「ことばを増やしたいのに、何をすればよいかわからない」「つい何度も『言ってみて』と声をかけてしまう」「話してほしい気持ちが強くて、先に答えを言ってしまう」。ことばの伸びがゆっくりなお子さまを見ていると、保護者の方の中にこうした迷いが生まれます。
発語を促すために声をかけること自体が悪いわけではありません。ただ、毎回「言ってみて」と求める形になると、子どもによってはことばを出すことよりも、答えなければならない緊張の方が強くなりやすいです。
子どものことばは、正しく言わせる練習だけで増えていくものではありません。見たい、ほしい、もう一回やりたい、伝わってうれしい。そうした気持ちが動く場面の中で、声や身ぶりが少しずつ出やすくなっていきます。
児童発達支援事業所ゆめラボでも、子どもの療育を考えるときには、まず「ことばを出したくなる場面を増やすこと」を重視しています。
今回は、発達障害のあるお子さまや、ことばが遅い・発語がゆっくりと感じている未就学児の保護者の方に向けて、「言ってみて」に頼りすぎず、家庭で発語を促す待ち方・まね方・返し方を解説します。
INDEX
ことばが遅い子に関わるとき、保護者の方が「何とか言葉を引き出したい」と感じるのは自然なことです。けれど、発語を促す関わりでは、声を引き出すことだけに意識が向きすぎると、子どもがことばを使う前の気持ちや反応を見落としやすくなります。
特に、発達障害のあるお子さまや、やりとりのタイミングをつかむことが苦手なお子さまは、急に答えを求められると固まったり、視線をそらしたり、その場から離れる姿も見られます。これは反抗しているのではなく、どう返せばよいかわからない状態になっている場合もあります。
「これ何?」「言ってみて」「もう一回言えるかな」と続けて声をかけると、大人としては練習のつもりでも、子どもにはテストのように感じる子もいます。
ことばがまだ少ない子にとって、言葉の意味を考え、口を動かし、相手に伝えることは一度に多くの力を使う行動です。そこに「早く答えなければ」という空気が加わると、声を出す前に緊張が強くなってしまいます。
たとえば、車のおもちゃを見せて「これは何?言ってみて」と聞くよりも、車を走らせながら大人が「ぶー」と楽しそうに声を添える方が、子どもは参加しやすくなります。答えを求められる場面ではなく、同じ遊びに入れる場面になるからです。
発語を促す家庭での関わりでは、言わせる回数を増やすより、子どもが声を出してもよいと感じられる時間を増やすことが重要です。
ことばは、口から音が出る前に「伝えたい」という気持ちが動くことで使われやすくなります。ほしいものがある、もう一回遊びたい、驚いたことを共有したい、嫌だったことをわかってほしい。こうした気持ちがあるからこそ、子どもは声や身ぶりで相手に向かおうとします。
まだ単語が少ない段階でも、目で見る、手を伸ばす、声を出す、表情が変わる、同じ遊びをもう一度求めるといった反応が見られます。これらは、発語につながる前の見逃したくないサインです。
児童発達支援の療育では、単語の数だけではなく、目線、指さし、まねっこ、やりとりの続き方も見ていきます。
ことばの前段階について詳しく知りたい方は、模倣・共同注意・指差し要求を日常で育てる考え方も参考になります。
家庭で発語を促すときは、発音が正しいかどうかを最初から求めすぎない方が、家庭では続けやすくなります。はっきりした単語になっていなくても、「あ」「ん」「うー」のような声や、口の動き、息を出す反応が見られます。
そこで大人が「今、言おうとしたね」「あ、だったね」「ほしいんだね」と反応を返すと、子どもは自分の声や動きが相手に届いたと感じやすくなります。
発語の始まりは、きれいな言葉として出るとは限りません。好きなおもちゃに手を伸ばしながら声が出る、くすぐり遊びの前に笑い声が出る、絵本の同じ場面で同じ音を出す。こうした小さな反応を見逃さずに受け止めることが、家庭でできる療育の第一歩になります。
ことばが遅い子への家庭での関わりでは、言葉を教えようとする前に、子どもが自分から反応できる余白を作ることが大事です。
そのために意識したいのが、「待つ」「まねる」「返す」という流れです。大人が先に進めすぎず、子どもの反応を待つ。子どもの動きや声を大人がまねる。出てきた反応に意味をつけて返す。この流れが増えると、子どもは自分の表現が相手に届く経験を重ねやすくなります。
ことばが遅い子の中には、聞こえてから反応するまでに時間がかかるお子さまがいます。大人がすぐに次の言葉を足したり、先に答えを言ったりすると、子どもが反応する前に場面が終わってしまいます。
