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療育コラム

2025.06.11

発達障害の子どもの生活習慣が身につかない理由|身辺自立を育てる家庭支援

 

「着替えに時間がかかる」「歯みがきを嫌がる」「トイレに行きたがらない」

毎日の生活の中で、こうした悩みが続くと、朝の時点で保護者の方の負担が大きくなります。

 

何度声をかけても動き出せない、やっと始めても途中で止まる、できないことが重なって親子でつらくなる。こうした場面は、発達障害や発達特性のある子どものご家庭でよく聞かれる悩みです。

 

着替え・歯みがき・トイレなどの生活習慣は、大人から見ると「毎日やっていること」「覚えればできること」に見えやすいかもしれません。

しかし、子どもにとっては、見る、聞く、体を動かす、順番を覚える、感覚の刺激を受け止める、気持ちを切り替えるといった力を同時に使う場面です。

 

発達障害の子どもの生活習慣が身につかない背景には、やる気の問題だけではない理由があります。

 

このページでは、ゆめラボの児童発達支援の視点から、生活習慣につまずきやすい理由と、着替え・歯みがき・トイレなどの身辺自立を家庭で育てる関わり方をお伝えします。

発達障害の子どもが生活習慣につまずきやすい理由

 

生活習慣が身につきにくいとき、大人はつい「何度も言っているのに」「できるはずなのに」と感じてしまうことがあります。

けれども、発達障害や発達特性のある子どもは、生活の流れを理解すること、体を思うように動かすこと、感覚の負担を受け止めることに時間がかかる場合があります。

 

まずは、子どもがどの場面で止まりやすいのかを確認することが大切です。

「着替えない」「磨かない」「トイレに行かない」という行動だけを見るのではなく、その前に何が起きているのか、どこで困っているのかを考えると、家庭での関わり方を選びやすくなります。

手順が多く、何から始めればよいか分かりにくい

生活習慣は、一つの行動に見えて、実際にはいくつもの手順に分かれています。

着替えであれば、服を用意する、今着ている服を脱ぐ、前後を確認する、袖に腕を通す、ズボンに足を入れる、靴下を履くという流れがあります。

歯みがきであれば、歯ブラシを取る、歯みがき粉をつける、口を開ける、奥歯や前歯を磨く、うがいをする、歯ブラシを戻すという流れがあります。

 

大人は流れをひとまとまりで覚えていますが、子どもにとっては一つひとつが別の動作です。

そのため、「着替えて」「歯みがきして」と言われても、最初に何をすればよいのか分からず、止まってしまうことがあります。

 

特に、言葉だけの指示を覚えておくことが苦手な子どもは、途中で手順が抜けやすくなります。

「パジャマを脱いで、服を着て、靴下を履いて、リュックを持って」と続けて伝えると、一つ目の動作だけで精いっぱいになることがあります。

 

生活習慣を身につけるには、いきなり全部を求めるよりも、今やる一つの動作が分かる形に変えることが必要です。

一つ終わったら次を伝える、一緒に最初の動作を始める、見本を見せるなど、子どもが動き出すきっかけを作ることが、身辺自立の土台になります。

感覚過敏や体の使い方の苦手さが負担になる

発達障害の子どもの中には、服のタグ、靴下の縫い目、歯ブラシの感触、歯みがき粉の味、トイレのにおい、流水音などを強く不快に感じる子がいます。

大人にとっては小さな刺激でも、子どもにとっては我慢しにくい刺激になっていることがあります。

 

着替えを嫌がる子の中には、服を着ることそのものが嫌なのではなく、肌に当たる感覚がつらい子もいます。

歯みがきを嫌がる子の中には、口の中を触られる感覚が苦手で、歯ブラシを近づけただけで体がこわばる子もいます。

トイレを嫌がる子の中には、便座に座る感覚や水が流れる音に不安を感じている子もいます。

 

また、生活動作には体の使い方も関係します。

袖に腕を通す、ズボンを引き上げる、歯ブラシを細かく動かす、便座に安定して座るといった動きは、姿勢や手先の使い方、力加減が必要です。

体の動かし方がぎこちない子どもにとっては、生活習慣の一つひとつに時間や手助けが必要になります。

 

「やりたくない」と言っているように見えても、実際には「感覚がつらい」「体をどう動かせばよいか分からない」という場合があります。

この背景に気づくと、叱って動かすよりも、環境や道具を変える方が子どもに合うことがあります。

失敗経験や急かされる経験が苦手意識につながる

生活習慣は毎日のことなので、うまくいかない場面もくり返されやすくなります。

着替えに時間がかかって叱られた、トイレで失敗して恥ずかしかった、歯みがきで押さえられて怖かった。こうした経験が積み重なると、子どもはその行動自体を避けるようになることがあります。

