「いつも同じおもちゃばかりで遊んでいる」「新しい遊びに誘ってもすぐに元の遊びに戻ってしまう」「同じ並べ方や同じ動きを何度も繰り返している」
発達障害のある子どもや、発達が気になる子どもの遊びを見ていると、このような姿が気になることがあります。
保護者の方にとっては、「このままでよいのかな」「遊びの幅を広げた方がよいのかな」と迷う場面もあるかもしれません。
ただ、同じ遊びを繰り返すことは、必ずしも悪いことではありません。
子どもにとって、その遊びは安心できる時間であり、感覚的にも心地よく、自分で流れを分かって取り組める経験になっている場合があります。
このページでは、発達障害の子どもが同じ遊びばかりする理由と、家庭で無理なく遊びを広げるための関わり方を、児童発達支援事業所ゆめラボの視点から紹介します。
INDEX
発達障害のある子どもが同じ遊びを繰り返す背景には、安心感、分かりやすさ、感覚の好み、ルール理解のしやすさなどが関係しています。
大人から見ると「また同じ遊び?」と感じる場面でも、子どもにとっては、その遊びの中に落ち着ける理由が隠れています。
同じ遊びばかりする姿をすぐに止めようとするのではなく、「この遊びのどこが安心なのか」「何を楽しんでいるのか」を見るところから、家庭療育は始まります。
同じ遊びを何度も繰り返す子どもの中には、遊びの始まり方、進み方、終わり方が分かっていることで安心している子がいます。
たとえば、車を一列に並べる、ブロックを同じ形に積む、同じ絵本を毎日読む、同じ人形を使って同じ場面を再現するなどの遊びは、子どもにとって見通しが持ちやすい活動です。
新しい遊びは、何をすればよいのか、どこまで続くのか、失敗したらどうなるのかが分かりにくいものです。
そのため、発達障害のある子どもにとっては、自由に見える遊びほど不安が強くなる子もいます。
反対に、いつもの遊びは「次に何が起きるか」が分かっているため、落ち着いて取り組みやすくなります。
新しい遊びに誘っても乗ってこない場合、興味がないのではなく、遊び方をつかめていないケースがあります。
「一緒に遊ぼう」と言われても、何をすればよいのか、どこを見ればよいのか、どのタイミングで動けばよいのかがつかみにくい子もいます。
特に、ごっこ遊び、ルールのある遊び、順番を待つ遊び、相手の反応に合わせて変わる遊びは、子どもにとって負担が大きくなりやすい活動です。
その結果、自分で分かっている遊びに戻ることで、安心を保とうとする姿につながります。
「新しい遊びをしない」のではなく、「新しい遊びに入るための手がかりが足りない」と見ると、関わり方が変わります。
同じ遊びばかりする背景には、感覚の心地よさが関係している場合もあります。
くるくる回るものを見る、車のタイヤを回す、砂を触る、水を流す、同じ音を鳴らす、ぬいぐるみの手触りを確かめるなど、子どもが繰り返す遊びには、その子にとって落ち着く感覚が含まれていることがあります。
感覚の好みは一人ひとり違います。
手触りが好きな子もいれば、音や光の変化に強く反応する子もいます。
体を揺らす、跳ねる、押す、引っ張るなどの動きが安心につながる子もいます。
感覚を求める遊びをすべて止める必要はありません。
危険がない範囲で、その子がどの感覚を好んでいるのかを知ることで、遊びを広げる入口が見つかりやすくなります。
感覚面から遊びを考えたい場合は、感覚遊びで発達を支える家庭でできる療育遊びも参考になります。
同じ遊びばかりしていると、保護者の方は「発達に偏りが出るのでは」「他の遊びも経験させた方がよいのでは」と心配になることがあります。
もちろん、生活の中で遊びの幅が少しずつ広がることは、ことば、やりとり、手先の動き、社会性の育ちにつながります。
ただし、同じ遊びをすぐにやめさせようとすると、子どもは安心できる時間を奪われたように感じて不安が強くなることがあります。
まずは、今している遊びの中にある意味を見ていくことが大切です。
同じ遊びの繰り返しにも、子どもなりの学びが含まれています。
ブロックを積む遊びでは、形を見る力、手先の動き、力加減、順番に置く力が育ちます。
車を並べる遊びでは、向きや間隔を見る力、分類する力、同じ状態を作る力が使われています。
絵本を何度も読む遊びでは、ことばのリズム、場面の記憶、次の展開を予想する力が育つ場合があります。
大人から見ると単調に見える遊びでも、子どもの中では「見ている」「比べている」「覚えている」「試している」という経験が積み重なっています。
そのため、同じ遊びだから意味がないと決めつける必要はありません。
同じ遊びばかりしているときは、まず遊びのどの部分に子どもが反応しているのかを見ます。
物を並べることが好きなのか、同じ音が好きなのか、手触りが好きなのか、完成した形を見るのが好きなのか、決まった流れを再現することが好きなのかによって、広げ方は変わります。
