「放課後等デイサービスを勧められたけれど、まず“受給者証を取ってください”と言われて戸惑っている」「そもそも受給者証って何?どこでどうやって申請するの?」──そんな疑問をお持ちの保護者の方は少なくありません。
このページでは、放課後等デイサービスを利用する前に必ず必要となる「受給者証(障害児通所受給者証)」とは何か、そして申し込みから利用開始までの手続きの流れを、できるだけ分かりやすく整理しました。
「具体的に何をすればいいのか」がイメージできるように、事前の準備・必要書類・更新のポイントまでまとめています。
※自治体によって手続きの名称や順番、必要書類が異なる場合があります。あくまで一般的な流れとしてお読みいただき、最終的にはお住まいの市区町村に必ず確認してください。
INDEX
まずは、放課後等デイサービスと受給者証の関係について整理しておきましょう。「放課後等デイサービス=福祉サービス」である以上、一般の学童保育とは仕組みも手続きも大きく違います。
放課後等デイサービスは、就学している障害のあるお子さんや、発達に特性のあるお子さんのための“放課後の療育・支援の場”です。学校の授業が終わったあとや長期休暇中に通い、以下のような支援を受けることができます。
コミュニケーションや対人関係の練習。身の回りのこと・生活動作の練習。学習・宿題のサポート。感覚・運動あそびを通した土台作り など。同じ「放課後の居場所」でも、学童保育は子どもの見守りが中心なのに対し、放課後等デイサービスは一人ひとりの特性に応じた療育・発達支援を行うことが大きな特徴です。
放課後等デイサービスを利用するためには、市区町村が発行する「障害児通所受給者証」が必要です。
これは簡単に言うと、「このお子さんは、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障害児通所支援を利用できます」と自治体が認めた証明書です。
受給者証には次のような情報が記載されます。利用できるサービスの種類(例:放課後等デイサービス)。利用できる日数・時間数(支給量)。有効期限。世帯の所得区分に応じた「利用者負担上限月額」など。
この受給者証があることで、利用料の一部が公費負担となり、自己負担は原則1割+所得に応じた上限額までに抑えられます。
「受給者証」と「療育手帳」や「障害者手帳」は、混同されやすいものの、まったく別の制度です。
療育手帳・身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳:障害の状態を示す手帳で、税金の控除や交通機関の割引など、幅広い福祉サービスの対象となる。
受給者証:特定の福祉サービス(障害児通所支援など)を利用するための「サービス利用資格の証明書」。
自治体によっては「療育手帳があると受給者証の申請がスムーズになる」こともありますが、療育手帳がなくても、医師の意見書などをもとに受給者証が交付されるケースも少なくありません。
「受給者証を取るのは手間がかかりそう」「本当に必要なの?」と感じる方もいるかもしれません。ここでは、放課後等デイサービスを利用するうえで、受給者証がなぜ大切なのかを整理します。
放課後等デイサービスの利用料は、原則としてサービス提供費用の1割を利用者が負担し、残り9割を公費が負担する仕組みです。
さらに、世帯の所得に応じた「利用者負担上限月額」が設定されているため、ひと月にどれだけ利用しても、その上限額以上は支払わなくてよい制度になっています。
例えば、市町村民税非課税世帯では上限が0円、一定の所得範囲の世帯では4,600円、それ以上の所得の世帯では37,200円など、国が定めた基準に沿って上限額が決まります。
受給者証には、「週◯回まで」「月◯回まで」などの支給量が記載されます。
これは、自治体がご家庭の状況やお子さんの困りごと、必要な支援の度合いを確認したうえで、どのくらいの頻度で放課後等デイサービスを利用するか。児童発達支援との併用をどうするか。長期休暇中の利用をどう組み立てるか。といった点を総合的に判断して決めるものです。
事前に支給量が決まっていることで、「急に利用できなくなった」「想定より利用回数が足りない」などのトラブルを防ぎやすくなるというメリットがあります。
受給者証で利用回数や時間帯の枠組みが決まると、保護者の就労時間の調整。きょうだい児の保育園・学童利用。通院やリハビリとのスケジュール調整。など、家族全体の生活リズムやライフプランを考えやすくなる点も大きな利点です。
「どの曜日・時間に放課後等デイサービスを利用するか」を軸に、生活を組み立てていくご家庭も多く見られます。
