自閉症のある子どもと暮らしていると、「また同じ場面で癇癪が起きてしまった」「どう関わったらいいのかわからない」と、毎日のように悩むことがあると思います。
頭では「子どもに合わせた療育が大事」とわかっていても、目の前の行動に振り回されてしまうと、冷静に振り返る余裕がなくなってしまいますよね。
そんなときに家庭で取り入れやすいのが「ABC観察」です。専門的な道具や難しい知識がなくても、ノートとペンさえあれば始められます。
このコラムでは、子どもへの療育、とくに自閉症の特性があるお子さまとのかかわりで役立つ「ABC観察」を、家庭で実践するための手順にしぼってお伝えします。
テーマは、記録→仮説→改善という流れをどう回していくか。そのポイントをお話ししていきます。
INDEX
ABC観察は、子どもの行動を「なんとなくの印象」ではなく、できるだけ具体的に見つめ直すための方法です。
自閉症のある子どもは、周りの刺激の受け取り方や、ことばで気持ちを伝える力に偏りがあることが多く、「わざと困らせているように見える行動」が、実は不安や感覚の過敏さから来ていることも少なくありません。
ABC観察は、そうした行動の裏にある理由を探るための小さなレンズのような役割を持っています。とくに子どもへの療育では、「いい・悪い」で行動を評価するだけではなく、「なぜその行動が出ているのか」を丁寧に考えることが大切です。
自閉症の特性がある子どもの場合、周りの大人がその理由に気づけるかどうかで、毎日の過ごしやすさが大きく変わります。
ABC観察を家庭で続けていくと、親御さん自身も子どもの行動を感情だけで受け止めるのではなく、「どうサポートしたら楽になるかな」という視点を持ちやすくなります。
ABC観察の「A」は行動の直前に何が起きたか、「B」は子どもの行動そのもの、「C」は行動のあとに何が起きたかを示しています。
例えば夕食前にぐずりやすい子どもの様子を考えてみると、Aには「お腹がすいているのにまだご飯が並んでいない」「テレビを急に消された」など、その直前の状況が入ってきます。
Bには「大声で泣く」「床に寝転がる」「物を投げる」など、目に見える行動をそのまま書きます。そしてCには「親があわててお菓子を渡した」「テレビをつけ直した」「叱られたあと静かな部屋に連れていかれた」といった、行動のすぐ後に起きたことが続きます。
ここで大切なのは、A・B・Cを評価や解釈ではなく「事実として書く」という姿勢です。「わがままだった」「困った行動だった」などの言葉ではなく、「時間」「場所」「誰がいたか」「何が聞こえたか」など、できるだけ具体的な情報にしていきます。
ABC観察自体は、家庭のなかで出来事を淡々とメモしていく、とてもシンプルな作業から始まります。
同じような場面でトラブルが繰り返されると、親御さん自身も疲れてしまい、「また始まった」とイライラが先に立ってしまうことがあります。
そうすると、どうしても子どもの行動を「やめさせたいもの」「直さなければいけないもの」としてだけ見てしまいがちです。
ABC観察を取り入れると、「なぜこの行動が起きているんだろう」という問いに自然と目が向きます。行動そのものを責めるのではなく、その背景にある理由を探す方向に気持ちが向きやすくなるのです。
例えば、「夕方になると必ず癇癪を起こす」という出来事も、記録を続けていくと「決まって保育園から帰った直後に起きている」「特定の番組を消したときにだけ激しくなる」など、共通点が見えてくることがあります。
そこから「疲れが溜まっているタイミングなのかもしれない」「好きな活動が急に中断されるのがつらいのかもしれない」という仮説が生まれてきます。
叱る前に一呼吸置いて、「このABCはどうつながっているかな」と考える習慣がつくと、親子双方にとって負担が少ない関わり方を見つけやすくなります。
ABC観察は、記録を集めて終わりではなく、そこから仮説を立て、家庭での関わりや環境を少しずつ変えていくことで力を発揮します。
完璧な表やフォーマットを作る必要はありません。自閉症のある子どもの行動は、その日の体調や周りの状況によっても揺れ動きますので、「ざっくりとした傾向をつかむ」くらいの気持ちで取り組むほうが続けやすくなります。
ここでは、記録→仮説→改善の流れを、できるだけイメージしやすい形でお伝えします。
最初のステップは、とにかく書き出してみることです。特別なノートを用意しなくても、家にあるメモ帳やスマートフォンのメモ機能で十分です。
時間と場面、A・B・Cの順番を意識しながら、「気になった出来事」を短く書いていきます。このとき、「毎日必ず書かなきゃ」と頑張りすぎると続かないので、まずは印象に残った場面だけでもかまいません。
例えば、「18時ごろ、夕食の準備中にキッチンに来て泣き始めた」「その直前にテレビを消した」「泣いたあと、仕方なくテレビをつけ直した」といったように、できるだけ具体的に書いていきます。
後から見返したときにイメージしやすいように、「誰と一緒にいたか」「周りにどんな音や光があったか」も余裕があれば書き添えておくと、自閉症の特性からくる感覚の過敏さなどにも気づきやすくなります。
ある程度記録がたまってきたら、共通点を探していきます。似たような行動が起きている場面を並べてみると、「疲れがたまりやすい時間帯」「人混みから帰ったあと」「好きなものを急に取り上げられたとき」など、いくつかのパターンが見えてくることがあります。
そこから、「この子にとっては◯◯が負担になりやすいのかもしれない」「この状況が続くと不安が強くなるのかもしれない」といった仮説を立てていきます。
仮説が見えてきたら、次は家庭でできる範囲での「改善」を試してみます。
例えば、夕方の癇癪が多い場合は、帰宅後すぐに静かな時間を作る、好きなおもちゃでひとりで落ち着けるコーナーを用意しておく、テレビを消す前に「あと何分で終わるよ」と視覚的に予告するなど、子どもの特性に合わせて工夫していきます。
一度でうまくいかなくても構いません。新しい関わり方を試し、その結果をまたABCとして記録し直すことで、「どの工夫がこの子に合いそうか」を少しずつ見極めていくイメージです。
子ども 療育 自閉症という言葉の背景には、一人ひとり違うニーズがありますので、ABC観察を通して「わが子仕様の関わり方」を探していくことが何より大切になります。
ABC観察は、特別な資格がなくても、家庭で今すぐ始められるシンプルな方法です。行動の前後に目を向けて記録し、そこから仮説を立てて、小さな改善を試してみる。
この繰り返しは、自閉症の特性がある子どもにとっても、関わる大人にとっても、「どうすれば毎日を少しでも過ごしやすくできるか」を一緒に考えるための頼もしい道具になります。
ただ、家族だけで続けていると、「この仮説で合っているのかな」「別の見方もあるのでは」と不安になる場面も出てくるかもしれません。
児童発達支援事業所ゆめラボでは、日々の療育のなかでABCの視点を大切にしながら、お子さま一人ひとりに合わせた支援を行っています。
ご家庭でのABC観察の記録を一緒に振り返り、「こんな仮説も考えられますね」「次はこんな工夫を試してみましょう」と相談しながら進めていくことも可能です。
もし、ABC観察を始めてみたいけれどやり方に不安がある方、すでに試しているものの行き詰まりを感じている方がおられましたら、どうぞ一度ゆめラボへご相談ください。
見学やご相談のなかで、お子さまの様子をうかがいながら、家庭と事業所が同じ方向を向いてABC観察を続けていけるよう、一緒に方法を考えてまいります。
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