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療育コラム

2026.08.17

ADHDの女の子は気づかれにくい?落ち着きがあっても見逃されやすい不注意の特徴

 

授業中に席を立つわけではない。大きな声で話したり、順番を待てずに飛び出したりする様子も目立たない。それでも、「先生の話を聞き漏らすことが多い」「忘れ物が減らない」「宿題や提出物の管理が苦手」といった困りごとが続く小学生の女の子がいます。

 

ADHD(注意欠如・多動症)というと、「落ち着きがない」「じっと座っていられない」といった多動性を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、ADHDには不注意が主に目立つタイプもあり、周囲から目立つ行動が少ない子もいます。

 

特に女の子では、ADHDの特徴が見逃され、診断や相談につながりにくいことが指摘されています。ただし、「女の子だから多動がない」「ぼんやりしている女の子はADHD」という意味ではありません。

 

大切なのは性別だけで考えるのではなく、聞き漏らし、忘れ物、課題への取りかかり、持ち物の管理など、実際にどのような困りごとが続いているのかを見ることです。

 

このページでは、ADHDの女の子が気づかれにくい理由、不注意の特徴、学校生活で見逃されやすい困りごと、ADHDの可能性を考える際の確認点、家庭や学校でできる対応について、児童発達支援事業所・放課後等デイサービスゆめラボの視点から解説します。

ADHDの女の子が気づかれにくい理由

 

ADHDの特徴の現れ方は一人ひとり異なります。多動性や衝動性が目立つ子がいる一方で、不注意による困りごとが中心となる子もいます。

 

大きく動き回る、授業中に何度も立ち歩くといった行動は周囲から気づかれやすいのに対し、聞き漏らしや、ぼんやりして動き出せないといった不注意による困りごとは、周囲から見過ごされることがあります。

多動や衝動性が目立たず落ち着いて見えることがある

ADHDのある子ども全員に、強い多動性や衝動性が見られるわけではありません。

 

授業中に席へ座っている、集団の中で大きな声を出さない、順番を守れているという姿だけを見ると、「落ち着いているからADHDではなさそう」と受け取られることがあります。

 

しかし、席には座っていても先生の説明を途中から聞き逃している、教科書を開くタイミングが遅れる、課題の指示が分からず周囲を見て動いているといった困りごとが隠れている場合があります。

 

行動量だけを見るのではなく、必要な情報を受け取り、次の行動へつなげられているかまで確認することが重要です。

不注意による困りごとは周囲から見えにくい

不注意は、立ち歩きや大きな声のように周囲からすぐ分かるとは限りません。

 

たとえば、先生の説明を聞いているように見えても、途中から別のことを考えていたり、一部だけ聞き漏らしていたりすることがあります。本人も聞き逃したことに気づいていなければ、自分から「分かりません」と伝えにくくなります。

 

その結果、課題を始めるのが遅れる、指示と違うことをしてしまう、家に帰ってから宿題が分からないといった形で困りごとが現れます。

 

「静かに座っているから問題はない」と考えず、授業や活動の内容を理解して進められているかを見る必要があります。

忘れ物や聞き漏らしが性格の問題として受け取られることがある

何度伝えても忘れる、話を聞いていないように見える、準備に時間がかかるといった様子が続くと、「しっかりしていない」「もっと注意すればできる」と受け取られることがあります。

 

しかし、ADHDの不注意が関係している場合、本人が気をつけようと思うだけでは改善しにくいことがあります。

 

忘れ物も、「持っていくことを知らなかった」「用意したのにランドセルへ入れなかった」「学校へ持っていったが提出し忘れた」など、つまずいている段階は子どもによって違います。

 

結果だけを見て性格の問題と考えるのではなく、どの段階で抜けているのかを確認すると、必要な支援を考えやすくなります。

家庭と学校で困りごとの見え方が異なることがある

学校では「特に問題ありません」と言われているのに、家では宿題を始められない、持ち物をなくす、翌日の準備が進まないということもあります。

 

学校では時間割や先生からの声かけ、周囲の子どもの動きなど、次に何をすればよいか分かる手がかりが多くあります。一方、家庭では自分で宿題を始める、翌日の持ち物を確認するなど、自分で行動を始めなければならない場面が増えます。

 

反対に、家庭では困っていなくても、学校のように多くの情報が入る環境で聞き漏らしや課題の遅れが出る子もいます。

 