 

発達障害の子どもは、不安な記憶が残りやすい場合があります。

一度つらい思いをした場面では、「また怒られるかもしれない」「また失敗するかもしれない」と感じ、始める前から拒否が強くなることもあります。

 

朝の忙しい時間や外出前は、大人も余裕がなくなりやすい時間です。

「早くして」「まだできないの」「何回言えば分かるの」と言いたくなる場面もあると思います。

ただ、その言葉が続くと、子どもにとって生活習慣は「できたらうれしいこと」ではなく「怒られないためにやること」になってしまいます。

 

生活習慣を身につけるには、失敗を責めるよりも、できた部分をその場で伝えることが大切です。

全部できなかった日でも、服を手に取れた、歯ブラシを持てた、トイレの前まで行けたなど、少し進んだ場面を見つけることで、子どもは次の一歩に向かいやすくなります。

身辺自立とは?着替え・歯みがき・トイレで育てたい力

 

身辺自立とは、食事、着替え、排泄、清潔、身支度など、自分の生活に関わる動作を少しずつ自分で行えるようになることです。

ただし、身辺自立は「何でも一人でできるようにすること」だけを意味するものではありません。

 

子どもが自分の体の状態に気づくこと、自分でやってみようとすること、必要なときに大人へ助けを求められることも、身辺自立の大切な力です。

 

発達障害の子どもの場合、年齢だけで判断すると親子ともに苦しくなることがあります。

同じ年齢でも、手先の使い方、感覚の感じ方、見通しの持ちやすさ、ことばの理解には差があります。

その子が今どこまで分かっていて、どの部分に手助けが必要なのかを見ることで、家庭での練習も進めやすくなります。

着替えでは服の向き・手順・体の動かし方が関係する

着替えは、身辺自立の中でもつまずきが出やすい生活動作です。

服の前後が分からない、袖に腕が通らない、ズボンを途中までしか上げられない、靴下のかかとが合わないなど、困り方は子どもによって違います。

 

着替えが苦手な子どもには、子どもに合う服を選ぶだけで、着替えやすさが変わることがあります。

前後が分かりやすい柄の服、伸びやすい素材、首まわりに余裕のある服、タグや縫い目が気になりにくい服を選ぶだけでも、着替えへの負担が減ることがあります。

 

また、服の置き方も大切です。

上下の服を着る順番に並べる、前が分かる向きで置く、靴下を左右そろえて置くなど、子どもが見たときに次の動作へ進みやすい形にしておくと、声かけが少なくても動きやすくなります。

 

最初から全部を一人で着る必要はありません。

片腕だけ通す、ズボンを最後に引き上げる、靴下のつま先だけ入れるなど、子どもができる部分を残すことで、「自分でできた」という感覚が育ちます。

歯みがきでは口まわりの感覚と見通しが大切になる

歯みがきを嫌がる子どもには、口まわりの感覚が大きく関係していることがあります。

口の中は刺激に敏感な場所です。

歯ブラシが歯ぐきに当たる感覚、歯みがき粉の味、口を開け続けること、うがいの感覚などが重なると、子どもにとっては負担が大きくなります。

 

まずは、歯みがきをいきなり最後までやろうとしないことが大切です。

歯ブラシを見る、手に持つ、口元に近づける、前歯に一回だけ当てる、奥歯を少し磨くというように、段階を分けると受け入れやすくなる子がいます。

 

歯ブラシの硬さや大きさ、歯みがき粉の味も子どもに合うものを選びます。

味が苦手な場合は、無理に歯みがき粉を使わず、水だけで始める方法もあります。

歯ブラシが苦手な場合は、口まわりに触れる遊びや、鏡を見ながら口を開ける練習から始めることもあります。

 

歯みがきは、何をされるか分からないと、不安が強くなります。

「前の歯を三回磨くよ」「次は右の奥だよ」「あと少しで終わりだよ」と短く伝えると、子どもが受け入れやすくなることがあります。

トイレでは安心できる環境とタイミングの理解が必要になる

トイレの習慣は、発達や感覚、体の状態、生活リズムが関係します。

「年齢的にはできるはず」と考えて進めると、子どもにとっても保護者にとっても負担が大きくなりやすい場面です。

 

トイレを嫌がる子どもの中には、便座に座ることが不安な子、足が床につかず姿勢が安定しない子、水の流れる音が怖い子、失敗を強く気にする子がいます。

便座に座ったときに足がぶらぶらすると、体に力が入りやすく、排泄に集中しにくくなる場合もあります。

 

