れるかどうかに合わせて環境を変えます。
噛むことで落ち着いている子には、無理にすべてやめさせるより、別の落ち着き方を増やします。
静かな場所へ移動する、クッションを抱く、好きな音楽を聞く、体を動かすなど、口を使わない方法で落ち着ける子もいます。
何が合うかは子どもによって異なります。噛む回数だけを減らそうとせず、本人が安心して過ごせる方法の選択肢を増やします。
代替遊びは、「服の代わりにこれを噛ませればよい」という考え方だけではありません。口を動かす、息を使う、体全体を動かすなど、その子が楽しめる活動の中から選びます。どの活動も噛む行動を必ず減らすものではないため、子どもの反応を見ながら取り入れます。
年齢や発達段階によって安全にできる遊びは異なるため、大人がそばで見守り、できることから取り入れます。
すでにストローで安全に飲める子であれば、普段の水分補給でストローを使うことも、口や唇を使う経験になります。
ただし、ストローをくわえたまま歩いたり走ったりするのは危険です。座った状態で使い、遊び終わったら片づけます。
「噛みたいときは必ずストローを使う」と決めるのではなく、口や唇を使う活動の一つとして取り入れます。
息を「ふう」と吐く遊びも、口まわりを使う経験になります。シャボン玉や吹き戻しは、遊びながら息の出し方を変えられる活動です。
シャボン玉液を吸い込む可能性がある子には使用せず、吹くことを理解できる年齢から大人と一緒に行います。
安全に遊べるかどうかを優先し、口へ入れてしまう可能性が高い場合は、別の遊びを選びます。
普段の食事でも、やわらかい、少し歯ごたえがある、なめらかなど、食感の違いを経験できます。
ただし、服を噛む代わりとして硬い食べ物を与える方法ではありません。年齢や噛む力、飲み込む力に合わない食材は窒息につながるため、子どもが普段から安全に食べられている範囲で選びます。
むせが多い、丸のみが多い、噛むこと自体が苦手など、食べ方にも気になる様子がある場合は、家庭だけで食材の硬さを変えず、専門職へ相談してください。
噛む行動があるからといって、口だけへ刺激を入れる必要はありません。
粘土をこねる、クッションを押す、トンネルをくぐる、タオルを引っ張り合うなど、手や体に力を使う遊びを好む子もいます。
体を使って遊んだあとに服を噛む回数が少なくなるなど変化がある場合は、その子が求めている感覚を知る手がかりになります。
ほかの子に合った方法が、自分の子にも合うとは限りません。ストローを好む子もいれば、口を使う遊びより体を動かした方が落ち着く子もいます。
また、口へ入れる物は衛生面や誤飲にも注意が必要です。家庭にある物を自己判断で「噛む専用」にするのではなく、壊れないか、小さな部品が外れないか、口の奥まで入らないかを確認します。噛むために作られた市販品を使う場合も、対象年齢や使用方法を守り、傷や亀裂が出たら使用を中止します。
遊びを増やしても危険な物を噛む行動が続く場合は、家庭だけで試行錯誤を続けず、児童発達支援事業所や医療機関などへ相談します。
何でも口へ入れる子では、「なぜ噛むのか」を考える前に、安全を守らなければならない場面があります。
特に、小さな物、電池、磁石、薬、棒状の物は、子どもの手が届かない場所へ移します。
小さなおもちゃ、ブロックの部品、ビーズ、アクセサリー類などは、口へ入れたまま誤って飲み込む危険があります。
おもちゃ本体が大きくても、噛んだことで一部が外れることがあります。口へ物を入れる子が使うおもちゃは、遊ぶ前に破損していないか確認します。
きょうだいがいる家庭では、上の子のおもちゃにも小さな部品が含まれるため、保管場所を分ける必要があります。
ボタン電池やコイン形電池は、飲み込むと食道などを傷つける危険があります。複数の強力な磁石を飲み込んだ場合も、体の中で磁石同士が引き合い、腸を傷つけるおそれがあります。
これらは「口へ入れたら注意する」のでは遅いため、最初から子どもが触れられない場所へ保管します。
ボタン電池を飲み込んだ可能性がある場合は、何も飲ませず、吐かせず、至急医療機関を受診します。磁石も誤飲した可能性がある場合は、症状がなくても直ちに医師の診察を受けてください。
鉛筆、箸、ストローなど細長い物をくわえたまま歩いたり走ったりすると、転んだ際に口や喉を傷つける危険があります。
普段から鉛筆を噛む子では、席を立つときにも口に残したままになることがあります。
机で使う物は座って使い、立つ前に口から出すという流れを大人と一緒に身につけていきます。
