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療育コラム

2025.06.13

発達障害の子どもが家で走り回る・飛び跳ねるときの安全な関わり方

 

「家の中で急に走り回る」「ソファや布団の上で何度も飛び跳ねる」「家具やきょうだいにぶつかりそうで目が離せない」

そんなお子さまの様子に、毎日ヒヤヒヤしている保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

発達障害や発達に特性のある子どもにとって、走る、跳ぶ、体をぶつけるように動くといった行動は、単なるわがままやふざけとは言い切れません。

体の感覚を確かめていたり、刺激を求めていたり、どう動けばよいか分からず、勢いのまま動き出していることもあります。

 

もちろん、家の中で走り回る・飛び跳ねる行動は、転倒やけがにつながることもあるため、そのまま見守るだけでは済まない場面もあります。

ただ、「やめなさい」「静かにしなさい」と止めるだけでは、お子さまに伝わりにくく、親子ともに疲れてしまいます。

 

このページでは、児童発達支援事業所ゆめラボの視点から、発達障害の子どもが家で走り回る・飛び跳ねる理由、安全に動ける環境づくり、家庭での声かけ、療育でできる支援について紹介します。

発達障害の子どもが家で走り回る・飛び跳ねるのはなぜ?

 

家の中で走り回る、飛び跳ねる、ソファに何度も登るといった行動を見ると、保護者の方は「落ち着きがない」「危ないと分かっていない」と感じやすいものです。

しかし、発達障害や発達に特性のある子どもでは、その行動の背景に、感覚の感じ方、体の使い方、見通しの持ちにくさ、気持ちの切り替えにくさが関係している場合があります。

 

まずは、行動だけを見て叱るのではなく、「なぜこの子は今、これだけ動きたくなっているのか」と考えることが、家庭での関わりを見直す出発点になります。

動くことで体の感覚を整えていることがある

発達障害の子どもの中には、走る、跳ぶ、転がる、強く踏みしめるといった動きによって、自分の体の感覚を確かめている子がいます。

体の位置や力加減を感じ取りにくい子にとって、じっとしている時間はかえって落ち着きにくく、全身を大きく動かすことで「今、自分の体がここにある」という感覚を得ている場合があります。

 

たとえば、ソファで飛び跳ねる、布団に倒れ込む、部屋の端から端まで走るといった行動は、大人から見ると危ない行動に見えます。

ただ、お子さまにとっては、体に入る刺激が分かりやすく、気持ちを保つための行動になっている場合があります。

 

こうした背景がある子には、「走らないで」と言うだけでは、必要としている感覚が満たされず、別の場所で同じ行動が出やすくなります。

 

感覚面への関わり方については、感覚遊びで発達を支える|発達障害の子どもと家庭でできる療育遊びでも詳しく紹介しています。

刺激が足りず、動くことで安心しようとしていることがある

外では緊張して動きが少ないのに、家に帰ると急に走り回る子もいます。

園や外出先でがんばって過ごしたあと、家の中で体を動かすことで気持ちをゆるめている場合があります。

 

また、天気が悪くて外遊びができなかった日や、室内で過ごす時間が長かった日は、体を動かしたい気持ちが強くなりやすくなります。

その結果、廊下を走る、ソファで跳ぶ、きょうだいに体を寄せる、寝る前に急に元気になるといった行動につながります。

 

このときに必要なのは、すべての動きを止めることではなく、家の中でも安全に体を使える形に変えていくことです。

動きたい気持ちを否定せず、けがにつながりにくい場所や方法へ移していくことで、保護者の負担も軽くなりやすくなります。

止められる経験が続くと親子で疲れやすくなる

家で走り回る・飛び跳ねる行動が続くと、保護者の方は何度も注意せざるを得なくなります。

「危ない」「やめて」「静かにして」と言い続けるうちに、保護者の方も疲れてしまい、お子さまも「また怒られた」と感じやすくなります。

 

発達障害や多動傾向のある子どもは、危ないと分かっていても、その場の勢いや刺激に引っ張られて行動が止まりにくくなります。

言われた内容を理解していないのではなく、体が先に動いてしまう場合もあります。

 