たとえば、お菓子の袋を開ける前に少し待つ、シャボン玉を吹く前に子どもの顔を見る、絵本の好きな場面でページを止める。こうした短い間を作ると、子どもが目を見る、手を伸ばす、声を出すなどの反応を出しやすくなります。
待つ時間は長くなくて構いません。数秒でも、大人が急がずに見ていると、子どもから伝える場面が生まれやすくなります。何も出なかったときは、責めたり言い直させたりせず、大人が短い言葉で場面を進めます。
この繰り返しによって、子どもは「自分が反応すると相手が気づいてくれる」と感じやすくなります。
発語を促すために、子どもにまねをさせることばかり考える必要はありません。むしろ最初は、大人が子どもの動きや声をまねるところから始める方が、やりとりが始まりやすくなります。
子どもが机をトントンしたら、大人も同じようにトントンする。子どもが「あー」と声を出したら、大人も同じ高さや長さで「あー」と返す。子どもが車を何度も走らせていたら、大人も横で同じように走らせる。
このように大人が子どもに合わせると、子どもは「自分のしていることを見てくれている」と感じやすくなります。安心してやりとりに入れるようになると、次は大人の動きや声を少しまねてみる流れが生まれやすくなります。
まねっこは、子どもに一方的に求めるものではなく、親子で同じ時間を作るための関わりです。
子どもが少しでも声を出したり、手を伸ばしたり、表情を変えたりしたときは、その反応にすぐ意味をつけて返します。
たとえば、子どもがジュースを見ながら「ん」と声を出したら、「ジュースほしいね」と返します。電車のおもちゃを見て「あ」と言ったら、「電車きたね」と返します。くすぐり遊びの前に笑ったら、「もう一回だね」と受け止めます。
ここで大事なのは、子どもの反応を正解か不正解で見ないことです。まだ言葉になっていなくても、相手に向かって出た声や動きは、発語につながる大事な表現です。
大人がすぐに意味を返すことで、子どもは「声を出すと伝わる」「伝わると楽しい」と感じやすくなります。家庭での短いやりとりの中でも、この経験を積み重ねることができます。
まねっこ遊びは、ことばを直接教えるためだけの遊びではありません。相手を見る、動きを合わせる、声を重ねる、同じことをもう一度楽しむ。こうしたやりとりを通して、発語の前に必要な力を育てやすい関わりです。
家庭で取り入れるときは、特別なおもちゃを用意する必要はありません。子どもが今見ているもの、触っているもの、何度も繰り返している遊びに大人が入るだけでも、ことばのきっかけは作れます。
最初からことばのまねを目指すと、子どもによっては難しく感じる子もいます。まずは、拍手、ばんざい、机をトントンする、ほっぺをさわる、ぬいぐるみにごはんをあげるなど、目で見てわかる動きから始めると入りやすくなります。
子どもが同じ動きを返してくれたら、はっきり同じ形でなくてもやりとりは成立しています。手が少し動いた、こちらを見た、笑った、もう一回待っていた。そうした反応も、まねっこ遊びの中では大事な参加です。
動きのまねが続くようになってきたら、そこに短い声を添えます。机をトントンしながら「トントン」、両手を広げながら「ばあ」、抱っこでぎゅっとしながら「ぎゅー」と言うように、動きと声を同時に見せると子どもは受け取りやすくなります。
ことばが遅い子にとって、長い言葉をすぐにまねるのは負担が大きくなりがちです。家庭で発語を促すときは、「ぶー」「ぴたっ」「どーん」「ぱくっ」「あっ」「ふー」など、短くて場面と結びつきやすい音から始めると使いやすくなります。
車を走らせながら「ぶー」、止まったら「ぴたっ」、積み木が倒れたら「どーん」、ぬいぐるみが食べる場面で「ぱくっ」。こうした音は、意味を説明しなくても遊びの流れで伝わりやすいです。
大人が楽しそうに同じ音を繰り返すと、子どもは音そのものをまねしやすくなります。発語を促す家庭療育では、言葉の練習に見せすぎず、遊びの中に声が自然に入る場面を増やすことが大切です。
ことばを育てる遊びを他にも知りたい方は、家庭でできることばを育む遊びも合わせてご覧ください。
子どもが「ぶー」と言えずに「うー」になったり、「ぱくっ」が「あっ」になったりすることがあります。そのときにすぐ言い直させるよりも、まずは反応として受け止めます。
「うー、車だね」「あっ、落ちたね」「もう一回したいね」と返すことで、子どもは自分の声がやりとりの中で使えたと感じやすくなります。