ADHDについて考える際は、一つの場面だけで判断せず、家庭と学校それぞれでどのような様子が続いているかを確認します。

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ADHDの女の子に見られる不注意の特徴

 

ADHDの不注意には、集中が続きにくいことだけでなく、話を最後まで聞くこと、必要な物を管理すること、複数の手順を覚えて行動することなど、さまざまな困りごとがあります。

 

次のような様子があるからといってADHDと決まるわけではありませんが、学校や家庭で繰り返し見られる場合には、その子がどこでつまずいているのかを確認する手がかりになります。

話や指示の一部を聞き漏らしやすい

「算数の教科書を出して、32ページを開いて、問題をノートに書きましょう」といった複数の指示が出たとき、一部を聞き漏らすことがあります。

 

教科書は出したもののページが分からない、ページは開けたものの次に何をするのか分からないという状態です。

 

本人は最初から話を聞いていなかったとは限りません。途中で周囲の音や物へ注意が移ったり、一度に伝えられた内容を覚えておくことが難しかったりすると、聞いた内容の一部が抜けることがあります。

 

ADHDの子どもが話を聞く場面でつまずく背景については、ADHDの子が話を聞くのが苦手な本当の理由は?支援のポイントでも詳しく紹介しています。

ぼんやりして授業や活動への参加が遅れる

先生が「次は国語です」と伝えて周りの子が準備を始めても、一人だけ前の活動を続けていたり、ぼんやりしたまま動き出さなかったりすることがあります。

 

席から立つわけでも、大きな声を出すわけでもないため、行動としては目立ちません。しかし、活動への取りかかりが遅れると、授業の最初の説明を聞き逃したり、課題を終える時間が足りなくなったりします。

 

「のんびりした性格」とだけ考えず、声をかけられたことに気づいているか、次に何をするのか理解できているかを確認します。

課題を始めても別のことへ注意がそれやすい

宿題を始めたのに、机の上にある消しゴムで遊び始める。プリントへ取り組んでいる途中で周囲の会話が気になり、手が止まる。このように、始めることはできても最後まで注意を保ちにくい子がいます。

 

本人にやる気がないとは限りません。周囲に音や物、人の動きが多いと、取り組んでいる課題以外へ注意が向きやすくなることがあります。

 

「集中しなさい」と繰り返すより、机の上に必要な物だけを置く、取り組む範囲を短く区切るなど、注意を向けやすい環境を作る方が取り組みやすくなります。

持ち物や提出物の管理が難しく忘れやすい

学校生活では、教科書、ノート、プリント、連絡帳、給食袋など、多くの物を場面に応じて管理します。

 

ADHDの不注意が目立つ場合、必要な物を机へ置いたまま帰る、提出するプリントをランドセルへ入れたままにする、持ち帰った書類を保護者へ渡し忘れるといったことがあります。

 

「忘れ物が多い」という一つの結果だけでなく、準備する、持っていく、提出するという流れのどの段階で忘れているかを見ることが重要です。

 

忘れ物への具体的な支援については、ADHDの子どもの忘れ物対策|家庭でできる工夫と療育での支援も参考にしてください。

複数の指示や手順を覚えて行動することが難しい

「プリントをしまって、筆箱をランドセルに入れて、トイレへ行ってから並ぶ」といった複数の行動を一度に求められると、途中の手順が抜けることがあります。

 

一つずつ伝えればできるのに、複数になると進まなくなる場合は、「できない」のではなく、一度に扱う情報量が多すぎる可能性があります。

 

最初は一つか二つの指示に分け、終わってから次を伝える方法が使えます。毎日同じ手順で行う準備であれば、文字や写真で順番を確認できるようにする方法もあります。

ADHDの女の子が小学校生活で見逃されやすい困りごと

 

学校では、授業を聞く、必要な物を出す、課題を終える、次の教科へ準備するなど、一日の中で注意を向けたり切り替えたりする場面が何度もあります。

 

多動性が目立たない子では、周囲へ大きな影響が出にくいため、不注意による本人の困りごとが表面化しないまま学年が上がることもあります。

席には座れていても授業内容を聞き逃している

授業中に着席できていることと、先生の説明を最後まで聞けていることは同じではありません。

 

先生を見ているようでも途中から別のことを考えている、黒板を写すことに集中して説明を聞き逃す、周囲の音へ注意が移るといったことがあります。

 