足台を置く、便座を子ども用にする、音が苦手な場合は流すタイミングを大人が調整するなど、子どもが安心して入れる環境を作ることが大切です。

 

また、トイレに行くタイミングが分かりにくい子どももいます。

尿意や便意に気づきにくい場合、声かけだけでは間に合わないことがあります。

朝起きた後、食後、外出前、お風呂の前など、生活の流れの中でトイレに行く時間を決めると、習慣として入りやすくなります。

 

トイレの成功だけを見てしまうと、失敗した日の印象が強くなります。

便座に座れた、トイレの中に入れた、ズボンを下ろす動作ができたなど、途中の行動にも目を向けることで、子どもはトイレへの抵抗を減らしやすくなります。

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家庭でできる生活習慣づくりと身辺自立の支援

 

生活習慣を家庭で育てるときは、毎日完璧にできることを目指すよりも、子どもが取り組みやすい形に変えることが大切です。

特に発達障害の子どもは、言葉だけで理解するよりも、目で見て分かる形や、体で覚えられる流れがある方が動きやすくなることがあります。

 

家庭での支援は、特別な道具をそろえることだけではありません。

声かけを短くする、手順を一つにする、置き場所を変えない、できた場面をすぐ伝える。こうした小さな関わりが、生活習慣を身につけるきっかけになります。

「全部やる」ではなく一つの動作に分けて練習する

生活習慣が身につかないときは、一つの行動をさらに小さく分けて見ることが大切です。

「着替えができない」と見える場面でも、服を選ぶことが苦手なのか、脱ぐことが苦手なのか、袖に腕を通すことが苦手なのかによって、必要な手助けは変わります。

 

「歯みがきができない」と見える場面でも、洗面所に行くことが苦手なのか、歯ブラシを口に入れることが苦手なのか、うがいが苦手なのかによって、練習する場所は変わります。

 

子どもがつまずいている部分を一つに絞ると、大人も声をかけやすくなります。

「まず服を持とう」「右の袖だけ通そう」「歯ブラシを持ってみよう」「トイレのドアまで行こう」のように、今すぐできる動作に変えることで、子どもは行動を始めやすくなります。

 

行動を小さく分ける考え方は、発達が気になる子のスモールステップ療育|「できた」を増やす家庭での関わり方でも詳しく扱っています。

生活習慣の練習でも、最初の一歩を小さくすることで、子どもが「できた」と感じる場面を増やしやすくなります。

写真・絵カード・置き方で手順を見える化する

生活習慣は、言葉で何度も伝えるより、見て分かる形にした方が伝わりやすいことがあります。

着替えの順番を写真で貼る、歯みがきの流れを洗面所に置く、トイレに行くタイミングを毎日の流れの中に入れるなど、子どもが自分で確認できる形にしておくと、保護者の声かけも減らしやすくなります。

 

写真や絵カードを使う場合、細かく作り込みすぎる必要はありません。

子どもが見て分かることが大切です。

パジャマ、服、歯ブラシ、トイレ、かばんなど、実際に使う物の写真を撮って貼るだけでも、次に何をするか分かりやすくなります。

 

物の置き方も、生活習慣を支える手がかりになります。

服は毎日同じ場所に置く、歯ブラシは子どもの手が届く位置に置く、トイレの足台はいつも同じ位置に置くなど、環境が変わりすぎないようにすると、子どもは行動を覚えやすくなります。

 

朝の支度の中で生活習慣が止まりやすい場合は、発達特性のある未就学児の朝の支度が捗る!家庭でできる療育の工夫も参考になります。

できた場面をすぐに認めて成功体験を増やす

生活習慣は毎日のことだからこそ、できていない場面に目が向きやすくなります。

けれども、発達障害の子どもが次の行動に向かうには、「自分にもできる」という感覚が必要です。

 

全部できたときだけ声をかけるのではなく、途中の行動にも目を向けます。

服を手に取った、歯ブラシを持った、トイレの前まで行った、便座に座れた。こうした場面で短く声をかけると、子どもは自分の行動に気づきやすくなります。

 

声かけは、長く説明しすぎない方が伝わりやすいことがあります。

「服を持てたね」「口を開けられたね」「座れたね」のように、今できた行動をそのまま伝えるだけでも十分です。

 

反対に、「ほら、できるじゃない」「最初からやればよかったのに」と続けると、子どもは責められたように感じることがあります。

できた場面をそのまま受け止めることで、次もやってみようという気持ちにつながります。

生活習慣の苦手さを療育につなげる考え方

 