そのため、注意の回数を増やすよりも、先に環境を変えたり、動いてよい場面を作ったり、止まる合図を短く決めたりするほうが伝わりやすくなります。

親子でぶつかる時間を減らしながら、安全に過ごせる方法を増やしていくことが大切です。

家で走り回る子には「止める」より安全に動ける環境を作ること

 

家の中で走り回る・飛び跳ねる行動があるとき、最初に考えたいのは「どう止めるか」だけではありません。

もちろん、危険な行動は止める必要があります。

ただ、動きたい気持ちそのものをなくそうとすると、お子さまにとっても保護者の方にとっても負担の大きい関わりになりやすいです。

 

家庭では、走ってよい場所、跳んでよい場所、動いた後に落ち着く流れをあらかじめ作ることで、行動を安全な形へ移しやすくなります。

走っていい場所・飛び跳ねていい場所を決める

家の中すべてを「走ってはいけない場所」にすると、動きたい気持ちの強い子どもは何をすればよいのか分かりにくくなります。

「ここでは歩く」だけでなく、「ここならジャンプしていい」「このマットの上なら体を動かしていい」と伝えることで、どこで何をしてよいかが伝わりやすくなります。

 

たとえば、布団の上で跳びたがる子には、硬い床やソファではなく、転んでも危険が少ないマットの上に移動してから跳ぶようにします。

廊下を走りたがる子には、家の中で走るのではなく、その場で足踏みをする、壁にタッチする、クッションを運ぶなど、限られた範囲で体を使う動きに変えていきます。

 

「だめ」だけで終わらせず、「ここでならできる」と伝えることで、お子さまは自分の行動を切り替えやすくなります。

家具の角・床・周囲の危険を先に減らす

家で走り回る・飛び跳ねる行動がある場合、声かけの前に危険を減らしておくことが欠かせません。

家具の角、滑りやすい床、倒れやすい物、コード類、低いテーブル、ガラス製品などは、勢いよく動く子どもにとって、けがにつながりやすい場所になります。

 

お子さまがよく動く場所を見て、ぶつかりやすい位置に物がないか、床で滑りやすくなっていないか、ジャンプした先に危ない物がないかを確認します。

動きが出やすい場所が決まっている場合は、その場所だけでもマットを敷いたり、周囲の物を減らしたりすると、保護者の方も見守りやすくなります。

 

安全な環境を作ることは、甘やかしではありません。

発達障害の子どもが自分の体を使いながら、少しずつ安全な動き方を覚えていく土台になります。

時間を区切って動くことで見通しを持たせる

動く時間を終わらせるときに、急に「もう終わり」と伝えると、気持ちが切り替わらず泣いたり怒ったりする子もいます。

特に発達障害の子どもは、終わりが見えない活動や、急な切り替えが苦手な子もいます。

 

そのようなときは、最初から「このタイマーが鳴るまでジャンプ」「この曲が終わるまで足踏み」「10回跳んだら水を飲む」など、終わりが見える形にします。

時間や回数が見えると、お子さまは動く時間と終わる時間を受け止めやすくなります。

 

待つことや切り替えの練習については、子どもが待てないのはなぜ?3分でできる「ちょっと待つ」練習でも紹介しています。

家庭でできる多動傾向の子どもへの関わり方

 

多動傾向のある子どもには、長い説明よりも、短く具体的な声かけのほうが伝わりやすい場合があります。

「ちゃんとして」「落ち着いて」「静かにして」では、何をすればよいのか分かりにくい場合があります。

 

家で走り回る・飛び跳ねる行動が出たときは、行動を否定するよりも、次にしてほしい動きを短い言葉で伝えることが大切です。

「走らない」より「ここでジャンプしよう」と伝える

子どもにとって「走らない」は、禁止されたことは分かっても、次に何をすればよいのかが伝わりにくい言葉です。

特に体が先に動きやすい子には、「走らないで」と言うより、「マットでジャンプしよう」「ここで足踏みしよう」「クッションを運ぼう」と伝えるほうが行動につながりやすくなります。

 

大切なのは、危ない行動を見逃すことではありません。

危ない場所で走っているときは止めたうえで、安全な動きへ切り替えます。

 

