友だちから「そんなことも知らないの?天才だね」と言われ、本当にほめられたと思う。失敗したときに「さすがだね」と言われ、何を評価されたのかわからず戸惑う。大人から「もう置いて帰ろうかな」と冗談を言われ、本当に置いていかれると思って不安になる。
小学生になると、会話の中に冗談、皮肉、遠回しな言い方、仲間内だけで通じる表現が増えていきます。言葉どおりの意味と相手が本当に伝えたい意味が異なるため、こうした表現を理解するには、前後の出来事、相手の表情、声の調子、相手との関係も手がかりにする必要があります。
ASD(自閉スペクトラム症)のある小学生の中には、言葉を文字どおりに受け取り、冗談を真に受けたり、皮肉の意図に気づきにくかったりする子がいます。ただし、冗談が通じにくいという一つの様子だけで、ASDと判断することはできません。年齢、言葉の理解、これまでの経験、相手との関係によっても受け取り方は変わります。
このページでは、冗談や皮肉を言葉どおり受け取る小学生に見られる様子、ASDとの関係、学校で起こりやすい友だちとのトラブル、伝わりやすい説明の仕方、家庭でできる練習について、放課後等デイサービスゆめラボが解説します。
INDEX
冗談や皮肉を理解しにくい子の反応は、「笑わない」「冗談が通じない」だけではありません。不安になる、怒る、相手の言葉を長く気にする、からかわれていることに気づかず、同じ相手から何度も嫌な言葉を受けるなど、さまざまな形で表れます。
子どもの反応だけを問題にせず、どの言葉を、どのような意味で受け取ったのかを確かめます。
大人や友だちが軽い気持ちで言った冗談を、本当に起こる話として受け取ることがあります。たとえば、「宿題を忘れたら学校に泊まりだね」と言われて帰れなくなると思ったり、「そんなに食べたらお腹が破裂するよ」と言われて体に異変が起きるのではないかと心配したりします。
周りが笑っていても、本人には冗談だと判断する手がかりが足りないことがあります。不安になった子へ「本気にしすぎ」と返すのではなく、「今のは本当に起きる話ではないよ」と先に伝え、どこが冗談だったのかを短く説明します。
皮肉は、口にした言葉と本当に伝えたい意味が異なる表現です。たとえば、約束の時間に遅れた子へ「ずいぶん早かったね」と言う場合、言葉だけを見るとほめているように聞こえますが、実際には「遅かった」「待っていた」という不満が含まれています。
「そろそろ片づけた方がいいんじゃない?」のような遠回しな言い方も、「片づけても片づけなくてもよい」と受け取る子がいます。行動してほしいことが決まっているときは、「おもちゃを箱に入れてください」と具体的に伝えた方が理解しやすくなります。
友だちが笑いながら言った言葉を、そのまま事実として受け取ることがあります。悪意のあるからかいでも、相手が「冗談だよ」と言うと、問題のないやり取りだと思い、その場を離れたり大人へ相談したりできない場合があります。
反対に、その場では意味がわからず一緒に笑っていたものの、家に帰ってから言葉の意味に気づき、急に落ち込むこともあります。「本人も笑っていたから平気だった」と決めず、その後の表情や会話の変化にも目を向けます。
口では「いいよ」と言いながら不機嫌な顔をしている、笑いながらきつい言葉を言うなど、言葉と表情が一致しない場面では、どちらを信じればよいかわからなくなることがあります。
言葉を優先する子は、「いいよと言われたから問題ない」と考えます。表情の変化には気づいていても、怒っているのか、困っているのか、照れているのかまではわからない場合があります。大人は「口では『いいよ』と言ったけれど、表情を見ると困っているようにも見えるね。本人に確かめよう」と、言葉と表情をつなげて説明します。
冗談を文字どおりに受け取った結果、強く怒ったり、深く傷ついたりすることがあります。相手は軽い冗談のつもりでも、本人にはうそをつかれた、ばかにされた、約束を破られたように感じられるためです。
この反応を「冗談がわからないから怒った」と片づけると、本人が何に傷ついたのかが見えなくなります。まず「本当だと思ったから嫌だったんだね」と受け止め、そのあとで相手がどのようなつもりで言ったのかを一緒に確認します。

