児童発達支援では、日々の遊びや個別療育だけでなく、季節行事やイベントを子どもの社会性を育てる療育プログラムとして活用しています。
行事と聞くと、楽しい特別な時間に見えることもあります。しかし、未就学児にとって季節のイベントは、順番を待つ、友だちと同じ場で過ごす、気持ちを伝える、ルールのある遊びに参加するなど、園生活や就学前の土台につながる経験を重ねやすい時間でもあります。
児童発達支援事業所ゆめラボでは、子ども一人ひとりの発達段階や特性を見ながら、無理なく参加できる季節行事やイベント活動を取り入れています。
このページでは、未就学児の社会性を育てる療育プログラムとして、児童発達支援で行う季節行事・イベント活動例と、行事が苦手な子どもへの関わり方を紹介します。
INDEX
児童発達支援で季節行事やイベントを取り入れる目的は、楽しい時間をつくるだけではありません。
春の制作、夏祭りごっこ、運動会ごっこ、クリスマス会などの活動には、子どもが人と関わるきっかけ、ことばを使う場面、体を動かす機会、気持ちを切り替える時間が含まれています。
いつもの療育とは少し違う雰囲気の中で、「やってみたい」「見てみたい」「友だちと一緒に参加してみたい」という気持ちが生まれることがあります。その気持ちを支えながら、社会性やコミュニケーションの力につなげていくことが、季節行事を療育に取り入れる大切な役割です。
未就学児の社会性は、言葉で説明するだけで育つものではありません。
友だちの近くで同じ活動をする、スタッフの話を聞いてから動く、順番が来るまで待つ、終わったら「ありがとう」と伝える。このような場面を、子どもが楽しみながら重ねることで、人との関わり方が少しずつ身についていきます。
季節行事は、子どもにとって印象に残りやすい活動です。普段は集団の場に入りにくい子どもでも、好きな制作やゲームがあると、自然に友だちの近くへ近づけることがあります。
ゆめラボでは、その一歩を大切にしながら、子どもが「人と一緒に過ごすことは楽しい」と感じられるように関わっています。
季節行事やイベントには、順番やルールが自然に生まれます。
夏祭りごっこで輪投げの順番を待つ、運動会ごっこでスタートの合図を聞く、かるたで札を取る順番を意識するなど、遊びの中で園生活や就学前に必要な経験ができます。
「待ちなさい」と言われるだけでは難しい子どもも、楽しい活動の中であれば、スタッフと一緒に待つ練習がしやすくなります。
児童発達支援では、できない場面を叱るのではなく、待つ時間を短くする、次に何をするかを見せる、取り組みやすい役割をつくるなど、参加しやすい形に変えながら経験を積み重ねます。
友だちとの関わりや順番を待つ力については、集団が苦手な子のための小集団療育|児童発達支援で友だちとの関わりを育てるでも詳しく紹介しています。
春の花、夏の水、秋の落ち葉、冬の氷など、季節の活動には子どものことばや感性を広げるきっかけが多くあります。
「冷たい」「きれい」「大きい」「丸い」「落ちた」「光っている」といった言葉は、実際に見たり触れたりすることで使いやすくなります。
季節の変化を感じる体験は、子どもの興味や表現を広げます。療育の中でスタッフが言葉を添えることで、子どもは自分の感じたことを少しずつ表現しやすくなります。
ゆめラボでは、活動そのものを楽しむだけでなく、子どもの表情や視線、手の動き、言葉になる前の反応を見ながら、ことばやコミュニケーションにつながる関わりを行っています。
季節イベントは、未就学児の複数の発達面を支える療育プログラムとして活用できます。
社会性だけでなく、ことば、感覚、運動、手先の使い方、気持ちの切り替えなど、子どもの育ちにはいくつもの力が関係しています。
一つの活動の中でも、見る、聞く、触れる、動く、伝える、待つといった場面が重なります。そのため、子どもの特性に合わせて活動の量や関わり方を変えることで、無理のない形で成長につなげやすくなります。
未就学児の中には、友だちと一緒に遊ぶことよりも、まず同じ場所にいることから練習が必要な子どももいます。
季節イベントでは、全員が同じ制作をしたり、同じ音楽を聞いたり、同じゲームに参加したりするため、「友だちと同じ場で過ごす」時間を持ちやすくなります。
