「欲しいものがあるのに泣いてしまう」「困ってもその場で固まってしまう」「毎回大人が先回りしてしまい、言葉で伝えるきっかけがつくれない」。そんな悩みを感じるご家庭は少なくありません。
子どもにとって「ちょうだい」や「手伝って」は、ただ言葉を覚えるだけのものではなく、自分の気持ちや困りごとを相手に届けるための大事な力です。これが少しずつ育ってくると、泣く、取る、怒るだけで終わらず、やりとりの中で気持ちを伝えやすくなっていきます。
児童発達支援事業所ゆめラボでも、お願いの言葉は日々の支援の中で大切にしているテーマのひとつです。
このページでは、「ちょうだい」「手伝って」を言えない背景から、家庭で始めやすい練習の進め方、うまくいかないときの見直し方まで、毎日の生活の中で取り入れやすい形でご紹介します。
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「言えない」という姿だけを見ると、言葉の練習が足りないように感じるかもしれません。けれど実際には、気持ちはあるのに出し方がわからない、伝えたいけれど間に合わない、その場でどう伝えればよいかが、まだつかめていないということもよくあります。
大切なのは、「言わない子」と決めつけることではなく、その子が今どんな形なら伝えやすいのかを見ることです。お願いの言葉は、気持ち、場面、相手とのやりとりが少しずつ結びつく中で育っていきます。
小さい子どもほど、「欲しい」という気持ちが強くなると、言葉より先に体が動きやすくなります。おもちゃを取ろうとする、手を伸ばす、泣く、怒るといった反応は、わがままというより、気持ちの大きさに表現が追いついていない状態として見たほうが自然です。
特に、欲しいものがすぐ目の前にある場面では、考えて言葉にするよりも先に手が出ることがあります。これはお願いの気持ちがないのではなく、「ほしい」と思った瞬間に行動で表している形です。
まずは、こうした行動の裏にある気持ちを受け止めることが出発点になります。そのうえで、「欲しいときはこう伝えると相手に届きやすいんだよ」という経験を重ねていくことが大切です。
「手伝って」が言えない子どもの中には、困っていないのではなく、困ったときにどうしたらよいかがまだつながっていない場合があります。服がうまく着られない、ブロックが外れない、蓋が開かない。そんなときに固まる、怒る、投げるといった形で困り感が出ることがあります。
大人から見ると「手伝ってって言えばいいのに」と思う場面でも、子どもにとっては、その言葉とその場面がまだ結びついていないことがあります。困ることと助けを求めることがつながるには、何度か経験が必要です。
だからこそ、困った場面で大人がすぐ全部をやってしまうのではなく、「今は助けてほしい場面なんだな」とわかるような関わりを重ねていくことが意味を持ちます。
お願いというと、言葉で言うことだけを思い浮かべがちですが、実際には指さし、手を出す、視線を向ける、カードを見せるなども大切な伝え方です。言葉がまだ出にくい時期には、こうした方法がその子にとっての「伝えられた」経験になります。
大人が目指したいのは、最初からきれいな言葉を言わせることではなく、「伝えたらわかってもらえた」という実感を増やすことです。その積み重ねが、あとから言葉につながる土台になります。
ことば全体の育ちが気になる場合は、子どもの言葉が遅いと感じたら?家庭でできる5つの関わり方もあわせて参考にしてみてください。
お願いの練習というと、つい「何回言わせるか」「きちんと言えるか」に意識が向きやすくなります。けれど、家庭で続けやすいのは、練習らしさを強く出すより、毎日のやりとりの中で少しずつ伝わる経験を増やしていく関わり方です。
無理に言わせようとすると、子どもにとってお願いすることそのものがしんどくなってしまうことがあります。最初から完璧を求めず、その子の今の伝え方を出発点にしていくことが大切です。
「ちょうだい」と言わせたいのに、指をさすだけで終わってしまう。「手伝って」と言ってほしいのに、黙ってこちらを見るだけ。そんな場面が続くと、つい焦りたくなることがあります。
けれど、お願いの力は、いきなり言葉だけで完成するものではありません。相手を見る、手を伸ばす、指をさす、声を出すといった一つひとつが、相手に向けた発信として意味を持っています。
はじめは小さなサインでも、それを受け取ってもらえる経験が増えると、子どもは「こうすると伝わるんだ」と感じやすくなります。その先に、ことばで伝えようとする動きが生まれてきます。