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ASDのある子どもの中には、会話の中で言葉に直接表れていない意図を読み取りにくい子がいます。そのため、冗談、皮肉、比喩、慣用句など、文字どおりの意味とは異なる表現で戸惑うことがあります。
ただし、ASDのある子が全員同じ受け取り方をするわけではありません。冗談が好きな子、決まった相手の冗談なら理解できる子、自分から冗談を言う子もいます。
言葉を文字どおりに理解することは、話された内容をそのまま受け取ることでもあります。ただ、冗談や皮肉では、言葉の表面と話し手の意図が異なるため、文字どおりに受け取ると本当の意味にたどり着きにくくなります。
たとえば、散らかった机を見て「きれいな机だね」と言われたとき、言葉どおりならほめ言葉です。皮肉として理解するには、実際の机が散らかっていることと、話し手が反対の表現を使ったことを結びつけなければなりません。
冗談や皮肉では、大げさな声で言う、笑う、眉を上げる、周りの人と目を合わせるなど、言葉以外の手がかりが使われます。ASDのある小学生の中には、こうした表情や声の変化に意識を向けにくい子がいます。
表情や声の違いに気づいていても、それが「冗談の合図」なのか「怒っている合図」なのか判断しにくいこともあります。「顔を見ればわかるでしょう」と求めるのではなく、どの部分が手がかりになるのかを言葉で示します。
同じ「すごいね」という言葉でも、難しい問題を解いたあとならほめ言葉になり、わざと物を倒したあとなら皮肉を込めた注意になることがあります。意味を判断するには、その言葉の前に何が起きたかを振り返る必要があります。
子どもが言葉だけを切り取って受け取っているときは、「その前に何があった?」「言った人は何を見ていた?」と順番に確認します。一度に相手の気持ちまで答えさせず、まず出来事を確かめると考えやすくなります。
冗談や皮肉を理解する力は、小学生の時期にも少しずつ育っていきます。低学年では単純な冗談はわかっても、皮肉や仲間内の言い回しまでは理解しにくいことがあります。言葉の経験が少ない場合や、不安が強い場面でも、冗談を本気にしやすくなります。
ASDかどうかは、冗談の理解だけではなく、人とのやり取り、興味や行動の特徴、学校や家庭での困りごとなどを含めて判断されます。「冗談を真に受けるからASD」と決めつけず、本人がどの場面で困っているかを具体的に捉えます。
冗談や皮肉を理解するには、言葉の意味を知るだけでは足りません。相手が知っていることや意図を考える、その場に合う意味を選ぶ、過去に学んだ表現を別の場面にも当てはめるといった複数の力が関わります。
子どもがどこで迷っているかがわかると、説明する内容も選びやすくなります。
会話では、思っていることをそのまま言わず、相手への配慮や場の雰囲気に合わせて言い方を変えることがあります。皮肉では、さらに本音と反対の言葉を使うことがあります。
子どもにとっては、「言ったことと本当の気持ちが違う」状態そのものが理解しにくい場合があります。「うそをついているの?」と混乱する子もいます。皮肉を説明するときは、「この人は遅かったことに不満があり、反対の言葉で伝えた」と、実際の言葉と本当の意図を分けます。
皮肉や一部の冗談を理解するには、話す人と聞く人が同じ出来事を知っていることが手がかりになります。雨が強く降っている場面で「今日は最高の天気だね」と言われたとき、相手も雨を見ているとわかるからこそ、言葉どおりではないと判断できます。
相手が何を見たか、何を知っているかを考えにくいと、冗談なのか間違いなのか判断できません。「この人は雨を見ている?」「本当に晴れていると思っている?」と確認すると、話し手が本当に伝えたかった意味を考えやすくなります。
「やばい」は、危険、困った、おもしろい、すごいなど、場面によって意味が変わります。「適当」という言葉も、「いい加減」という意味で使われることもあれば、「ちょうどよい」という意味で使われることもあります。
一つの言葉に一つの意味を結びつけて覚えている子は、別の使われ方に出会うと混乱します。「この場面のやばいは、すごいという意味」のように、場面と意味をセットで伝えます。