たとえば、車を並べることが好きな子に、いきなりごっこ遊びを求めると負担になりやすいです。
その場合は、まず大人も横で一緒に車を並べ、「赤い車もあるね」「次は青い車にする?」と、子どもの好きな遊びの中に少しだけ言葉や選択を入れていきます。
遊びを変える前に、子どもが何を楽しんでいるのかを見ることで、無理のない関わり方が見つかります。
発達障害の子どもの遊びを広げるときは、苦手な遊びを急に増やすよりも、好きな遊びを入口にした方が入りやすくなります。
車が好きな子なら、車を使って色を選ぶ、数を数える、トンネルをくぐらせる、順番に走らせるなど、同じテーマの中で変化を作ることができます。
恐竜が好きな子なら、恐竜の名前を言う、大小を比べる、草を食べる場面を作る、親子の恐竜にしてやりとりを入れるなど、好きな世界を使って遊びを広げることができます。
子どもの好きなものを使うと、「やらされている」ではなく「やってみたい」という気持ちが生まれやすくなります。
家庭療育では、この気持ちを守りながら、少しずつ経験を足していきます。
家庭で遊びを広げるときに大切なのは、子どもの安心を残したまま、変化を小さく入れることです。
急に別の遊びに切り替えたり、「こっちで遊びなさい」と強く促したりすると、子どもが不安になり、かえって同じ遊びに戻ろうとする姿につながります。
まずは今の遊びを認めたうえで、大人が少しだけ関わりを加えます。
子どもの遊びを広げたいとき、最初から別の遊びへ誘う必要はありません。
まずは、大人が子どものしている遊びに入ってみます。
子どもが車を並べているなら、隣で同じように車を並べます。
ブロックを積んでいるなら、大人も横で同じ高さまで積んでみます。
絵本を繰り返し読んでいるなら、子どもが好きなページで一緒に声を出したり、表情を合わせたりします。
大人が同じ遊びに入ることで、子どもは「自分の遊びを分かってもらえた」と感じやすくなります。
その安心があると、大人の言葉や提案も届きやすくなります。
同じ遊びから広げるときは、変える部分を1つにします。
車を並べる遊びなら、いつもの車に1台だけ違う色の車を足します。
ブロック遊びなら、いつもの形に1つだけ違う色のブロックを入れます。
絵本なら、いつも読むページのあとに1ページだけ別のページを一緒に見ます。
一度に大きく変えると、子どもは遊びの流れが崩れたと感じやすくなります。
けれど、変化が小さければ、「少し違うけれど大丈夫だった」という経験になります。
この経験が重なると、遊びの幅は少しずつ広がっていきます。
同じ遊びを広げるときは、順番、数、色、役割などを足すと家庭でも取り入れやすくなります。
車遊びなら、「次はお母さんの番」「赤い車を走らせよう」「3台だけ駐車場に入れよう」と声をかけることで、順番や数の経験につながります。
ブロック遊びなら、「高いタワー」「低いタワー」「同じ色だけ」「長い道」など、見る力や比べる力を使う遊びに広げられます。
人形遊びやごっこ遊びが苦手な子でも、好きなおもちゃに役割を1つ足すことで、やりとりの入口を作ることができます。
「車がガソリンを入れに来たよ」「恐竜が眠くなったよ」「電車にお客さんが乗るよ」のように、短いやりとりから始めると、子どもも受け止めやすくなります。
遊びを広げようとしたときに、子どもが嫌がる日もあります。
そのときに無理に続けると、子どもが新しい関わりそのものを避けることにつながります。
大切なのは、元の遊びに戻れる安心を残すことです。
「今日はここまでにしよう」「いつもの遊びに戻ろう」と大人が受け止めることで、子どもは次の機会にも挑戦しやすくなります。
家庭療育は、一度で変化を出すものではありません。
同じ遊びの中に小さな変化を入れ、嫌がったら戻り、また別の日に少し試す。
その積み重ねが、発達障害の子どもにとって無理のない遊びの広がりにつながります。
同じ遊びは、ことばややりとりを育てるきっかけにもなります。
子どもが好きな遊びであれば、見たい、触りたい、続けたい、もう一回やりたいという気持ちが表れやすくなります。
その気持ちを使うことで、要求する、選ぶ、まねる、待つ、交代するなどの経験につなげられます。
ことばを増やしたいとき、苦手な課題の中で言わせようとすると、子どもにとって負担が大きくなることがあります。
一方で、好きな遊びの中では、「もっと」「もう一回」「こっち」「赤」「車」「開けて」など、伝えたい気持ちが出てきます。
たとえば、シャボン玉が好きな子なら、すぐに吹かずに少し待ち、子どもが目で見る、手を伸ばす、声を出す、指さすなどの反応を見ます。
車遊びが好きな子なら、「赤と青、どっち?」と選べる場面を作ります。
ブロックが好きな子なら、「もう1個いる?」と聞いて、要求する経験につなげます。
発語を促したい場合は、まねっこ遊びで発語のきっかけを増やす方法も合わせて読むと、好きな遊びの中でことばを引き出す考え方が具体化しやすくなります。