お願いの言葉が育つ背景には、「伝えてよかった」という実感があります。何かを求めたときに大人が応えてくれた、困ったときに助けてもらえた、そんな経験が次の発信につながります。
反対に、せっかく何かを伝えようとしても気づかれない、伝えても変わらないということが続くと、子どもは言葉やジェスチャーを使う意味を感じにくくなります。だからこそ、大人が小さな発信を見逃さずに受け取ることが大切です。
ゆめラボでも、言葉そのものだけでなく、「伝えようとしたこと」を受け止める関わりを大事にしています。お願いの言葉は、伝えてよかったと思えるやりとりの中で育っていきます。
家庭では、子どもが困る前に手を出したくなる場面がたくさんあります。早くしてあげたほうがスムーズですし、泣かれる前に動きたくなるのも自然なことです。
ただ、毎回大人が先に動いてしまうと、子どもが「伝える番」を経験しにくくなります。ほんの少し待ってみるだけで、視線を向ける、手を差し出す、声を出すといったサインが見えてくることがあります。
待つといっても長く我慢させる必要はありません。数秒の間をつくり、「どうしたいかな」「言ってみる?」と軽く支えるだけでも十分です。お願いの練習は、その短い間の中で始まっていきます。
「ちょうだい」は、お願いの言葉の中でも家庭で始めやすいテーマです。欲しいものがはっきりしていて、伝わった結果も子どもにとってわかりやすいため、成功体験につながりやすいからです。
ポイントは、無理に言わせることではなく、「ほしい」という気持ちを相手に向ける流れをつくることです。楽しいやりとりの中で繰り返していくと、子どもにとっても受け入れやすくなります。
最初の練習は、子どもが本当に欲しいと思っているものを使うほうが進めやすくなります。お菓子、お気に入りのおもちゃ、シャボン玉、風船など、反応がはっきり出るものが向いています。
大人がそれを少し持った状態で、子どもが欲しそうにしたら、すぐに渡さず一呼吸だけ待ってみます。そのときに視線が向く、手を伸ばす、声を出すといった反応が出たら、それがお願いのスタートです。
反応があった瞬間をつかまえて、「ちょうだいかな?」と短く言葉を添えると、気持ちとことばがつながりやすくなります。長く説明しすぎないこともポイントです。
お願いの練習では、タイミングがとても大切です。欲しい気持ちが高まっている瞬間に合わせて言葉を添えると、子どもにとっても意味がわかりやすくなります。
たとえば、手を伸ばしたときに「ちょうだいだね」「ちょうだい、かな」と短く示します。ここで「ちゃんと言ってごらん」「ほら、何て言うの」など、長い声かけになると、子どもは伝えたい気持ちよりも緊張が強くなってしまうことがあります。
短く、やさしく、今の気持ちに合った言葉を添えることが大切です。少しでも声が出たらもちろん良いですし、声が出なくても相手に向かう動きが見られたら、その一歩を受け止めていきます。
言葉が出ないときに、その場を失敗で終わらせてしまうと、お願いすること自体が嫌になりやすくなります。そんなときは、手を出す、うなずく、カードを見せるといった形でも成功にして大丈夫です。
大切なのは、「自分から相手に向けて伝えた」という経験です。ジェスチャーやカードを使って欲しいものが手に入ったなら、それは立派なお願いの練習になっています。
少しずつ経験が増えてきたら、大人が言葉を添える回数を増やしたり、ジェスチャーのあとに一音だけでも声を待ったりして、次の段階へ進めていきます。いきなり完成形を求めないことが、結果として近道になることがあります。
「手伝って」は、「ちょうだい」より少し難しさのある言葉です。欲しいものを求めるだけでなく、自分が困っていることに気づき、それを相手に向けて伝える必要があるからです。
そのぶん、この言葉が使えるようになると、生活の中での困り方が変わってきます。怒って終わる、投げて終わる、固まって動けなくなるだけでなく、「助けてほしい」と人に向けられるようになるからです。
「手伝って」を教えやすいのは、まさに困っているその瞬間です。服の袖が通らない、箱が開かない、パズルがはまらない。そんな場面で子どもの動きが止まったら、お願いの言葉につなげるチャンスです。
このとき、「できないの?」「何で怒ってるの?」と聞くよりも、「手伝ってかな」「手伝ってって言おうか」と、その場に合う言葉をすっと差し出すほうが伝わりやすくなります。