最初から一緒に遊ぶ必要はありません。友だちが活動している様子を見る、隣で同じ材料を使う、スタッフと一緒に少しだけ参加する。そのような段階を踏むことで、集団場面への不安が少しずつ和らぐことがあります。
ゆめラボでは、大人数に合わせることを急がず、子どもが安心して同じ空間にいられる時間を大切にしています。
季節行事には、「やりたい」「貸して」「もう一回」「ありがとう」「楽しかった」など、気持ちを伝える場面が多くあります。
言葉で伝えることが難しい子どもでも、指差し、視線、表情、手を伸ばす動きなどで気持ちを表すことがあります。
スタッフがそのサインを受け止めて言葉にすることで、子どもは「伝わった」という体験を積むことができます。
また、友だちが使っている道具を見る、順番を待っている子に気づく、相手の反応を見るなど、相手を意識する場面も増えます。こうした体験は、社会性やコミュニケーションの土台になります。
季節イベントでは、感覚や運動、手先を使う活動も多く取り入れられます。
水あそびでは触覚や温度の感覚、運動会ごっこでは体幹やバランス、制作あそびでは指先の使い方や目と手の協応が関係します。
未就学児の療育では、机に向かう課題だけでなく、体を使う活動や手を動かす体験も大切です。
季節イベントを通して、子どもが楽しみながら体を動かし、手先を使い、感覚を受け止めていくことで、日常生活に必要な力にもつながります。
春は、新しい生活が始まる季節です。
入園、進級、新しい友だち、新しいスタッフなど、子どもにとって環境の変化が多い時期でもあります。そのため、春の療育イベントでは、安心して参加できること、自分の気持ちを表しやすいこと、友だちの存在を自然に感じられることを大切にします。
春の活動は、自然に触れる体験や制作あそびと相性がよく、ことばや手先の発達にもつなげやすい内容です。
お花見ピクニックでは、花を見る、風を感じる、外でおやつやお弁当を食べるなど、季節を感じながら過ごす時間をつくれます。
「きれいだね」「ピンクだね」「風が気持ちいいね」とスタッフが言葉を添えることで、子どもが感じたことを表現するきっかけになります。
また、シートに座る、順番に準備する、友だちと同じ場所で食べるといった場面は、生活場面の練習にもつながります。
外の環境が苦手な子どもには、短い時間から参加する、静かな場所を選ぶ、スタッフの近くで過ごすなど、安心して楽しめる形を作ります。
春の制作あそびでは、ちょうちょ、たんぽぽ、桜、てんとう虫など、季節を感じる題材を使います。
折り紙を折る、画用紙を貼る、クレヨンで色を塗る、シールを貼るといった活動は、手先の使い方や集中する力を育てる時間になります。
制作の中では、「どの色にする?」「ここに貼る?」「スタッフに見せてくれる?」といったやり取りも生まれます。
完成した作品を飾ることで、自分の作ったものを人に見てもらう機会にもなります。これは、自信や表現する力につながる大切な時間です。
季節制作や療育で使う道具については、毎月新しい療育グッズを導入|児童発達支援ゆめラボの飽きない療育への取り組みでも紹介しています。
進級や新しい友だちを迎える会では、「おめでとう」「よろしくね」といった言葉に触れることができます。
人前で名前を呼ばれる、返事をする、拍手を受ける、友だちに拍手を送るなど、社会性につながる場面が多くあります。
人前に出ることが苦手な子どもには、スタッフと一緒に前に出る、席に座ったまま参加する、短い時間だけ役割を持つなど、参加しやすい形に変えます。
大切なのは、全員が同じ形でできることではありません。子どもが自分なりに参加できたという実感を持つことです。
夏は、水、泡、光、音など、感覚を使った活動がしやすい季節です。
暑さや開放感のある時期だからこそ、子どもの興味が広がりやすく、体を動かす活動にもつなげやすくなります。
一方で、暑さ、濡れる感覚、にぎやかな音、いつもと違う服装が苦手な子どももいます。児童発達支援では、楽しさだけでなく、子どもが安心して参加できる環境をつくることも大切にします。
水あそびや泡あそびは、触覚や温度の感覚を育てる活動として取り入れやすい療育イベントです。
タライの水に手を入れる、スポンジを握る、ペットボトルから水を注ぐ、泡をすくうなど、遊びの中で手の使い方や感覚の受け止め方を体験できます。
