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療育コラム

2025.08.04

子どもにイライラしてしまう保護者へ|怒る前後の対処法と発達特性の見方

 

「また怒ってしまった」「本当はこんな言い方をしたくなかったのに」と、子どもが寝たあとに落ち込んでしまうことはありませんか。

 

朝の支度が進まない、食事中に何度も席を立つ、片付けを嫌がる、同じことを何度伝えても動けない。毎日の中で似た場面が続くと、子どもにイライラしてしまう自分を責めてしまう保護者の方は少なくありません。

 

特に発達が気になるお子さまとの関わりでは、気持ちの切り替えに時間がかかったり、言葉だけでは伝わりにくかったり、予定変更への不安が強く出たりすることがあります。そのため、保護者の方が「早くしてほしい」「今はこれをしてほしい」と思う場面ほど、親子でぶつかりやすくなります。

 

大切なのは、イライラしない親を目指すことではありません。怒る前に一呼吸おく方法、怒ってしまった後に親子関係を戻す方法、そして子どもの特性に合った伝え方を増やすことです。

 

このコラムでは、子どもにイライラしてしまう保護者の気持ちを否定せずに、児童発達支援事業所ゆめラボの視点から、家庭で取り入れやすい対処法と発達特性の見方をお伝えします。

子どもにイライラしてしまうのはなぜ?親が悪いと決めつけない

 

子どもにすぐイライラしてしまうとき、保護者の方は「自分の心が狭いのでは」「もっと優しく言えたはず」と考えがちです。

 

ただ、イライラは一つの出来事だけで急に生まれるものではありません。睡眠不足、仕事や家事の負担、時間に追われる生活、次に何が起きるかわからない不安が積み重なることで、ある場面をきっかけに一気にあふれます。

 

発達が気になる子の子育てでは、子どもの行動の理由が見えにくく、周囲にも伝わりにくいため、保護者の方だけが抱え込んでしまうことがあります。まずは、親が悪い、子どもが悪いと決めつける前に、どの場面でイライラが強くなるのかを確認することが必要です。

何度言っても伝わらない場面が続いている

「靴を履いてね」と言っても動かない。「片付けようね」と伝えても遊び続ける。「ご飯の時間だよ」と呼んでも席に来ない。こうした場面が毎日続くと、保護者の方は「どうして何度言ってもわからないの」と感じやすくなります。

 

ただ、子どもにとっては、言葉が聞こえていても意味をすぐに行動へ移せないことがあります。遊びに集中していて大人の声が入りにくい、次にすることのイメージが持てない、今していることを終わりにする見通しが持てないなど、動けない理由は一つではありません。

 

児童発達支援の現場では、「言ったのにやらない」と見る前に、「どの言葉で止まっているのか」「何を見れば動きやすいのか」「切り替えの前に何が必要なのか」を確認します。理由を確認できると、叱る回数を増やすのではなく、伝え方を変えて切り替えやすくなります。

急がせたい時間ほど余裕がなくなる

朝の登園前、仕事に出る前、病院や習い事に向かう前など、時間が決まっている場面ほど親のイライラは強くなります。

 

子どもがゆっくり着替えている、靴下の感触を嫌がっている、玄関で急に別のおもちゃを出している。保護者の方は時計を見ながら焦り、つい「早くして」「何回言えばいいの」と強い言葉になってしまいます。

 

この場面では、子どもの行動だけでなく、時間の余白が少ないことも衝突の原因になります。特に発達に特性のあるお子さまは、予定が見えないまま急に動くことが苦手です。親が急いでいるほど、子どもは不安や混乱で動きにくくなり、支度がさらに進みにくくなります。

発達特性によって大人の声かけが入りにくいことがある

発達が気になるお子さまの中には、音や触覚などの刺激に敏感だったり、こだわりが強かったり、見通しがないと不安が高まりやすかったりする子がいます。

 

たとえば、服のタグが気になって着替えられない、予定と違う順番になると動けない、遊びを終えるタイミングがわからず泣いてしまう、言葉だけの説明では次にすることがつかめないといった姿です。

 

大人から見ると「わがまま」「聞いていない」と見える行動でも、子どもの中では不安、感覚刺激の負担、見通しのなさが重なっています。発達特性を知ることは、子どもを甘やかすことではありません。伝わりやすい方法を見つけ、強く注意する場面を減らすための大切な視点です。