家庭で練習した冗談は理解できても、学校で別の言葉を使われると、冗談だと気づけないことがあります。話す人、場所、表情、言葉が変わると、以前の経験と同じ種類の会話だと結びつきにくいためです。
「この言葉を覚えれば終わり」とせず、似た意味を持つ複数の例を扱います。ほめ言葉に見える皮肉、あり得ないことを大げさに言う冗談、仲のよい友だち同士の軽いやり取りなどを比べると、別の会話でも意図に気づきやすくなります。
学校では、休み時間、給食、登下校、係活動など、大人が会話のすべてを見ていない場面が多くあります。
冗談や皮肉の受け取り方がずれると、本人にも相手にも悪気がないまま、友だちとの行き違いがトラブルへ広がることがあります。
嫌な言葉を言われたあとで「冗談だから怒るなよ」と言われると、子どもは自分が怒ってはいけないのか迷います。相手が笑っていることを理由に、意地悪ではないと考えてしまう場合もあります。
冗談かどうかは、言った側だけが決めるものではありません。言われた側が怖い、悲しい、やめてほしいと感じているのに繰り返されるなら、受け入れる必要はありません。「冗談と言われても、嫌なら離れてよい」と伝えます。
友だちが親しみのつもりで言った言葉でも、本人には非難やうそとして届くことがあります。突然大きな声を出す、相手を追いかける、長く言い返すといった反応につながることもあります。
トラブル後に「冗談だったんだから許して」と求めるだけでは、次の場面に生かせません。何と言われたか、本人はどういう意味だと思ったか、相手は何を伝えたかったのかを分けて振り返ります。
自分が聞いておもしろかった言葉を、そのまま別の友だちへ使うことがあります。しかし、相手との関係や場面が違えば、同じ言葉でも傷つける表現になります。
「その冗談はだめ」と止めるだけでは、何を変えればよいかわかりません。「見た目や体の特徴は冗談にしない」「相手がやめてと言ったら一度でやめる」「失敗した直後はからかわない」など、行動に置き換えられる形で伝えます。
友だち同士では、あだ名、ゲームの言葉、以前の出来事を使った冗談など、その仲間にしかわからない表現が生まれます。意味を尋ねても「普通わかるでしょ」と返され、会話から外れたように感じる子もいます。
すべての言い回しを覚える必要はありません。「それはどういう意味?」「今の話を知らないから教えて」と尋ねる言葉を練習しておくと、わからないまま合わせ続ける負担を減らせます。
冗談や皮肉で起きたトラブルは、言葉と本当の意味が異なるため、本人も何が起きたのか、なぜ嫌だったのかを説明しにくいことがあります。「みんなが笑った」「変なことを言われた」としか話せず、大人に深刻さが伝わらない場合があります。
話を聞くときは、「誰が悪いか」から始めず、「いつ」「どこで」「何と言われた」「そのあとどうした」の順に尋ねます。出来事を確認したあとで、「本当だと思った?」「嫌だった?」と受け取り方を確かめます。
ASDの小学生に起こりやすい友だちとの行き違いと、放課後等デイサービスで行う対人支援については、友だちトラブルが減る?ASDの小学生に放課後等デイサービスでできる対人支援でもご紹介しています。
冗談や皮肉が伝わりにくい子へは、「もっと空気を読んで」と求めるのではなく、何を見て判断すればよいのかを具体的に示します。
すべての冗談を見分けられるようにすることより、わからないときに確認できること、嫌な言葉から離れられることを優先します。
大人が子どもへ指示や約束を伝えるときは、冗談や皮肉を使わず、してほしい行動をそのまま言います。「いつまで遊んでいるのかな」ではなく「ゲームを終えて、コントローラーを置いてください」と伝えます。
「できれば」「そろそろ」「いい加減にして」など、人によって受け取り方が変わる言葉も避けます。いつ終えるか、何をするか、その次に何をするかを短く伝えると、子どもが判断に迷いにくくなります。
皮肉を説明するときは、実際に言われた言葉と、相手が伝えたかった意味を別々にします。たとえば、「早かったね」と言われた場合は、「実際の言葉は『早かったね』。本当に伝えたかったのは『遅かったよ。待っていたよ』」と示します。
そのうえで、「反対の言葉で気持ちを伝える言い方を皮肉という」と説明します。皮肉は言葉どおりの意味と本当の意図が異なるため、子どもが「わかりにくい」と感じるのは自然なことです。