水に触ることが好きな子どもには、道具の貸し借りや順番を待つ場面も加えられます。水が苦手な子どもには、まず見るだけ、道具で触るだけ、手の一部だけ濡らすなど、段階を分けて関わります。
感覚を使った遊びについては、感覚遊びで発達を支える|発達障害の子どもと家庭でできる療育遊びでも詳しく紹介しています。
夏祭りごっこでは、輪投げ、ヨーヨー釣り、的当て、かき氷ごっこなど、子どもが楽しみやすい活動を組み合わせます。
「ください」「どうぞ」「ありがとう」などの言葉を使う場面があり、やり取りの練習にもなります。
模擬店のような形にすると、子どもが店員役やお客さん役を体験できます。役割を持つことで、相手を意識した行動につながりやすくなります。
数を数える、順番を待つ、景品を選ぶなど、遊びの中に認知面や社会性の要素も含められます。
七夕の願い事制作では、短冊に願いを書く、飾りを作る、笹に飾るといった活動を行います。
まだ文字を書くことが難しい子どもでも、好きなものを選ぶ、色を選ぶ、スタッフに気持ちを伝えることで、自分の思いを表せます。
「何をお願いする?」「どこに飾る?」というやり取りは、ことばや自己表現につながります。
友だちの飾りを見る、友だちの願いを聞く、自分の飾りを見てもらうことも、人との関わりを広げるきっかけになります。
秋は、外で過ごしやすく、自然物を使った活動や体を動かす活動に取り組みやすい季節です。
どんぐり、落ち葉、木の実、風の音、空の色など、子どもが見つけやすい季節の変化が多くあります。
また、運動会やハロウィンなど、友だちと同じ場で楽しむ行事も多い時期です。未就学児の療育では、勝ち負けや役割にこだわりすぎず、参加できたこと、応援できたこと、最後まで取り組めたことを大切にします。
どんぐりや落ち葉拾いは、観察する力、分類する力、手先を使う力を育てやすい活動です。
「大きい」「小さい」「丸い」「長い」「赤い」「黄色い」など、自然物を見ながら言葉を広げることもできます。
拾ったものを数える、同じ形を集める、制作に使うなど、制作や数あそびに発展させられます。
外での活動が苦手な子どもには、短い時間だけ外に出る、室内に持ち帰って触れる、写真を見ながら話すなど、参加しやすい形で季節を感じる時間を作ります。
運動会ごっこでは、走る、投げる、くぐる、渡る、止まるなど、体を使った活動を取り入れます。
未就学児の療育では、速く走ることや勝つことよりも、合図を聞く、順番を待つ、最後まで参加する、友だちを応援する場面を大切にします。
体を動かす活動の中では、気持ちが高まりすぎる子どももいます。その場合は、待つ場所を決める、次の動きを見せる、終わりの合図をわかりやすくするなど、活動に戻りやすい関わりを行います。
運動会ごっこは、社会性だけでなく、姿勢や体幹、バランス感覚にもつながる活動です。
ハロウィンパーティーでは、仮装、制作、合言葉、ゲームなどを通して、表現する力や人と関わる力を育てられます。
合言葉を言う、カードを渡す、お菓子を受け取るまねをするなど、短いやり取りを楽しみながら体験できます。
一方で、仮装や暗い雰囲気、大きな音が苦手な子どももいます。
そのため、衣装を無理に着せない、怖い演出を避ける、明るい雰囲気で行うなど、子どもが安心して参加できる形にします。
冬は、クリスマス、お正月、雪や氷など、子どもの印象に残りやすい行事や素材が多い季節です。
寒さで外遊びの時間が短くなる時期でもあるため、室内でできる制作やゲーム、手先を使う活動を取り入れやすくなります。
年末年始の行事には、挨拶、感謝、順番、伝統的な遊びなど、人との関わりや生活文化に触れる機会もあります。
クリスマス会では、歌、ゲーム、制作、プレゼント交換ごっこなどを通して、人との関わりを楽しむ時間を作れます。
「どうぞ」「ありがとう」「うれしいね」といった言葉を使う場面があり、気持ちを伝える練習にもつながります。
プレゼントを受け取る、友だちに渡す、みんなで同じ歌を聞くなど、活動の中には社会性の要素が多く含まれています。
にぎやかな雰囲気が苦手な子どもには、音量を調整する、参加する場面を短くする、安心できる席を用意するなど、無理なく過ごせる形を作ります。