子供にイライラする時の対処法|怒る前にできること

 

子どもにイライラした時の対処法は、気持ちを完全に消すことではありません。怒鳴りそうになる前に、声の大きさや言葉数を少し抑えることです。

 

保護者の方が一度止まれると、子どもへの声のかけ方を選び直せます。声のかけ方が変わることで、子どもが次の行動に移るきっかけも作りやすくなります。

 

ここでは、家庭で取り入れやすい方法を、ゆめラボの療育で大切にしている関わり方とあわせて紹介します。

まず言葉を短くして、その場の刺激を減らす

イライラしているときほど、大人の言葉は長くなりやすいものです。「だからさっきも言ったでしょ」「いつも同じことをしているよね」「もう時間がないって言っているよね」と続けて話すほど、子どもには何をすればよいのかが伝わりにくくなります。

 

怒る前にできる対処法の一つは、言葉を短くすることです。「靴を履く」「ここに座る」「おもちゃを箱へ入れる」のように、今してほしい行動だけを伝えます。

 

同時に、テレビの音を小さくする、目の前のおもちゃを一つだけにする、周りの大人の声を減らすなど、その場の刺激を減らすことも大切です。子どもが動けないときは、本人のやる気だけでなく、周りの情報量が多すぎることもあります。

安全を確認して一度距離を取る

大きな声が出そうになったときは、子どもの安全を確認したうえで、短い時間だけ距離を取ることも必要です。

 

別の部屋に数十秒移動する、少し背を向けて水を飲む、窓の外を見る、洗面所で手を洗う。ほんの短い動きでも、怒りがそのまま言葉になるのを止めやすくなります。

 

距離を取ることは、子どもを突き放すことではありません。保護者の方が落ち着いて戻るための時間です。感情が高ぶったまま向き合い続けるより、少し離れてから戻る方が、子どもにとっても安心できる関わりになります。

今起きていることだけを言葉にする

イライラしているときは、「また始まった」「いつもこうなる」「このままだと困る」と、過去や先の不安まで一気に頭に浮かびます。その状態では、目の前の子どもに合った声かけを選びにくくなります。

 

そんなときは、今起きていることだけを短く言葉にします。「今は靴下を嫌がっている」「今は遊びを終えるのがつらい」「今はご飯から離れている」と心の中で言うだけでも、出来事と怒りを分けて見やすくなります。

 

ゆめラボでも、子どもの行動をすぐに注意するのではなく、状況を見てから関わります。家庭でも同じように、まず事実を短く捉えることで、怒る前に次の声かけを選びやすくなります。

その場で全部解決しようとしない

子どもにイライラする時は、「今ここで直さなければ」と思うほど苦しくなります。けれど、朝の支度中に生活習慣を全部教えようとしたり、外出前に片付けの大切さを長く話したりしても、子どもには入りにくいものです。

 

その場では、まず必要な行動を一つに絞ります。出発前なら靴を履くこと、食事中なら席に戻ること、片付けなら一つだけ箱へ入れること。今すぐ必要な行動を一つにすると、親も子どもも動きやすくなります。

 

生活習慣や約束の話は、落ち着いた時間に短く伝える方が届きやすくなります。その場で全部変えようとしないことが、親のイライラを強くしないための現実的な対処法です。

怒ってしまった後に親子関係を立て直す方法

 

気をつけていても、強く言ってしまう日はあります。大きな声を出した後に、すぐ自己嫌悪でいっぱいになる保護者の方もいるかもしれません。

 

けれど、怒ってしまった後にできることはあります。親子関係は、一度崩れたら終わりではありません。落ち着いてから戻る経験を重ねることで、子どもは「怒られたら終わり」ではなく、「またつながれる」と感じやすくなります。

大きな声を出した後は短く言葉をかける

怒ってしまった後は、長く説明するよりも、短い言葉で戻ることが大切です。

 

「さっき大きな声になったね」「びっくりしたね」「言い方が強かったね」と伝えるだけでも、子どもは状況を受け止めやすくなります。

 

ここで「でも、あなたが言うことを聞かなかったから」と続けると、子どもは責められた感覚だけを残しやすくなります。まずは、大人の声が強くなった事実を短く伝えます。そのうえで、必要な行動をもう一度、落ち着いた声で伝え直します。