その結果、「授業では静かだったのに、家庭で宿題に取り組むと、授業内容が十分に分かっていない」ということが起こります。

 

着席できているかだけでなく、指示を理解して動けているか、課題の内容をつかめているかまで見る必要があります。

周囲の動きに合わせることで課題の遅れが表面化しにくい

先生の指示を聞き漏らしても、周囲の子が教科書を出したのを見て同じように動けば、その場では困っているように見えないことがあります。

 

プリントの進め方が分からなくても隣の子を見ながら進めたり、次の活動が分からなくても周囲が動き出してからついていったりすることで、困りごとが目立たない場合があります。

 

こうした状態が続くと、本人は毎回周囲を確認しながら動く必要があり、本人にとって負担になることがあります。

 

「周りと同じようにできている」という結果だけでなく、自分で指示を理解して行動できているかを見ることが大切です。

宿題や提出物を覚えていても実行までつながらない

「明日までにプリントを出す」と覚えていても、実際にランドセルから取り出して先生へ渡すところまで進まないことがあります。

 

家庭でも、宿題があることは分かっているのにテレビを見始め、そのまま時間が過ぎてしまうことがあります。

 

これは「知っているかどうか」だけではなく、決められた時間に思い出し、行動を始め、終わるまで進める一連の流れのどこかでつまずいている可能性があります。

 

「覚えているならできるはず」と考えず、いつ確認するのか、どこへ置くのか、どのタイミングで出すのかまで具体的に決めます。

集団では目立たなくても一人で準備や片付けを進めにくい

学校では周囲の子が一斉に動くため、その流れに合わせて準備できていても、一人になると何から始めればよいか分からなくなる子がいます。

 

家で翌日の準備を任せるとランドセルを開いたまま別のことを始める、机の片付けを始めても途中で見つけた物で遊び始めるといった様子です。

 

集団でできているから一人でも同じようにできるとは限りません。周囲の動きを手がかりにしていたのか、自分で手順を思い出して進めていたのかを確認します。

ADHDの可能性を考えるときに確認したいポイント

 

ぼんやりする、忘れ物が多い、話を聞き漏らすといった特徴があるだけで、ADHDと判断することはできません。

 

ADHDの可能性を考えるときは、特徴がどのくらい続いているか、家庭や学校など複数の場面で見られるか、学習や生活にどの程度影響しているかなどを確認します。

不注意の特徴が家庭と学校の複数の場面で続いているか確認する

ADHDの診断では、不注意または多動・衝動性の症状が少なくとも6か月続き、家庭や学校など2つ以上の場面で見られ、生活に影響していることなどを確認します。

 

家庭では忘れ物や宿題の開始に困っている、学校では聞き漏らしや課題の遅れがあるというように、場所によって困りごとの現れ方が違うこともあります。

 

保護者だけ、学校だけで判断せず、それぞれの場所でどのような様子があるのかを共有すると、本人の困りごとを捉えやすくなります。

学習や友だち関係など日常生活への影響を確認する

不注意の特徴があっても、本人が学校や家庭で困っていない場合と、毎日の生活に大きな影響が出ている場合では対応が異なります。

 

授業の説明を聞き逃して学習が分からなくなっている、忘れ物で何度も注意されている、約束を忘れて友だちとのトラブルが増えているなど、実際の生活で何が起きているのかを確認します。

 

特徴の数だけではなく、本人がどの場面で困っているのかを見ることが重要です。

睡眠や不安、学習のつまずきなど別の要因も確認する

集中できない、ぼんやりする、課題が進まないといった様子は、ADHDだけで起こるものではありません。

 

睡眠不足が続いている、不安が強い、授業内容そのものが理解しにくい、読み書きなど特定の学習に強いつまずきがある場合にも、似た様子が見られます。

 

たとえば、国語の時間だけ集中が切れる場合には、不注意だけでなく読むことへの負担が関係している可能性もあります。

 

「ADHDかどうか」だけに目を向けず、いつ、どの教科や場面で困っているのかも確認します。

一つの特徴だけでADHDと判断しない

忘れ物が多い、ぼんやりしている、話を聞き漏らすという一つの特徴だけでADHDと判断することはできません。

 

ADHDには不注意、多動性、衝動性などの特徴がありますが、その現れ方や程度には個人差があります。また、同じように見える行動でも背景が異なることがあります。

 