雪あそびや氷あそびでは、冷たさ、硬さ、溶ける変化などを感じることができます。
雪が少ない地域でも、室内で氷を使った遊びを行うことで、季節を感じる体験ができます。
氷を触る、色水を凍らせる、溶ける様子を見る、スプーンですくうなど、感覚と手先を使う活動に広げられます。
冷たい感覚が苦手な子どもには、道具を使って触る、短い時間だけ試す、触らずに見るところから始めるなど、子どもの反応に合わせて関わります。
お正月あそびでは、かるた、福笑い、凧あげ、こま回しなど、昔ながらの遊びを療育に取り入れられます。
かるたは聞く力や見る力、順番を待つ力につながります。福笑いは顔のパーツを意識する力や、完成した表情を見て笑い合う時間につながります。
凧あげやこま回しは、体の動きや手先の使い方も関係します。
昔ながらの遊びをそのまま行うことが難しい場合は、子どもの年齢や発達段階に合わせて、枚数を減らす、ルールを簡単にする、スタッフと一緒に参加するなど、取り組みやすい形に変えます。
季節行事やイベントは楽しい活動ですが、すべての子どもが最初から参加しやすいわけではありません。
音が大きい、人が多い、いつもと流れが違う、服装が変わる、初めて見る飾りがあるなど、子どもによっては不安や戸惑いにつながることがあります。
児童発達支援では、「参加できないから苦手」と決めるのではなく、何が負担になっているのかを見ながら、参加しやすい形に変えていきます。
季節行事が苦手な子どもに対して、無理に参加を求めると、不安が強くなることがあります。
まずは、何をするのか、どこで行うのか、いつ終わるのかを子どもがわかりやすい形で伝えることが大切です。
写真、絵カード、実物、スタッフの見本などを使うと、活動の流れをイメージしやすくなります。
最初は見ているだけでも、スタッフと一緒に一部だけ参加する形でもかまいません。見通しが持てることで、子どもが自分から一歩踏み出しやすくなります。
行事が苦手な理由には、感覚面の負担が関係していることがあります。
太鼓や音楽の音が大きい、人が近くに多くいる、衣装の素材が気になる、飾りの光が強いなど、子どもによって苦手な刺激は違います。
感覚面に負担がある場合は、音量を下げる、静かな場所で休めるようにする、衣装は身につけなくてもよい形にする、参加時間を短くするなどの関わりが必要です。
楽しい活動であっても、子どもにとって負担が大きい状態では、社会性を育てる時間にはつながりにくくなります。安心して過ごせることを土台にして、少しずつ参加できる場面を増やしていきます。
季節行事では、大きな成果を求めるよりも、小さく参加できた場面を大切にします。
会場に入れた、椅子に座れた、スタッフと一緒に材料を選べた、友だちの活動を見られた、最後に拍手ができた。このような一つひとつが、子どもにとって大切な成長です。
スタッフがその場で気づき、「座って見られたね」「順番を待てたね」「自分で選べたね」と具体的に伝えることで、子どもは自分の行動を受け止めやすくなります。
ゆめラボでは、行事を成功させることだけを目的にせず、子どもが安心して参加できた場面を次の療育につなげています。
児童発達支援で行う季節行事やイベント活動は、未就学児の社会性を育てる療育プログラムとして大きな役割があります。
春の制作、夏祭りごっこ、秋の運動会ごっこ、冬のクリスマス会やお正月あそびなど、子どもが楽しみやすい活動の中には、順番を待つ、ルールを守る、友だちと同じ場で過ごす、気持ちを伝える場面が含まれています。
一方で、行事が苦手な子どもには、音や人混み、見通しの持ちにくさ、感覚面の負担に目を向ける必要があります。
無理に参加させるのではなく、安心できる形で少しずつ体験を重ねることで、子どもは「やってみよう」という気持ちが出やすくなります。
児童発達支援事業所ゆめラボでは、子ども一人ひとりの発達段階や特性に合わせて、季節行事やイベント活動も療育の一つとして取り入れています。
お子さまの社会性、友だちとの関わり、集団場面への参加、行事への不安などで気になることがありましたら、ゆめラボに相談してみてください。
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