「いつも同じ道で行きたがる」「決まった服しか着ない」「順番が変わると泣いてしまう」など、子どもの強いこだわりに戸惑うことはありませんか。
こだわりが強い子どもの行動は、大人から見るとわがままや気分の問題に見えることがあります。
けれど、発達障害や自閉スペクトラム症(ASD)の特性がある子どもの場合、同じ流れや同じ物にこだわる背景には、見通しの持ちにくさ、不安の強さ、感覚の過敏さ、変化への苦手さが重なっていることがあります。
このページでは、児童発達支援事業所ゆめラボの視点から、こだわりが強い子どもはなぜ同じことにこだわるのか、どのような場面で表れやすいのか、家庭でどのように関わればよいのかを紹介します。
こだわりが強い子どもは、同じ流れ、同じ順番、同じ物、同じ場所に安心感を持ちやすい傾向があります。
大人にとっては小さな違いに見えても、子どもにとっては「いつもと違う」「何が起きるか分からない」と感じる大きな変化になることがあります。その不安を減らすために、毎日同じやり方を求めたり、物の位置や順番を変えられることを強く嫌がったりするのです。
こだわりは、子どもが自分なりに安心を保とうとしている行動として捉えると、関わり方を考えやすくなります。
朝起きてから着替える順番、登園する道、食事で使う食器、寝る前の流れなどが毎日同じだと、子どもは次に起きることを予測しやすくなります。
予測できることは、子どもにとって安心につながります。反対に、いつもの流れが急に変わると、何をすればよいのか分からなくなり、不安や混乱が強くなります。
「この順番じゃないと嫌」と言っているように見える場面でも、本人にとっては安心できる流れを守ろうとしていることがあります。
発達に特性がある子どもの中には、先の予定や時間の流れを頭の中で思い描くことが苦手な子がいます。
たとえば、「あとで行くよ」「もう少ししたら終わりだよ」と言われても、その“あと”や“もう少し”がどれくらいなのか分からず、不安が強くなります。見通しが持てない状態では、子どもは自分の知っている流れに戻ろうとします。
その結果、同じ道にこだわる、同じ遊びを続けたがる、予定変更を受け入れにくいといった行動につながります。
こだわりが強い子どもは、変化を嫌がっているだけではなく、変化を受け入れるための準備に時間が必要な場合があります。
急に予定を変えられたり、今していることをすぐにやめるように言われたりすると、気持ちが追いつかず泣いたり怒ったりすることがあります。これは反抗しているのではなく、心の中で次の行動に移る準備がまだできていない状態です。
先に伝える、目で見て分かるようにする、終わりの合図を決めるなど、準備の時間を作ることで変化を受け入れやすくなります。
こだわりが強い行動は、発達障害や自閉スペクトラム症の子どもに見られることがあります。
ただし、こだわりがあるからといって、すぐに発達障害と決まるわけではありません。大切なのは、こだわりの強さによって子ども本人が困っているか、家庭や園生活で負担が大きくなっているかを見ることです。
同じことにこだわる背景には、見通しの持ちにくさ、感覚の受け取り方、興味のあるものへの強い集中、気持ちの切り替えにくさなどが重なっていることがあります。
自閉スペクトラム症(ASD)の特性がある子どもには、同じ行動を繰り返す、決まった手順を好む、予定の変更を苦手とする、興味のあるものに強く集中するといった姿が見られます。
このようなこだわりは、本人にとって落ち着ける方法になっている場合があります。いつも同じ流れで進むことで安心でき、自分の中で物事の流れを保ちやすくなるためです。
そのため、こだわりをすぐにやめさせようとするよりも、まずは何に安心を感じているのかを見ていくことが大切です。
音、光、におい、肌ざわり、服のタグ、食べ物の食感など、感覚の受け取り方が強い子どもは、苦手な刺激を避けるためにこだわりを持つことがあります。
たとえば、特定の服しか着たがらない子の背景には、肌に触れる感覚の違いが関係している可能性があります。同じ食べ物ばかり食べる子は、味や食感、見た目が変わることに不安を感じていることがあります。
この場合、こだわりは単なる好みではなく、苦手な刺激から自分を守るための行動として理解できます。
物の位置、遊びの順番、並べ方、支度の手順に強くこだわる子どももいます。
同じ順番や配置が保たれていると、子どもは「いつも通りだ」と感じやすくなります。反対に、少しでも順番が変わったり、物の位置がずれたりすると、自分の中の見通しが崩れ、不安が強くなることがあります。
大人には小さな違いでも、子どもにとっては安心していた世界が急に変わったように感じます。
こだわりの表れ方は子どもによって違います。
毎日の生活の中では、登園の道、服、食事、遊び、物の置き方、入浴や就寝の流れなど、さまざまな場面で見られます。どの行動にも、子どもなりの理由が隠れていることがあります。
ここでは、家庭や園で見られやすいこだわり行動を紹介します。
登園や外出のときにいつも同じ道を通りたがる、決まった服しか着ない、同じ食べ物ばかり選ぶといった行動があります。
同じ道を通れば次に見える景色が分かり、同じ服なら肌ざわりや着心地が予測できます。同じ食べ物なら味や食感、見た目が変わらず、安心して口にしやすくなります。
このようなこだわりは、子どもが毎日の中で不安を減らすために選んでいる行動として見ることができます。
「今日は公園に行かないよ」「もう終わりにしよう」「次はお風呂だよ」といった声かけで、泣いたり怒ったりすることがあります。