家庭や学校で困りごとが続いている場合は、自己判断だけで結論を出さず、かかりつけの小児科や児童精神科、発達外来、地域の発達相談窓口などへ相談します。

ADHDの女の子の不注意を支える家庭・学校での対応

 

不注意への対応では、「もっと集中して」「忘れないように」と本人の意識だけに任せるのではなく、情報を受け取りやすくし、次の行動が分かる環境を作ります。

 

何につまずいているのかによって必要な支援は異なるため、その子が実際に困っている場面から方法を考えます。

一度に伝える内容を減らして指示を具体的にする

複数の指示を一度に伝えると途中が抜ける場合は、最初に必要な行動だけを短く伝えます。

 

「明日の準備をして」ではなく、「まず連絡帳を出そう」「次に時間割を見よう」というように、一つの行動が終わってから次へ進みます。

 

本人ができるようになってきたら、一度に伝える内容を少しずつ増やします。最初からすべて一人でできることを求める必要はありません。

予定や持ち物を視覚化して確認しやすくする

口頭で何度も伝えるだけでなく、本人が自分で確認できる視覚的な手がかりを用意します。

 

時間割、持ち物、帰宅後にすることなどを文字や写真で見られるようにすると、「何だったっけ」と思ったときに自分で戻って確認できます。

 

確認表を作ることが目的ではありません。実際に本人が見る場所へ置き、毎日の行動の中で使える形にすることが重要です。

課題の開始と終了を分かりやすくする

宿題や片付けを始めにくい子には、「全部終わらせる」ではなく、最初に取り組む範囲を明確にします。

 

「算数プリントの1枚目をする」「机の上の教科書を本棚へ戻す」など、どこから始めて何をしたら終わりなのかが分かる形にします。

 

終わりが見えないと、課題に取りかかりにくい子もいます。取り組む量を分け、終わったことが本人にも分かるようにすると、次の行動へ進みやすくなります。

できなかった結果ではなくつまずいた過程を確認する

「また忘れた」「また遅れた」という結果だけを見ると、毎回同じ注意になりやすくなります。

 

忘れ物であれば、用意する段階で忘れたのか、ランドセルへ入れ忘れたのか、学校で出し忘れたのかを確認します。宿題であれば、始められなかったのか、途中で注意がそれたのか、終わったあとに提出準備ができなかったのかを見ます。

 

つまずいた段階が分かれば、「もっとしっかりする」ではなく、本人が次に使える具体的な方法を考えられます。

家庭と学校で困りやすい場面を共有する

家庭では翌日の準備に時間がかかる、学校では授業の最初の指示を聞き漏らしやすいなど、場所によって困りごとが違うことがあります。

 

「ADHDだから配慮してください」と伝えるだけではなく、「複数の指示が続くと途中が抜けやすい」「提出物は机の中に残りやすい」というように、実際の場面を共有すると支援方法を考えやすくなります。

 

家庭と学校で同じ方法にそろえる必要はありません。それぞれの環境で本人が使いやすい方法を取り入れます。

まとめ|ADHDの女の子の発達や不注意が気になったらゆめラボへご相談ください

 

ADHDの女の子の中には、多動や衝動性が目立たず、落ち着いて見える子がいます。そのため、席には座れていても説明を聞き漏らしている、周囲の動きを手がかりに行動している、忘れ物や提出物の管理で困っているといった不注意が見過ごされることがあります。

 

一方で、ぼんやりしている、忘れ物が多いという一つの特徴だけでADHDと判断することはできません。家庭と学校の複数の場面で困りごとが続いているか、学習や友だち関係など日常生活に影響しているか、睡眠や不安、学習面など別の背景がないかも確認する必要があります。

 

家庭では、一度に伝える内容を減らす、予定や持ち物を目で確認できるようにする、課題の開始と終了を明確にするなど、「本人がもっと注意する」ことだけに頼らない方法が大切です。

 

児童発達支援事業所・放課後等デイサービスゆめラボでは、お子さまの不注意だけを見るのではなく、ことば、学習、生活動作、気持ちの切り替え、人との関わりなど、実際に困っている場面を確認しながら一人ひとりに合った個別療育を行っています。「落ち着いているけれど、聞き漏らしや忘れ物が多い」「学校では問題ないと言われるものの家庭では困っている」など、発達について気になることがある方は、ゆめラボへご相談ください。

 

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