「廊下は歩く。ジャンプはマット」と短く決めておくと、同じ言葉で伝えやすくなります。

毎回違う言い方をするよりも、家庭内で同じ合図を使うほうが、お子さまも覚えやすくなります。

短い運動あそびで体を使う時間を作る

家で走り回る・飛び跳ねる行動が出やすい子には、先に体を使う時間を作ることも有効です。

何かを始める前に少し体を動かすことで、その後の着替え、食事、遊び、学習前の切り替えがしやすくなる子もいます。

 

家庭では、長い運動時間を用意しなくてもかまいません。

その場ジャンプを10回する、クッションを両手で押す、タオルを引っ張り合う、ぬいぐるみを運ぶ、壁を手で押すなど、短い時間でも体に力を入れる経験ができます。

 

大事なのは、走り回ってから叱る流れだけにしないことです。

動きたい気持ちが強くなる前に、体を使える時間を少し入れることで、家の中での危ない動きを減らしやすくなります。

動いた後に落ち着く流れをセットにする

走る、跳ぶ、押す、運ぶといった動きの後は、そのまま自由にしておくと興奮が続く場合があります。

そのため、動いた後には、落ち着く流れをセットにしておくことが大切です。

 

たとえば、ジャンプをした後に水を飲む、深呼吸をする、絵本を1ページ見る、タイマーを止める、椅子に座ってシールを貼るなど、短い行動から始めます。

「動く時間」と「落ち着く時間」を続けて経験することで、お子さまは体の状態を切り替えやすくなります。

 

最初から長く座る必要はありません。

数秒でも止まれた、マットから移動できた、水を飲めた、次の活動に向かえたという経験が、家庭での安全な関わりにつながります。

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家の中で落ち着きにくい子に取り入れたい環境調整

 

発達障害の子どもが家で走り回る・飛び跳ねる背景には、室内の刺激が関係していることもあります。

目に入る物が多い、音が重なる、遊びの終わりが分からない、次にすることが見えないなど、家の中にも落ち着きにくさにつながる要因があります。

 

環境を変えることで、子どもの行動が急にすべて変わるわけではありません。

それでも、動きが出やすい場面を減らし、保護者の声かけが届きやすい状態を作ることはできます。

視界に入る刺激を減らして過ごしやすくする

おもちゃ、テレビ、きょうだいの動き、壁の掲示物、床に置かれた物など、家の中には子どもの注意を引く刺激が多くあります。

発達障害の子どもは、目に入ったものに気持ちが向きやすく、次々と行動が変わる場合があります。

 

家の中で走り回る時間が増えているときは、お子さまがよく過ごす場所の視界に入る刺激を少し減らしてみます。

全部を片付ける必要はありません。

今使う物だけが見えるようにする、テレビを消してから遊びを始める、床に物を置かない範囲を作るだけでも、動きの勢いが落ち着く場合があります。

 

「何もない部屋」にするのではなく、お子さまが今することに気づきやすい状態を作ります。

クッション・マット・狭いスペースを活用する

体の感覚を求めて動く子には、ただ広い場所を用意するだけでは、かえって走る勢いが強くなる場合があります。

そのようなときは、マット、クッション、布団、テントのような小さなスペースなどを使い、体の感覚が入りやすい場所を作る方法があります。

 

クッションを抱える、マットの上で足踏みする、布団にくるまる、狭いスペースで絵本を見るなど、体に入る感覚が分かりやすい活動は、走り回る行動の代わりになる場合があります。

 

ただし、ソファの背もたれに登る、高い場所から飛び降りる、家具に向かって突進するなど、けがにつながる動きは避ける必要があります。

安全な場所を決めたうえで、「ここなら体を使っていい」と伝えることが大切です。

予定や終わりを見える形で伝える

家の中で落ち着きにくい子は、「この後何をするのか」「いつ終わるのか」が分からないと動きが増える場合があります。

予定が見えないと、不安や退屈さから走り回ったり、飛び跳ねたりして気持ちを保とうとする場合があります。

 

そのようなときは、言葉だけで伝えるのではなく、写真、絵、タイマー、実物などを使って、次の行動を見える形にします。

「ジャンプの後は手を洗う」「タイマーが鳴ったらおやつ」「絵本を見たら寝る準備」など、流れが分かると、行動を切り替えやすくなります。

 

家庭でできる環境面の工夫については、発達障害の子どもが勉強に集中できないとき|家庭学習で見直したい机まわりと環境調整でも紹介しています。

学習場面の記事ですが、刺激を減らす考え方は、家で落ち着きにくい子の過ごし方にも使えます。

児童発達支援では多動傾向の子どもにどのような支援を行う?