これは、予定変更や切り替えが本人にとって急すぎるために起きていることがあります。楽しい活動を終えることが嫌なだけでなく、次に何が起きるか分からない不安や、気持ちの準備ができていないことが背景にあります。
切り替えの苦手さが強い場合は、子どもが我慢できないのはなぜ?待てない・切り替えが苦手な子への関わり方も参考にしてください。
積み木を決まった順番で並べる、ミニカーを同じ向きにそろえる、絵本を読む順番にこだわるなど、遊びの中にもこだわりが表れることがあります。
大人やきょうだいが少し動かしただけで怒ったり、最初からやり直そうとしたりする場合、その子にとっては「いつも通り」が崩れたように感じていることがあります。
このような場面では、すぐに直そうとせず、どの状態なら安心できるのかを見ながら関わることが大切です。
こだわりが強い行動は、周囲から見ると困った行動に見えることがあります。
けれど、子ども本人にとっては、自分の安心を守るための大切な方法になっていることがあります。理由を知らないまま無理にやめさせると、不安がさらに強くなり、かんしゃくや拒否につながることもあります。
まずは、こだわりを問題として見る前に、その子が何に困っているのか、何を守ろうとしているのかを考えることが大切です。
靴下の色が少し違う、いつもの席ではない、スプーンの形が変わった、帰り道が違うなど、大人にとっては小さな変化でも、子どもには大きな違いとして感じられることがあります。
こだわりが強い子どもは、いつもと同じであることによって安心しています。そのため、少しの違いでも不安が強まり、泣く、怒る、動けなくなるといった行動につながることがあります。
大人の感覚で「これくらい大丈夫」と判断せず、子どもにとってどのような変化に見えているのかを考えることが関わりの出発点になります。
こだわりをすぐにやめさせようとすると、子どもは安心できる方法を急に取り上げられたように受け取ることがあります。
「そんなことしなくていい」「早くして」と言われるほど、子どもは自分のこだわりにしがみつきやすくなります。これは、大人を困らせようとしているのではなく、不安をどう扱えばよいか分からないためです。
まずは受け止め、そのうえで少しずつ別の方法を経験できるように関わることが必要です。
こだわりの理由が見えてくると、大人の声かけや環境づくりも変わります。
見通しが持てずに不安になっている子には、予定を目で見える形で伝える関わりが役立ちます。感覚が苦手な子には、服の素材や食器、音の環境を見直すことで負担を減らせます。切り替えが苦手な子には、終わりの合図や予告を用意すると、次の行動に移りやすくなります。
こだわりをなくすことだけを目標にするのではなく、子どもが安心して次の行動に移れる方法を探していきます。
家庭で大切なのは、こだわりをすぐに変えようとすることではありません。
まずは、子どもが何にこだわっているのか、そのこだわりがあることで何を安心材料にしているのかを見ることです。理由が見えてくると、無理に止めるのではなく、子どもが受け入れやすい形で少しずつ変化を経験できるようになります。
保護者だけで抱え込まず、園や児童発達支援事業所などにも様子を共有しながら、子どもに合う関わり方を探していくことも大切です。
こだわりへの関わりは、行動を止めることから始めるのではなく、何にこだわっているのかを見ることから始まります。
同じ物がよいのか、同じ順番がよいのか、同じ場所がよいのか、同じ言い方でないと不安になるのかによって、必要な関わりは変わります。
こだわりが強く出る時間帯や場面も見ておくと、子どもが疲れているとき、不安が強いとき、予定が分からないときなどの背景が見えやすくなります。
予定変更や切り替えが苦手な子どもには、ことばだけで伝えるよりも、写真、絵カード、カレンダー、簡単なメモなどで見える形にする方法が合う子もいます。
「今はこれ」「次はこれ」「終わったらこれ」と分かることで、子どもは次の行動を予測しやすくなります。急な変更があるときも、変わる前に伝えたり、代わりに何をするのかを示したりすることで、不安がやわらぎやすくなります。
予定を目で確認できることは、こだわりが強い子どもにとって安心材料になります。
こだわりを変えるときは、大きく変えるのではなく、小さな違いから始めることが大切です。
たとえば、いつもの道を全部変えるのではなく、一部分だけ変えてみる、決まった服を急にやめるのではなく、似た肌ざわりの服を近くに置いてみる、好きな遊びをすぐに終えるのではなく、「あと1回」で終わる経験を作るなど、子どもが受け止めやすい形にします。
子どもが受け入れられる範囲で小さな変化を重ねることで、「いつもと少し違っても大丈夫だった」という経験につながります。
こだわりが強い子どもの行動には、理由があります。
同じ流れや順番にこだわる背景には、見通しの持ちにくさ、変化への不安、感覚の過敏さ、自閉スペクトラム症などの発達特性が関係していることがあります。大人には小さな違いに見えても、子どもには大きな変化として感じられることがあります。
こだわりをわがままと決めつけず、何に安心しているのか、何が不安なのかを見ることで、関わり方は変わります。無理にやめさせるのではなく、見通しを伝え、小さな変化から経験を重ねていくことが大切です。
ゆめラボでは、未就学のお子さまを対象に、一人ひとりの発達段階や特性に合わせた個別療育を行っています。
こだわりの強さ、切り替えの難しさ、園生活での困りごとなどが気になる場合は、まずはご相談ください。
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