謝るだけでなく、次の関わり方を決める

「ごめんね」と伝えることは大切です。ただ、謝るだけで終わると、次に同じ場面が来たときにまたぶつかりやすくなります。

 

怒ってしまった後は、「次は靴を履く前に、先に靴下を選ぼうね」「明日の朝は、着替えをここに置いておこうね」「片付けは一つずつ一緒にしようね」と、次に試す行動を決めます。

 

親が自分を責め続けるよりも、次に変えるところを一つ決める方が、家庭の中で同じ衝突を減らしやすくなります。反省を長く続けることより、次の関わり方を具体的に変えることが大切です。

完璧な親より、戻れる関係を大切にする

子育ての中で、いつも落ち着いて関わることは簡単ではありません。特に発達が気になる子との毎日では、予想外のことが何度も起きます。

 

完璧に怒らない親を目指すほど、怒ってしまったときの落ち込みは強くなります。大切なのは、怒らないことだけではなく、怒ってしまった後に戻ることです。

 

「さっきは強く言ったけれど、もう一回やってみよう」「手伝うから一緒にしよう」と関係を戻す経験は、子どもに安心を残します。親子の関係は、失敗しないことで育つのではなく、うまくいかなかった後に戻る経験の中でも育っていきます。

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発達が気になる子に伝わりやすい関わり方

 

親のイライラを減らすには、保護者の気持ちを抑える方法だけでなく、子どもに伝わりやすい関わり方を増やすことも大切です。

 

発達が気になる子は、言葉だけで理解するより、見てわかる情報や、終わりがわかる流れがある方が動きやすくなります。家庭の中で伝え方を少し変えるだけでも、「何度言っても伝わらない」という場面が減りやすくなります。

朝の支度は順番を見える形にする

朝の支度では、着替え、洗顔、食事、歯みがき、持ち物、靴を履くなど、子どもにとって多くの行動が続きます。大人には当たり前の流れでも、子どもには次に何をするのかが見えにくいことがあります。

 

「早くして」と言う前に、朝にすることを三つに絞って見せます。着替え、朝ごはん、靴を履く。最初は数を少なくすると、子どもも見通しを持ちやすくなります。

 

文字がまだ難しいお子さまには、写真や簡単な絵、実物を見せる方法も合います。着替えを先に出しておく、靴下を選べるように二つだけ置く、かばんを玄関近くに置くなど、動き始めやすい環境を作ることで、朝の衝突は減らしやすくなります。

食事・片付けはできた行動を具体的にほめる

食事や片付けでは、できていないことが目に入りやすくなります。席を立つ、こぼす、手が止まる、片付けを始めない。そこだけを見ると注意が増えます。

 

けれど、子どもの行動を変えたいときほど、できた場面を具体的に言葉にすることが大切です。「座れたね」「スプーンを持てたね」「一つ箱に入れられたね」「呼んだら戻れたね」と、行動そのものを伝えます。

 

ゆめラボの療育でも、小さな成功を積み重ねることを大切にしています。子どもが「何をしたからよかったのか」を知ることで、次も同じ行動を取りやすくなります。保護者の方も、できていない部分だけでなく、少しできた部分に目を向けやすくなります。

切り替えは予告と終わりを先に伝える

遊びを終える、外出する、お風呂に入る、寝る準備をする。こうした切り替えの場面では、発達が気になる子ほど強く抵抗することがあります。

 

切り替えが苦手な子には、急に終わりを伝えるよりも、先に見通しを伝えます。「あと一回で終わり」「この車を走らせたら片付け」「時計の針がここに来たらお風呂」のように、終わりの合図をわかりやすくします。

 

大人の都合で急に止められたと感じると、子どもは不安や怒りを強めます。終わりを先に知ることで、気持ちの準備がしやすくなり、親の声かけも穏やかに届きやすくなります。

子どものイライラやかんしゃくが強いときは対応を分ける

このページでは、子どもにイライラしてしまう親の対処法を中心にお伝えしています。一方で、子ども自身の怒り、泣き、かんしゃく、パニックが強い場合は、子ども側の感情支援を別に考える必要があります。

 

子どもが急に怒り出す、泣き止まない、予定変更でパニックになるといった様子が中心の場合は、かんしゃく・パニックが起きやすい子にできることもあわせてご覧ください。

 

また、子どもがすぐ怒る、すぐ泣く、気持ちを言葉にしにくいと感じる場合は、子どもがすぐ怒る・泣くのはなぜ?感情との付き合い方を考えるヒントでも、子どもの気持ちの見方を紹介しています。