 

児童発達支援事業所ゆめラボでは、発達障害や多動傾向のある子どもに対して、ただ動きを止める支援ではなく、体の使い方、気持ちの切り替え、見通しの持ち方を合わせて見ていきます。

家で走り回る・飛び跳ねる行動も、教室での遊びや活動の中に関わり方のヒントが出る場合があります。

 

どのタイミングで動きが強くなるのか、どんな刺激を求めているのか、どの声かけなら止まりやすいのかを見ながら、お子さまに合う関わり方を探していきます。

動く活動と座る活動を組み合わせる

多動傾向のある子どもにとって、最初から長く座ることは負担になりやすいものです。

ゆめラボでは、体を動かす活動と座って取り組む活動を組み合わせながら、お子さまが活動に入りやすい流れを作ります。

 

たとえば、サーキット運動やジャンプ、ボール遊びなどで体を使った後に、短い机上課題や絵本、手先の活動へ移る場合があります。

動く時間があることで、座る時間へ切り替えやすくなる子もいます。

 

着席の支援については、ADHDがある「じっと座れない」子へ|児童発達支援事業所ゆめラボの着席支援でも紹介しています。

体の使い方や力加減を遊びの中で育てる

家で勢いよく走る、強く跳ぶ、家具にぶつかるように動く子は、体の使い方や力加減がまだつかみにくい状態です。

療育では、遊びの中で「どのくらいの力で押すか」「どこで止まるか」「どの方向へ動くか」を経験できるようにします。

 

ボールを転がす、トンネルをくぐる、平均台を渡る、マットで止まる、合図に合わせて動くといった活動を通して、ただ元気に動くだけではなく、自分の体を少しずつコントロールする経験を重ねていきます。

 

発達障害の子どもにとって、体の使い方は、言葉だけで身につくものではありません。

実際に動く中で、止まる、待つ、向きを変える、力を弱める経験を増やすことが、家庭での安全な行動にもつながります。

家庭での困りごとを支援内容につなげる

療育で見える姿と、家庭で見える姿は同じとは限りません。

教室では落ち着いているように見えても、家では走り回る子もいます。

反対に、家では困っていなくても、園や集団場面で動きが目立つ子もいます。

 

そのため、ゆめラボでは保護者の方から家庭での様子をうかがい、支援の内容につなげていきます。

「夕方になると走り回る」「寝る前に飛び跳ねる」「きょうだいにぶつかりそうになる」「食事前に落ち着かない」など、生活の中で出ている困りごとは、支援を考えるうえで欠かせない情報です。

 

家庭での様子をもとに、教室では体を使う活動を先に入れる、切り替えの合図を決める、動いた後に座る流れを経験するなど、お子さまに合う方法を一緒に探していきます。

まとめ|家で走り回る・飛び跳ねる悩みもゆめラボにご相談ください

 

発達障害の子どもが家で走り回る・飛び跳ねる行動には、感覚を求めている、体の状態を保とうとしている、見通しが持ちにくい、気持ちの切り替えが難しいなど、複数の背景があります。

「危ないからやめて」と伝えることも必要ですが、それだけでは行動が変わりにくい場合があります。

 

大切なのは、動きたい気持ちを否定するのではなく、安全に動ける場所や時間を作り、動いた後に落ち着く流れを経験できるようにすることです。

走る、跳ぶ、押す、運ぶといった動きを安全な形に変えていくことで、お子さまは少しずつ自分の体の使い方を覚えていきます。

 

児童発達支援事業所ゆめラボでは、発達障害や多動傾向のあるお子さまに対して、体の使い方、感覚面、切り替え、家庭での困りごとを合わせて見ながら支援しています。

「家で走り回って危ない」「飛び跳ねる行動が続いて目が離せない」「何度注意しても伝わらない」と感じたら、ゆめラボにご相談ください。

 

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