タオル、服、紙などを噛むだけでなく、ちぎった物を飲み込む場合は注意が必要です。
食べ物ではない物を1か月以上繰り返し食べ、その行動が発達段階からみて不相応な場合は、異食症と診断されることがあります。2歳未満では、物を口に入れることが発達の中でよく見られるため、通常は異食症と診断されません。
紙、布、土、髪の毛などを繰り返し食べる様子がある場合は、「口の感覚を求めているだけ」と考えず、小児科などへ相談してください。
プラスチック製品やおもちゃは、何度も強く噛むことで亀裂が入り、破片が取れることがあります。
いつも噛んでいるから大丈夫と思わず、歯形が深くついている物、裂け始めている物、部品が緩んでいる物は使用をやめます。
安全な代替方法を用意する場合も、一度選んだら終わりではなく、傷みや破損がないか定期的に確認することが必要です。
服を噛むこと自体があるからといって、すぐに療育や医療が必要になるわけではありません。
ただし、頻度が高い、危険な物まで口へ入れる、園生活へ影響している、食べ物ではない物を飲み込むといった場合は、小児科や児童発達支援事業所へ相談する目安になります。
幼児期になっても、遊んでいる間、待っている間、移動中など、一日のさまざまな場面で何度も物を口へ入れる場合は、よく噛む物や場面を小児科や児童発達支援事業所へ伝えて相談します。
相談するときは、「何でも口に入れます」だけでなく、よく噛む物、時間帯、場所、噛む前の様子を伝えます。
園でも同じ行動がある場合は、家庭と園の両方の様子がわかると、共通する場面を見つけやすくなります。
食べ物とおもちゃの違いはわかっていても、興味を持つと反射的に口へ運んでしまう子がいます。
電池、磁石、小さな部品、薬など、重大な事故につながる物まで口へ入れる場合は、注意だけに頼らず環境を変えます。
安全対策をしても危険な行動が続く場合は、どのようなときに口へ運びやすいのかを小児科や児童発達支援事業所へ相談します。
服が常に濡れて着替えが必要になる、園で教材を何度も噛む、集団活動中も物を口から離せないなど、生活への影響が大きくなることがあります。
本人が周囲から繰り返し注意され、活動へ参加しにくくなっている場合も相談の目安になります。
「噛む癖をなくす」ことだけを目標にせず、本人が安全に過ごせる方法を考えます。
物を口へ入れて感触を確かめるだけではなく、紙、布、土、髪の毛などを繰り返し飲み込もうとする場合は、小児科などへ相談します。
食べ物ではない物を繰り返し食べる場合は、医療機関で栄養状態や合併症の有無を確認することがあります。
飲み込んだ物によっては、消化管のつまりや中毒などにつながることもあるため、家庭だけで「噛みたいだけ」と判断しないことが大切です。
何でも口へ入れることに加えて、ことばが増えにくい、名前を呼んでも反応が少ない、遊び方が限られている、音や触感を強く嫌がるなど、ほかにも気になる様子がある場合があります。
一つひとつだけを見ると小さなことでも、複数の困りごとが重なると、家庭や園で過ごしにくくなることがあります。
診断があるかどうかにかかわらず、「この関わり方でよいのかな」と気になっている段階から相談できます。
服の襟や袖、タオルを噛む、何でも口に入れる行動には、口の中に刺激がほしい、噛むことで落ち着く、集中すると無意識に口へ運ぶ、物の特徴を口で確かめているなど、さまざまな理由があります。
赤ちゃんの時期に物を口へ入れることは発達の中でよく見られます。一方、幼児期になっても頻繁に続く、危険な物まで口へ入れる、食べ物ではない物を飲み込むといった場合には、年齢だけでなく、頻度や安全面、日常生活への影響もあわせて見ます。
家庭では、「噛んではダメ」と繰り返すだけでなく、いつ噛みやすいのかを確認し、危険な物を遠ざけたうえで、ストローで飲む、息を使って遊ぶ、体を動かすなど、安全に取り入れられる活動を試します。
児童発達支援事業所ゆめラボでは、物を噛むという行動だけを見るのではなく、どの場面で増えるのか、どのような感覚を好んでいるのか、ことばや遊び、体の使い方なども見ながら、お子さま一人ひとりに合わせた個別療育を行っています。
服やタオルを噛む行動が続いている、何でも口に入れてしまい安全面が心配、感覚や発達について相談したいという方は、ゆめラボへお問い合わせください。
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