 

物を投げる、叩く、家の中で暴れるなど安全面の心配がある場合は、子どもが家で暴れるのはなぜ?発達障害のある子への対応と家庭でできる工夫を参考にしてください。親のイライラへの対処と、子どもの行動への対応を分けることで、家庭で必要な関わり方が見えやすくなります。

親のイライラを減らすために家庭で整えたいこと

 

子供にイライラしない方法を探すとき、その場の気持ちの抑え方だけに目が向きやすくなります。けれど、毎日同じ場面で怒ってしまう場合は、生活の流れを変えることも必要です。

 

親の努力だけで感情を抑え続けるのではなく、イライラが起きにくい時間、場所、声かけを作っていくことが、家庭で続けやすい対策になります。

苦手な時間帯を決めて対策する

まずは、親子でぶつかりやすい時間帯を一つだけ選びます。朝の支度、夕方の帰宅後、食事前、寝る前など、毎日怒りやすい場面は家庭によって違います。

 

全部を一度に変えようとすると、保護者の方の負担が増えます。まずは「朝の靴下だけ」「夕方の片付けだけ」「寝る前の歯みがきだけ」のように、一つの場面に絞ります。

 

その場面で、何が引き金になっているのかを見ます。時間が足りないのか、物が見つからないのか、言葉が長いのか、子どもが終わりを理解できていないのか。原因が見えてくると、怒る前に変えられる部分が見つかります。

できていることを見る習慣をつくる

イライラが続くと、どうしても「できていないこと」ばかりが見えます。けれど、子どもは毎日の中で、小さくできている行動を積み重ねています。

 

靴に足を入れようとした、呼ばれて一度振り向いた、スプーンを持った、片付ける箱に近づいた、泣いた後に戻ってきた。これらは、次の成長につながる大切な行動です。

 

保護者の方が「できているところ」を言葉にすると、子どもは自分の行動を知りやすくなります。同時に、親の見え方も少し変わります。注意点を探す時間だけでなく、できた行動を見つけて伝える時間が増えることで、家庭での声のかけ方も変わります。

一人で抱え込まない相談先を持つ

子どもにイライラしてしまう日が続くと、保護者の方は「こんなことで相談していいのか」と迷うことがあります。けれど、毎日怒ってしまう、怒った後に強く落ち込む、家庭の中で同じ衝突が続く、子どもの行動の理由がわからないという状態が続くなら、早めに外へつながることが大切です。

 

ゆめラボでは、お子さまへの個別療育だけでなく、家庭での困りごとや声かけについて保護者の方からお話を伺います。家庭では見えにくい子どもの得意・苦手を支援場面で確認し、家で試しやすい関わり方を一緒に考えます。

 

発達が気になる子の育児そのものがつらい、孤独を感じるという場合は、発達が気になる子の育児がつらいとき|保護者の孤独を軽くする療育の関わり方も参考になります。

児童発達支援の利用で親の負担がどう変わるか知りたい方は、児童発達支援事業所に通うと親の負担は増える?減る?もあわせてご覧ください。

まとめ|子どもにイライラしてしまうときは一人で抱え込まない

 

子どもにイライラしてしまうことは、親の愛情が足りないから起きるものではありません。何度言っても伝わらない場面、急がせたい時間、発達特性による切り替えの難しさが重なると、保護者の方の気持ちは強く揺れます。

 

大切なのは、怒らない親を目指して自分を追い込むことではありません。怒る前に言葉を短くする、安全を確認して少し距離を取る、今起きていることだけを見る、怒ってしまった後に短く戻る。こうした関わりを少しずつ増やすことで、親子の衝突は減らしやすくなります。

 

また、朝の支度、食事、片付け、切り替えなど、毎日ぶつかりやすい場面では、子どもの努力だけに頼らず、見てわかる流れや動きやすい環境を作ることも大切です。発達が気になるお子さまには、言葉だけで伝えるより、目で見える手がかりや終わりの合図がある方が安心につながります。

 

児童発達支援事業所ゆめラボでは、お子さまへの個別療育に加えて、家庭での困りごとや保護者の方の関わり方についてのご相談も伺っています。子どもにイライラしてしまうことに悩んでいる方、怒った後に後悔することが増えている方、発達特性に合った声かけを知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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