ここからは、「放課後等デイサービスを利用したい」と思ってから、実際に通い始めるまでの一般的なステップを追っていきます。自治体によって細かな違いはありますが、大まかな流れをつかんでおくと安心です。
いきなり市区町村に申請に行くのではなく、まずは情報収集と事業所の見学から始めることがおすすめです。
自治体のホームページで、地域の放課後等デイサービスを探す。気になる事業所に電話やメールで問い合わせる。見学や無料体験、相談会に参加して雰囲気や支援内容を確認する。
この段階では、まだ受給者証がなくても見学や相談ができるところがほとんどです。「どんな支援が合いそうか」「送迎や時間帯は現実的か」を確認しながら、候補を絞っていきましょう。
利用したいサービスのイメージが固まってきたら、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口や、障害児相談支援事業所に相談します。
ここでは、現在のお子さんの様子や困りごと。医療機関の受診状況や診断の有無。家庭・学校での支援状況。保護者が希望するサービスの内容・頻度。などを伝えながら、放課後等デイサービスを含めた「障害児通所支援」の利用の可否や、おおよその手続きの流れについて説明を受けます。
多くの自治体では、受給者証の申請にあたって「障害児福祉サービス等利用支援計画」(セルフプラン/相談支援専門員による計画)が必要になります。
相談支援専門員がいる事業所に依頼すると、家庭訪問や面談で、お子さんの状況やご家庭の希望を聞き取る。どのサービスを、どのくらいの頻度で使うと良いか一緒に考える。その内容をもとに計画書を作成し、自治体に提出する。といったサポートをしてもらえます。
相談支援事業所が少ない地域などでは、保護者が自分でセルフプランを作成する方式を採用している自治体もあります。
必要な書類がそろったら、市区町村の福祉窓口に受給者証の申請を行います。
提出された書類や医師の意見書、サービス等利用計画などをもとに、自治体が支給量や利用期間を決定します。
自治体によって差はありますが、申請から受給者証の交付までは、概ね2週間〜1か月程度かかるケースが多いとされています。新学期・年度末などは混み合うため、余裕を持ったスケジュールで動くと安心です。
受給者証が届いたら、利用したい放課後等デイサービスと利用契約を結びます。
重要事項説明書・契約書の内容を確認。送迎の有無や時間帯、利用曜日の調整。実費(おやつ・教材費・外出費など)の金額や支払い方法。キャンセル時の取り扱い などをよく確認し、納得したうえで契約を進めましょう。
その後、事業所と相談しながら個別支援計画が作成され、いよいよ放課後等デイサービスの利用がスタートします。
「窓口に行ったら“書類が足りません”と言われてしまった…」という声も少なくありません。ここでは、受給者証の申請でよく求められる書類や、事前に確認しておきたいポイントをまとめます。
多くの自治体では、診断書または医師の意見書の提出を求めています。とはいえ、タイミングや必要な書式は自治体によって異なります。
初めて障害児通所支援(児童発達支援・放課後等デイサービス)を利用するとき。就学前から放課後等デイサービスに切り替えるとき。小学校高学年・中学生など節目の更新時。などに、あらためて診断書が必要になるケースもあります。
「どのタイミングで」「どんな形式の診断書が必要か」は、お住まいの自治体の案内を必ず確認しましょう。
自治体によって取扱いは異なりますが、療育手帳や障害者手帳がなくても、医師の意見書などをもとに受給者証が交付される場合があります。
一方で、就学前から療育手帳を取得していると、更新時の手続きがスムーズ。高学年・中学生以降の更新では、手帳や診断書の提出が必須。といった運用をしている自治体もあります。「手帳がないから申請できない」と自己判断せず、まずは福祉窓口や相談支援事業所に相談してみてください。
受給者証の申請では、次のような書類が求められることが多いです。
保護者・お子さんのマイナンバー確認書類。本人確認書類(運転免許証・健康保険証など)。印鑑。世帯の所得を確認する書類(課税証明書など)。医師の診断書・意見書。障害児通所支援利用計画(サービス等利用計画)。
必要書類は自治体によって細かく異なるため、事前にホームページや窓口でリストを入手し、チェックしながら準備するとスムーズです。
申請書や利用計画には、家庭や学校でのお子さんの様子や困りごとを記入する欄があります。「どこまで書いていいのか分からない」と悩む方も多いですが、遠慮せず、具体的なエピソードを含めて書くことが大切です。
例えば、集団活動でどんな場面が苦手か(音・人混み・指示の多さ など)。家庭での宿題・身支度・睡眠の困りごと。友だちとのトラブルの内容や頻度。など、「放課後等デイサービスでサポートしてほしい点」が伝わるように書くと、支給量やサービスの組み立てが、お子さんのニーズに近づきやすくなります。