生活習慣の悩みは、家庭の中だけで抱えやすい悩みです。

着替えや歯みがき、トイレは毎日のことなので、「家で何とかしないといけない」と感じる保護者の方も少なくありません。

 

しかし、発達障害の子どもの生活習慣には、感覚、姿勢、手先の使い方、ことばの理解、見通し、気持ちの切り替えなど、多くの発達の力が関係しています。

家庭だけで解決しようとすると、親子ともに疲れてしまうことがあります。

生活習慣の悩みは家庭だけで抱え込まない

生活習慣がなかなか身につかないとき、保護者の方は「自分の声かけが悪いのでは」「甘やかしているのでは」と感じてしまうことがあります。

けれども、子どもの生活動作の苦手さは、しつけだけで説明できるものではありません。

 

着替えに時間がかかる背景には、服の感覚が苦手、体の動かし方が分からない、手順を覚えにくいなどの理由があるかもしれません。

歯みがきを嫌がる背景には、口の中の感覚の過敏さや、何をされるか分からない不安があるかもしれません。

トイレの失敗には、排泄のサインに気づきにくいことや、環境への不安が関係している場合もあります。

 

家庭で工夫しても変化が出にくいときは、児童発達支援事業所など外部の支援先に相談することで、子どもの見方が変わることがあります。

家庭での困りごとを話すことは、特別なことではありません。

毎日の生活で起きていることこそ、支援を考える大切な手がかりになります。

園生活で見える困りごとも支援のヒントになる

生活習慣の苦手さは、家庭だけでなく園生活の中にも表れます。

園で着替えに時間がかかる、トイレに誘われても行けない、給食後の歯みがきに参加しにくい、身支度の流れで止まりやすいなど、集団生活の中で気づかれることもあります。

 

家庭ではできるのに園ではできない、園ではできるのに家庭では嫌がるという違いがある場合もあります。

その違いには、環境、時間、声かけ、人との関係、周りの音や刺激などが関係していることがあります。

 

家庭と園で見えている姿を合わせて考えると、子どもがどの場面で動きやすいのか、どの場面で止まりやすいのかが見えやすくなります。

「家では朝の着替えで止まりやすい」「園ではトイレの声かけで固まりやすい」など、具体的な場面を共有することで、支援の方向も決めやすくなります。

 

小学校入学前の生活習慣が気になる場合は、発達障害のある子の就学準備|小学校入学前に整えたい生活習慣と療育のポイントも参考になります。

入学前に育てたい生活の力について、学校生活につながる視点から書いています。

児童発達支援では身辺自立につながる生活動作を支援する

児童発達支援では、着替え・歯みがき・トイレだけを単独で練習するのではなく、その動作につながる力も育てていきます。

姿勢を保つ力、手先を使う力、目で見て分かる力、順番を待つ力、気持ちを切り替える力、人のまねをする力など、生活動作の土台になる力はたくさんあります。

 

たとえば、着替えが苦手な子どもには、腕を通す動きや体の向きを変える遊びが役立つことがあります。

歯みがきが苦手な子どもには、口まわりの感覚に少しずつ慣れる関わりや、鏡を見ながら動きをまねる活動が支えになることがあります。

トイレが苦手な子どもには、姿勢を安定させる体づくりや、生活の流れの中でタイミングを知る関わりが必要になることがあります。

 

ゆめラボでは、子ども一人ひとりの発達や生活の様子を見ながら、家庭で取り入れやすい関わり方も一緒に考えます。

「家でどこまで手伝えばよいか分からない」「毎回怒ってしまう」「園と家庭で様子が違う」といった悩みも、相談のきっかけになります。

まとめ|生活習慣や身辺自立の悩みはゆめラボに相談してみてください

 

発達障害の子どもの生活習慣が身につかない背景には、手順の分かりにくさ、感覚の負担、体の使い方の苦手さ、失敗経験への不安など、さまざまな理由があります。

着替え・歯みがき・トイレなどの身辺自立は、毎日の生活に欠かせない力ですが、子どもによって身につく速さも、必要な手助けも違います。

 

大切なのは、できない場面を責めることではなく、子どもがどこで困っているのかを見ることです。

一つの動作に分ける、見て分かる形にする、できた場面をその場で伝える。そうした関わりを重ねることで、子どもは少しずつ自分でやってみる力を育てていきます。

 

ゆめラボでは、児童発達支援の中で、生活習慣や身辺自立につながる力も大切にしています。

着替え、歯みがき、トイレ、朝の支度、園生活での身支度など、毎日の暮らしの中で気になることがあれば、ゆめラボに相談してみてください。

 

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