同じ遊びばかりしている子どもは、一人で遊ぶ時間が長くなる子もいます。
一人遊びが悪いわけではありませんが、人との関わりを増やしたいときは、同じ遊びの中にまねっこや順番交代を入れます。
大人が子どもの動きをまねると、子どもは「見てくれている」と感じやすくなります。
子どもが車を走らせたら、大人も同じように車を走らせます。
子どもがブロックを積んだら、大人も横で積みます。
子どもが音を鳴らしたら、大人も同じ音を鳴らします。
子どもが大人の存在に気づいたら、次は「交代」を少しだけ入れます。
「今度はお母さん」「次は〇〇ちゃん」と短く伝え、待てたらすぐに子どもの番に戻します。
このような短いやりとりから、人と一緒に遊ぶ経験が育ちます。
同じ遊びが長く続く子どもは、終わり方が分からず、切り替えで崩れることがあります。
その場合は、遊びを急に終わらせるのではなく、終わりの合図を決めます。
「あと1回走らせたらおしまい」「このブロックを積んだら終わり」「タイマーが鳴ったら片付けよう」のように、終わりが見える形にすると、子どもは心の準備をしやすくなります。
最初から長い時間の切り替えを求める必要はありません。
短い遊びで終わり方を経験し、終わったあとに次の楽しい活動へつなげることで、「終わっても大丈夫」という感覚が育ちます。
遊びを終える場面で泣く、怒る、動けなくなることが多い場合は、切り替えが苦手な子どもへの支援アイデアも参考になります。
家庭で取り組める工夫はありますが、同じ遊びばかりが続き、生活や園での活動に影響が出ている場合は、児童発達支援や放課後等デイサービスで相談できます。
ゆめラボでは、子どもの好きな遊びを否定せず、その遊びの中にことば、やりとり、手先の動き、順番、模倣、切り替えなどの要素を入れながら支援を行います。
苦手なことを急に求めるのではなく、子どもが入りやすい活動から始めることで、「できた」「またやりたい」という経験につなげます。
児童発達支援では、子どもが何に興味を持っているのかを見ながら、療育の活動内容を組み立てます。
車が好きな子、電車が好きな子、数字が好きな子、絵本が好きな子、体を動かす遊びが好きな子など、興味の入口は一人ひとり違います。
ゆめラボの個別療育では、その子の好きなものを使いながら、必要な経験を少しずつ足していきます。
たとえば、車遊びの中で色を選ぶ、数を数える、順番に走らせる、トンネルを作る、先生と交代するなど、同じ遊びの中でも発達につながる場面を作ることができます。
遊びの幅を広げるときに大切なのは、苦手な遊びを押しつけないことです。
新しい遊びに入りにくい子どもに対して、「やってみよう」と何度も促し続けると、遊びそのものが負担になることがあります。
そのため、療育では子どもの反応を見ながら、活動の量や難しさを調整します。
最初は見るだけ、触るだけ、一緒に1回だけやるだけでも十分な経験です。
小さな成功を積むことで、子どもは「これならできるかもしれない」と感じられます。
家庭でも、完璧に遊びを広げようとしなくて大丈夫です。
昨日より少し見た、少し触れた、少し待てた、少し選べたという変化を見ていくことが、次の成長につながります。
療育でできたことを家庭でも続けるには、特別な教材や長い時間が必要とは限りません。
家庭の生活の中で続けやすい形にすることで、遊びを通した支援は続けやすくなります。
ゆめラボでは、療育の中で見られた子どもの反応や、入りやすかった遊び方、声かけの仕方を保護者の方と共有し、家庭の流れに合わせた関わり方を一緒に考えます。
「家ではこのおもちゃで試してみる」「お風呂前に1回だけ順番遊びを入れる」「寝る前の絵本で選択を入れる」など、日常の中で続けられる形に落とし込みます。
同じ遊びばかりする姿に悩んでいる場合でも、子どもの好きなことを入口にすると、家庭と療育の両方で支援がつながります。
発達障害の子どもが同じ遊びばかりする背景には、安心できる流れ、分かりやすいルール、感覚の心地よさ、新しい遊びへの入りにくさなどが関係しています。
同じ遊びをしているからといって、すぐにやめさせる必要はありません。
まずは、その遊びの中で子どもが何を楽しみ、何に安心しているのかを見るところから始めます。
そのうえで、使うものを1つ変える、順番を入れる、色や数を足す、選ぶ場面を作る、終わり方を決めるなど、小さな変化を加えていくことで、遊びは少しずつ広がっていきます。
好きな遊びは、ことば、やりとり、社会性、手先の動き、切り替えの練習につながるきっかけになります。
「同じ遊びばかりで心配」「家庭でどう関わればよいか分からない」「新しい遊びに誘うと嫌がる」と感じる場合は、ゆめラボに相談してみてください。
児童発達支援事業所ゆめラボでは、お子さまの興味や発達段階に合わせて、遊びを通した療育支援を行っています。
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