「負けると泣いてしまう」「怒ってゲームをやめる」「勝ち負けにこだわりすぎて友達とトラブルになる」
そんなお子さまの姿に困っていませんか?
特に発達障害のある子どもは、「負ける」という経験をストレスとして強く受け取りやすく、その背景には感情コントロールの未熟
さや白黒思考(0か100かで捉える傾向)、自尊感情の不安定さが関係していることが少なくありません。
このページでは、子どもが「負けることを許せない」背景にある発達特性を整理しながら、日常生活や療育の場面でどのように支援すればよいかを解説します。
ゆめラボで実際に取り組んでいる支援の工夫や、家庭で取り入れやすい関わり方についてもご紹介します。
INDEX
発達障害のあるお子さまが、遊びやゲームの場面で「負け」に過剰に反応することは珍しくありません。それは単なる“負けず嫌い”や“甘え”ではなく、発達特性に基づく「感情の調整の難しさ」や「認知の傾向」によって引き起こされる自然な反応です。
特に自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)の傾向をもつお子さまにとって、「勝ち負け」は単なる結果ではなく、自尊心や自己評価、安心感に直結する大きな意味をもっています。
以下に、その主な理由を詳しく解説します。
発達障害のある子どもは、「悔しい」「悲しい」「腹が立つ」などの感情をうまく言葉にできず、感情をそのまま行動で表現してしまうことがあります。
大人なら「残念だったけど次頑張ろう」と気持ちを切り替えられる場面でも、子どもにとっては強いストレスになり、泣き叫ぶ・怒って物を投げる・固まって動けなくなるといった反応につながります。
これは「情動調整(エモーショナル・レギュレーション)」の発達が未熟なために起こるもので、本人の努力や意志ではどうにもならない場合が多いのです。
「勝ち=100点」「負け=0点」と極端に捉えてしまう傾向があるため、「少しうまくいかなかっただけ」で「全部ダメ」と感じてしまうことがあります。
たとえばすごろくで最後にゴールできなかっただけで「最初から全部無意味だった」と感じてしまうなど、全体の経験を一部の結果で判断してしまうのです。
このような認知の傾向(認知の偏り)は、自尊感情の低下や達成意欲の喪失にもつながりやすく、「失敗するくらいなら最初からやらない」といった回避行動が定着することもあります。
過去の経験で「うまくいった!」という達成感を十分に味わえていない場合、ほんの少しの失敗や「負け」でも大きく落ち込んだり自分を責めたりしがちです。
たとえば、周囲の子どもと比べて運動や言葉の発達がゆっくりだった場合、自分でも「ぼくはいつも負ける」「どうせ無理」といった否定的なイメージを強く持ってしまっていることがあります。
このような状態では「負け=自分の価値がない」と結びついてしまい、受け入れるのが非常に困難になります。
ASDの傾向が強い子どもの場合、物事へのこだわりや予定の見通しを立てる力が弱いため、「勝ちたい」「勝つはず」という想定通りにいかないと強い不安や混乱に陥ってしまいます。
たとえば、「次は絶対勝てると思っていたのに負けた」「勝てるように一生懸命やったのに結果が違った」といった予想外の展開は、感情や行動を大きく揺さぶる要因になります。
また「勝つまで何度もやりたい」「負けたら最初からやり直したい」といった“自分ルール”に強く縛られているケースも多く、そのルールが崩れるとパニックになることもあります。
「負けて悔しい」「思い通りにいかなくてイライラする」
こうした子どもの感情的な反応に、つい大人は「我慢しなさい」「泣かないの」と否定的な声かけをしてしまいがちです。しかし、支援の出発点は、その子の感情を否定せず、そのまま受け止めることにあります。
発達障害のあるお子さまは、感情の起伏が激しかったり自分の気持ちをうまく言葉にできなかったりすることがあります。だからこそ、外から見える行動の裏にある「本当はこう感じている」という気持ちに気づいてあげることが、心の安定と成長への第一歩です。
「負けて悔しい」という思いは、勝ちたいという意欲の表れでもあり、それ自体は決して悪い感情ではありません。
大人がその気持ちをしっかり受け止め、「あなたの気持ちは分かっているよ」と伝えることで、子どもは安心感を得て、自分の感情を少しずつコントロールできるようになります。
こうした声かけによって、子どもは「自分の気持ちが認められた」と感じ、徐々に落ち着きを取り戻しやすくなります。それと同時に、自分の感情を受け入れたり、人と共有したりする経験を積むことにもつながります。
大切なのは、「気持ちを切り替えさせる」のではなく、「今の気持ちを理解してあげる」こと。気持ちが十分に認められたと感じたとき、子どもは次に向かうエネルギーを自分の中から生み出していけるのです。
「負け」が受け入れづらい子どもに対して、日々の生活の中でできる小さな工夫や関わり方が、感情のコントロールや社会性の育ちにつながります。
特別な教材や環境がなくても、家庭や療育の場でできる具体的な支援方法を以下にご紹介します。
「ルールを守って遊べた」「最後までやりきれた」「お友だちと楽しく遊べた」など、結果ではなくプロセスに注目して伝えることで、違った価値観を育てられます。
家庭や療育の場でミニゲームを繰り返し、「負けても大丈夫」という感覚を育てます。最初は安心できる相手との1対1の遊びから始めましょう。
負けた後にすぐ切り替えるのではなく、「今どんな気持ち?」「落ち着くためにどうしようか?」といった問いかけで、感情の言語化と整理を促します。
ゲーム開始前に「勝つ人と負ける人がいるよ」「次があるから大丈夫だよ」といった見通しを伝えると、感情の揺れが緩和されます。絵カードやスケジュールボードの活用も効果的です。
ゆめラボでは、「感情のコントロール」や「ルールの理解」を支援するため、以下のような療育活動を実施しています。
また保護者面談を通じて、ご家庭での関わり方も一緒に考えています。子どもが「できた!」と実感できるよう、家庭と療育の連携を大切にしています。
「また負けて泣いてしまった…」「どう接したらいいか分からない」と感じることがあるかもしれません。でも、それはお子さんの“心の育ち”のプロセスでもあります。
焦らず、否定せず、「負けても大丈夫」「勝ち負けだけがすべてではない」という価値観を、ゆっくりと育てていくことが大切です。
ゆめラボでは一人ひとりの発達特性に応じた支援を行っています。お子さまの「苦手」に寄り添い、安心できる環境づくりを一緒に進めていきましょう。
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