「顔を見て考えて」と一度に求めず、手がかりを三つに分けます。その前に何が起きたか、どのような声だったか、どのような表情だったかを一つずつ確認します。
表情だけで決める必要はありません。笑っていても意地悪な場合があり、真顔でも冗談の場合があります。複数の手がかりを見てもわからないときは、言った相手に尋ねることが最も確実だと伝えます。
家庭では、冗談を言ったあとに「今のは冗談だよ」と伝える、決まった身ぶりを添えるなど、わかりやすい合図を決められます。子どもが冗談を学ぶ最初の段階では、意味を隠したまま当てさせる必要はありません。
ただし、合図だけを覚えると、学校で合図がない冗談に対応できません。慣れてきたら、「あり得ないほど大げさだった」「実際の出来事と反対のことを言った」など、冗談だと考えた理由も一緒に確認します。
すべての冗談や皮肉を自分だけで判断することは難しいため、確認する言葉を練習します。「それ、本当?」「今のは冗談?」「どういう意味?」「ぼくのことを怒っている?」など、短い言い方から選びます。
学校で言いやすい言葉は子どもによって異なります。人前で尋ねることが難しい子には、会話のあとで先生へ確認する、先生と決めた合図を使うなど、別の方法も用意します。
家庭での練習は、子どもを試す時間にしません。安心できる場面で、言葉どおりの意味と本当の意味が違うことを一緒に見つける時間にします。
うまく答えられなかったときは、すぐに正解を求めず、どの手がかりを見ればよかったかを大人が示します。
最初は、明らかに現実と違う冗談から始めます。大雨の日に「今日は海で泳ごうか」と言い、すぐに「雨だから行けないね。今のは冗談」と伝えるなど、事実との違いが見えやすい内容を選びます。
怖がらせる冗談、置いていくと伝える冗談、病気や事故を連想させる冗談は使いません。子どもが安心したまま「本当ではない言い方もある」と学べる内容にします。
漫画やテレビは、会話の前後や登場人物の表情を一時停止して見返せるため、冗談や皮肉を考える材料になります。子どもが好きな作品から、短く理解しやすい場面を選びます。
「この人は何と言った?」の次に、「その前に何が起きた?」「本当にそう思っている?」と尋ねます。登場人物の気持ちを当てさせるのではなく、画面に見えている事実を手がかりに考えます。
「すごい」「やばい」「もういい」など、日常で意味が変わりやすい言葉を使い、二つの場面を比べます。テストで満点を取って「すごい」と言われた場面と、いたずらをして「すごいね」と低い声で言われた場面を比べる方法です。
言葉だけでなく、出来事、声、表情を紙に書いたり絵にしたりすると違いが見えやすくなります。最初から多くの意味を扱わず、子どもが実際に困った言葉から始めます。
学校で行き違いがあったときは、大人が友だち役になり、短い会話を再現します。同じ言葉について、「本気で言った場合」「冗談で言った場合」「意地悪で言った場合」を比べます。
相手の意図を一つに決めつけず、「この情報だけではわからない」と判断してもかまいません。その場合は、「本人へ尋ねる」「先生に相談する」「嫌なら離れる」のどれを選ぶかまで練習します。
冗談や皮肉には、聞く人によって受け取り方が変わるものがあります。大人でも判断を間違えるため、毎回正解することを目標にはしません。
「声がいつもと違うことに気づいたね」「前に起きたことを思い出せたね」「わからないと伝えられたね」と、使えた手がかりや行動を具体的に認めます。自分で確認できた経験があると、次に似た会話があったときにも慌てず確認しやすくなります。
友だちとの会話や関わり方を練習するソーシャルスキルトレーニングについては、放課後等デイサービスで伸ばすソーシャルスキル|友だち関係が苦手な子への支援もあわせてご覧ください。
冗談を理解する練習と、嫌な言葉から自分を守る練習は分けて考えます。子どもが冗談を理解できるようになれば、すべての友だちトラブルがなくなるわけではありません。
相手の言葉が冗談か判断できなくても、嫌だと感じたら、離れる、断る、大人へ相談するのいずれかを選べるようにします。