発語の初期は、言葉として完成していない音が多く出ます。そこに大人が意味を添えて返すことで、子どもは少しずつ音と場面のつながりを学んでいきます。
発達障害のあるお子さまや、ことばの伸びがゆっくりなお子さまの場合も、反応の出方は一人ひとり異なります。声だけでなく、視線、表情、手の動き、近づいてくる様子も含めて、その子なりの伝え方として受け止めることが家庭での関わりにつながります。
ことばの伸びには個人差があります。そのため、少し遅いように見えるだけで、すぐに発達障害と決める必要はありません。
一方で、家庭で関わりを続けていても不安が強いときや、ことば以外のやりとりにも気になる様子があるときは、児童発達支援事業所などに相談すると、お子さまに合った関わり方を考えやすくなります。
単語の数だけでなく、人との関わり方にも目を向けてみることが大事です。
名前を呼んでも振り向きにくい、目線が合いにくい、興味のあるものを指さして伝えることが少ない、大人の動きや声をまねる場面が少ない。こうした様子が続くときは、ことばの前段階でどこにつまずきやすいのかを確認する必要があります。
児童発達支援では、ことばそのものだけでなく、遊び方、人への注目、やりとりの続き方、感覚面や運動面も含めてお子さまの姿を見ていきます。家庭では気づきにくい反応が、療育場面で見えてくる場合もあります。
まねっこ遊びやごっこ遊びをしようとしても続かない、同じ遊びを一人で繰り返すことが多い、大人が入ると怒ったり離れたりする。こうした場合、遊びを広げる前に、その子が安心して人と関われる入り方を見つけることが必要です。
家庭では「どう遊びに入ればよいのか」「どこまで声をかけてよいのか」がわからなくなることがあります。
児童発達支援事業所ゆめラボでは、お子さまの興味や反応を見ながら、どのタイミングで声をかけると受け取りやすいか、どの遊びならまねっこにつながりやすいかを考えていきます。
家庭での関わりに迷う方は、子どもの言葉が遅いと感じたときの家庭での関わり方も参考にしてください。
ことばが遅い子への関わりでは、保護者の方が一人で悩みを抱え込んでしまうことがあります。
「声をかけた方がよいのか、待った方がよいのか」「言い直しはさせてもよいのか」「このまま様子を見てよいのか」。こうした迷いが続くと、家庭での関わりそのものが負担になってしまいます。
相談することは、すぐに利用を決めることではありません。今のお子さまの様子を一緒に見て、家庭でどのような関わりから始めるとよいかを考える機会になります。
言語療法や専門的な支援内容について知りたい方は、子どもの言葉の遅れに対する言語療法の考え方もご覧ください。
ことばが遅い子に対して、「言ってみて」と声をかけること自体が悪いわけではありません。ただ、それが毎回のように続くと、子どもによってはことばを出すことが楽しいやりとりではなく、答えを求められる場面になってしまうことがあります。
家庭で発語を促すためには、正しく言わせることよりも、子どもが伝えたい気持ちを持てる場面を増やすことが大事です。
数秒待つ、子どもの動きや声をまねる、出てきた反応に意味をつけて返す。こうした関わりを日常の中で重ねることで、声や身ぶりがやりとりにつながる経験が増えていきます。
まねっこ遊びも、ことばの練習として構えすぎる必要はありません。親子で同じ動きを楽しむ、短い音を添える、似た声が出たら受け止める。その積み重ねが、発語のきっかけになります。
発達障害のあるお子さまや、ことばの伸びがゆっくりなお子さまは、一人ひとり反応の出方が違います。うまく声が出ない日があっても、それだけで後退しているわけではありません。その子が伝えようとしている小さなサインを見つけながら、無理のないペースで関わっていくことが必要です。
ゆめラボでは、児童発達支援事業所として、ことばの遅れや発語の悩みに対して、お子さまの今の姿に合わせた療育と保護者支援を行っています。
「言ってみて」と言いすぎてよいのか迷っている方、家庭での関わり方を知りたい方、ことばの伸びについて相談したい方は、ぜひ児童発達支援事業所ゆめラボへお問い合わせください。
📞 電話:0120-303-519(平日10:00〜18:00)
📩 お問い合わせフォーム:https://yumelabo.jp/contact/
💬 LINE相談:https://page.line.me/648kqdcw
各教室の情報が満載!




お子さまの発達についてのご相談・見学のご予約はこちら
お悩みなど、お気軽にご相談ください