受給者証は一度取得したら終わり、ではなく、有効期限や更新、生活環境の変化に応じた手続きが必要になります。よくある疑問をまとめておきましょう。
受給者証には必ず有効期限があり、多くの自治体では1年〜2年ごとに更新手続きを行います。就学・進級のタイミング(年長→小1、小6→中1、中3→高1など)で、有効期限が区切られているケースもよく見られます。
更新が近づくと、自治体から更新の案内書類が郵送される。相談支援専門員が計画の見直しをしてくれる。といった流れになることが多いので、届いた書類は必ず内容を確認し、期限に余裕を持って手続きを進めましょう。
申請から受給者証が交付されるまでの期間は自治体によって異なりますが、おおむね2週間〜1か月前後と案内している自治体が多いようです。
ただし、年度末・新学期前など申請が集中する時期。診断書の取得に時間がかかる場合。などは、さらに時間がかかることもあります。特に4月からの利用を希望する場合は、前年度の秋〜冬頃から準備を始めておくと安心です。
市区町村をまたいで引っ越しをする場合、受給者証の手続きも「転出先の自治体」でやり直しになることが多くあります。
転出前に現在の自治体の窓口で相談し、必要な書類やスケジュールを確認しておきましょう。
同じ市区町村内での転校・住所変更であれば、住所変更の届出のみで済むケースもあります。いずれにしても、「引っ越しが決まりそうな時点で早めに相談」しておくと、利用の空白期間を減らせます。
受給者証は放課後等デイサービスの利用資格を示すものですが、実際には希望する事業所の定員がいっぱいで空きがない。希望曜日・時間帯に利用枠がない。送迎範囲の対象外である。などの理由で、受給者証があっても希望の事業所を利用できない場合もあります。
そのため、申請と並行して複数の放課後等デイサービスを見学・検討しておくことが大切です。
受給者証の手続きと同じくらい重要なのが、「どの放課後等デイサービスを選ぶか」という点です。同じ放課後等デイサービスでも、支援の得意分野や雰囲気は事業所ごとに大きく異なります。
見学の際には、次のようなポイントに注目してみてください。
支援のねらい・方針が分かりやすく説明されているか。個別支援と集団活動のバランスはどうか。スタッフが子ども一人ひとりにどのように声をかけているか。子どもたちが安心して過ごせていそうか。「ここならうちの子も安心して通えそう」と保護者が感じられるかどうかも、大切な判断材料です。
放課後等デイサービスは事業所によって、開所曜日(平日のみ/土曜日あり など)。対応時間帯(学校後のみ/長期休暇中は午前から など)。送迎の有無・範囲。が異なります。
また、長期休暇中の特別プログラムを実施しているところも多くあります。ご家庭の生活リズムや働き方に合うかどうか、事前にしっかり確認しておきましょう。
放課後等デイサービスの利用料は1割負担+所得に応じた上限額ですが、これに加えておやつ代。教材費。外出・イベント時の実費。などがかかることがあります。
「1回あたり・1か月あたりどのくらい実費がかかるのか」は事前に確認しておきましょう。
また、当日キャンセル料や長期休暇中のキャンセル規定なども事業所によって異なるため、契約前に必ず説明を受け、納得してからサインすることが大切です。
放課後等デイサービスは、子どもだけでなく保護者や学校との連携も重要な役割のひとつです。
定期的な面談やフィードバックの機会があるか。連絡帳やアプリなどで活動の様子を共有しているか。学校との情報連携やケース会議に参加してくれるか。
といった点も確認しておくと、家庭・学校・放課後等デイサービスが同じ方向を向いてお子さんを支えていきやすくなります。
放課後等デイサービスを利用するためには、「受給者証(障害児通所受給者証)」の取得が欠かせません。
一見むずかしく感じられる手続きも、まずは事業所の見学・情報収集を行う。市区町村の福祉窓口や相談支援事業所に早めに相談する。必要書類や診断書の準備を計画的に進める。といったステップを踏んでいけば、一つひとつ確実に進めていくことができます。
「うちの子に放課後等デイサービスは合うのかな」「受給者証を取るべきか迷っている」「何から相談したらいいか分からない」という方は、お住まいの地域の相談窓口や、身近な児童発達支援事業所・放課後等デイサービスに、まずは気軽に声をかけてみてください。
児童発達支援事業所ゆめラボでも、受給者証の手続きや放課後等デイサービスの利用についてのご相談を受け付けています。
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