お互いが楽しんでいて、嫌だと言えば止まり、関係が一方的でないものは冗談として成り立つことがあります。一方で、一人だけが笑われる、同じことを何度も言われる、嫌だと伝えても続く場合は、冗談として受け入れる必要はありません。
「相手は冗談のつもりだった」と説明して終えると、子どもは自分の嫌な気持ちを我慢しなければならないと考えます。相手の意図とは別に、自分が嫌だったことを大人へ伝えてよいと話します。
嫌な言葉を受けたときに長く説明しようとすると、会話が長引き、さらにからかわれることがあります。「それは嫌」「やめて」「その話はしない」と短く伝える練習をします。
声が出にくくなる子には、首を振る、あらかじめ決めたカードを見せる、その場から離れるなど、言葉以外の方法も用意します。「やめて」と言えなかったことを責めず、あとから大人へ伝える方法も用意します。
子どもが一人で相手の意図を判断し続ける必要はありません。教室の先生、保健室の先生、放課後等デイサービスのスタッフ、家族など、相談できる大人を具体的に決めます。
相談するときは、「嫌なことを言われた」の一言からでよいと伝えます。詳しい説明は大人と一緒に振り返ればよいため、その場で出来事を順序立てて話せなくても問題ありません。
学校へ伝えるときは、「冗談がわかりません」だけではなく、実際に起きた場面を共有します。「友だちから置いて帰ると言われ、本当に帰れないと思って泣いた」「冗談だと言われると、嫌でも我慢してしまう」など、言葉と反応を伝えます。
あわせて、本人が使える確認の言葉、困ったときの相談先、席を離れてよい場面などを学校と決めます。家庭、学校、放課後等デイサービスで同じ合図や言葉を使うと、子どもが行動を選びやすくなります。
冗談や皮肉が伝わりにくい子は、学校で何度も「普通はわかる」「考えすぎ」と言われていることがあります。家庭でも同じように責められると、わからないことを質問できなくなります。
冗談を理解できなかったことを責めても、次に何を手がかりにすればよいかは身につきません。子どもは、わからなかったことより、笑われたことや注意されたことを強く覚える場合があります。
「本当の話だと思ったんだね」と受け止めたうえで、「実際には起こらない内容だった」「相手が笑いながら大げさに言っていた」と、判断の材料を伝えます。
「空気を読んで」「みんなの顔を見て」と言われても、何をどう見ればよいかはわかりません。表情、声、前後の出来事、相手との関係のうち、その場で使える手がかりを一つずつ示します。
手がかりを見ても判断できない会話はあります。そのときは、推測を続けさせず、本人へ確認するか大人へ相談する方法へ切り替えます。
「真面目すぎる」「融通が利かない」「すぐ怒る性格」と決めつけると、言葉の受け取り方や周囲の伝え方を変える視点が抜け落ちます。
同じ子でも、意味を具体的に説明してくれる相手とは安心して会話できることがあります。本人だけを変えようとせず、周りの伝え方や、困ったときに助けを求められる環境も見直します。
冗談の意味がわからないまま笑うように教えると、嫌なからかいにも笑って合わせるようになることがあります。周囲には楽しんでいるように見えるため、困りごとが見過ごされる原因にもなります。
おもしろいと感じなければ笑わなくてもかまいません。「意味がわからない」「それは好きではない」「今のは嫌だった」と伝えられることを優先します。
冗談や皮肉を言葉どおり受け取る子は、ふざけた会話を嫌っているとは限りません。
言葉と本当の意味が異なることに気づきにくい、前後の出来事や表情を同時に見ることが難しい、過去に覚えた表現を別の場面へ使いにくいなど、意味を理解するときに必要な手がかりが周りの子とは異なることがあります。
家庭では、遠回しな言い方を避け、実際に使われた言葉と本当の意味を分けて説明します。冗談を当てる練習だけでなく、「本当?」「冗談?」「それは嫌」と確認する言葉や、その場を離れて大人へ相談する方法も練習します。
また、からかいを受けて傷ついている場合は、冗談を理解する練習だけでは不十分です。嫌だと感じた言葉を受け入れなくてよいこと、相手が止めないときは大人へ伝えてよいことを、家庭と学校で共有します。
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