泣き始めてからではなく、困り始めの小さなサインに気づけると、お願いの練習はうまく進みやすくなります。視線が止まる、手が止まる、表情が曇るといった変化も見逃したくないところです。
子どもが困っているとき、大人が全部代わりにやってしまうと、その場は早く終わります。けれど、「困ったときに助けを求める」「手伝ってもらいながら自分でも進める」という経験は育ちにくくなります。
たとえば、ファスナーの最初だけ合わせる、靴のかかとだけ直す、袋の口だけ少し開けるといったように、難しい部分だけ手を貸して、残りは子どもができるようにする関わり方があります。
こうすると、子どもは「助けてもらったら続けられた」という感覚を持ちやすくなります。全部できるか、全部できないかの二択ではなく、途中で人の力を借りながら進める経験が大切です。
「手伝って」は、特別な練習時間よりも日常の中で覚えやすい言葉です。着替え、片付け、食事の準備、工作など、少し難しいことが入りやすい場面はたくさんあります。
毎日似た場面で同じ言葉を聞くと、子どももその意味をつかみやすくなります。たとえば、着替えで止まったら「手伝ってのときだね」、片付けで持ち上がらなければ「手伝ってって言ってみようか」と場面とことばを結びつけていきます。
やりとり全体の力を家庭で育てたいときは、家庭でできるSSTの工夫を紹介した記事も参考になります。
お願いする力は、相手とやりとりする力の中で少しずつ育っていきます。
続けているのに変化が見えないと、「やり方が合っていないのでは」「うちの子にはまだ早いのでは」と不安になることがあります。
そんなときは、練習の量を増やす前に、関わり方が今の子どもに合っているかを見直してみることが大切です。
お願いの練習は、たくさん言わせることより、伝わる場面をつくることのほうが重要です。少し見方を変えるだけで、うまく進みやすくなることがあります。
「ちゃんと言ってからね」「言わないと渡さないよ」とお願いの言葉を条件のようにしてしまうと、子どもによっては緊張や反発が強くなります。欲しい気持ちが強い場面ほど、うまく言えないこともあります。
もちろん、言葉を引き出したい気持ちは自然なものです。けれど、その結果として毎回泣く、怒る、諦める形が増えているなら、一度ハードルを下げたほうがよいかもしれません。
お願いの練習は、子どもが「また伝えてみよう」と思える形で続けられることが大切です。少しでも伝えようとしたら受け止める、まずはそこからでも十分です。
二語文や長い言い回しを求めているけれど、子どもにとってはまだ一語やジェスチャーの段階ということもあります。その場合、目標が高すぎることで、本人も大人も苦しくなりやすくなります。
「ちょうだい」と一語で言えたら十分なのか、「てつだって」と全部言えなくても手を差し出せたら前進なのか。その子の今の力に合わせて見ていくことが大切です。
今の段階に合った伝え方を出発点にすると、無理なく次のステップへつなげやすくなります。できる形から始めることは甘やかしではなく、育てるための大切な見立てです。
子どもが何かしらの形でお願いを伝えたあとに、大人が別の話をしたり、少し待たせすぎたりすると、「伝えたら変わる」という実感を持ちにくくなります。お願いの練習では、伝えた直後のやりとりがとても大切です。
「ちょうだい」と言えたらすぐ渡す。「手伝って」と伝えられたらその場で少し手を貸す。こうした流れがあると、子どもはお願いの意味を体で覚えていきます。
毎回完璧でなくてもかまいませんが、お願いが伝わったときは、できるだけその場で応えることを意識すると、やりとりがつながりやすくなります。
「ちょうだい」や「手伝って」は、ただ言葉を増やすためだけのものではありません。
欲しい気持ちや困っている気持ちを相手に向ける力であり、これから先の生活や人との関わりを支える大切な土台になります。
家庭の中では、欲しいものがある場面、困って止まる場面、少し待てば伝えようとする場面が毎日のようにあります。そうした時間を使って、言葉だけにこだわりすぎず、その子が出している小さなサインを受け止めながら関わっていくことが大切です。
児童発達支援事業所ゆめラボでは、お願いの言葉が育ちにくい背景もふまえながら、お子さまに合った伝え方を一緒に考えています。
家庭での関わり方に迷うときや、泣く・怒る・固まる形が増えて気になるときは、ひとりで抱え込まずにご相談ください。
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