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療育コラム

2026.08.31

子どもが横目で物を見るのはなぜ?自閉症・ASDとの関係と相談の目安

 

お子さまがミニカーや電車のおもちゃを横目で見たり、顔を少し横に向けたまま物をじっと見たりすることが続くと、「なぜ正面から見ないのだろう」「自閉症の子に見られる行動なのかな」と気になることがあります。

 

横目で物を見る行動は、自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもに見られることがあります。物を通常とは違う角度から見る、視野の端で見る、動く部分を長く見続けるといった独特な見方をすることがあるためです。

 

ただし、横目で見るという一つの行動だけでASDと判断することはできません。子どもによって物の見方には違いがあり、斜視など目の状態が関係している場合もあります。

 

このページでは、児童発達支援事業所ゆめラボの視点から、子どもが横目で物を見る行動とASD・発達特性との関係、考えられる理由、家庭で見ておきたいポイント、眼科や発達相談を考えたい目安について解説します。

子どもが横目で物を見るのはASD・自閉症のサイン?

 

「横目で見る」という行動について調べると、自閉症やASDという言葉が出てくることがあります。

実際にASDのある子どもで独特な物の見方をすることはありますが、横目だけで自閉症と判断することはできません。

横目で見る行動だけで自閉症・ASDとは判断できない

子どもが物を横目で見ることがあっても、それだけで自閉スペクトラム症と判断することはできません。

 

ASDは、人とのやり取りやコミュニケーション、興味や行動の特徴、発達の経過などを含めて判断されます。横目の有無だけで判断するものではありません。

 

また、遊びの中でたまたま横から物を見ることや、興味を持った物をさまざまな角度から眺めることは、ASDのない子どもにもあります。まずは横目だけに注目せず、いつ、何を見ているときに起きるのかを確認します。

横目以外にも、目が合いにくい、呼びかけへの反応、人とのやり取りなどが気になる場合は、0〜1歳で気になる自閉症の特徴と初期サインも参考にしてください。

ASDの子どもでは横目など独特な物の見方をすることがある

ASDのある子どもの中には、顔を横に向けて視野の端で見る、物へ顔を近づけて見る、通常とは違う角度から長く眺めるといった見方をする子がいます。

 

研究でも、後にASDと診断された乳幼児では、物を普段とは違う角度から見る、周辺視野で見る、長く観察するといった独特な視覚探索が、そうでない子どもより多く見られたという報告があります。

 

ただし、こうした物の見方はASDを診断するための単独の基準ではありません。「横目で見ているからASD」と考えるのではなく、横目以外の発達の様子も含めて見る必要があります。

斜視など目の状態が関係して横目に見えることもある

横目で見る理由を考えるときには、発達特性だけではなく目の状態も確認する必要があります。

斜視などがある子どもでは、物を見るときに頭を傾けたり、顔を横へ向けたりすることがあります。見やすい方向へ顔を向けた結果、周囲からは横目で見ているように見える場合があります。

 

また、斜視に伴って弱視が生じることもあり、見た目だけでは気づきにくい場合があります。

いつも同じ方向へ顔を向ける、片目をつぶる、目の位置がずれて見える、物へ極端に近づくといった様子がある場合は、発達面だけで判断せず眼科へ相談してください。

ASD・発達特性のある子どもが横目で物を見るのはなぜ?

 

ASDや発達特性のある子どもが横目で物を見る理由は一つではありません。

同じように横目で見ていても、特定の角度や周辺視野から見ることを繰り返す場合、動きのある部分に強く注意が向いている場合、気に入った見方を何度も繰り返している場合などがあります。

周辺視野や普段と違う角度から物を見ることを繰り返すことがある

物を正面から見る場合と、視野の端で見る場合では、目に入る情報が異なります。ASDのある子どもでは、物を周辺視野や通常とは違う角度から繰り返し見る行動が報告されています。

 

たとえば、顔を少し横へ向けながらおもちゃを眺める、物を動かしながら視野の端で追うといった行動を何度も繰り返すことがあります。

 

ただし、なぜその見方を繰り返しているのかを家庭だけで特定することはできません。何を見ているときに横目になるのか、横目にしたあと何をしているのかまで合わせて確認します。

タイヤなど動く部分や光・影の変化をじっと見続けることがある

ASDのある子どもの中には、物全体よりも、動いている部分や細かな変化へ強く注意が向く子がいます。

 

たとえば、ミニカーそのものを見て遊ぶよりタイヤが回る部分を長く眺める、扇風機の羽の動きを見る、光や影の変化を繰り返し見るといった様子です。その際に、顔を横へ向けたり視野の端で見たりすることがあります。

 

こうした遊びがあるからといって問題とは限りません。確認したいのは、同じ見方ばかりが長く続いてほかの遊びに移りにくくなっていないか、人とのやり取りに入りにくくなっていないかという点です。

気に入った角度や見方を繰り返すことがある

子どもの中には、同じ物を同じ場所から見る、同じ動かし方をして眺めるなど、自分が気に入った見方を繰り返す子もいます。

ASDのある子どもでは、物の動かし方や見方を繰り返す行動が見られることがあります。その一つとして、決まった角度から物を見る行動が続く場合もあります。

 

ただし、「同じことを繰り返す=ASD」と判断するものではありません。横目を見る場面が限られているのか、日常のさまざまな場面で繰り返しているのかを見ていきます。

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子どもの横目が気になるときに見ておきたいポイント

 

横目を見かけたときは、すぐにやめさせるよりも、どのような場面で起きているのかを見ると相談するときの手がかりになります。

特に確認したいのは、見る対象、頻度や時間、横目以外の様子です。

どんな物を見るときに横目になりやすいか確認する

まず、何を見ているときに横目になっているのかを確認します。ミニカーのタイヤなど回転する物だけなのか、光や影を見るときなのか、テレビや動画なのか、遠くを見るときなのかによって考えられる背景は変わります。

 

また、動いている物だけを横目で追うのか、止まっている物でも同じ見方をするのかも見ておきたいところです。「横目で見る」という行動だけではなく、その直前に何を見つけ、どのように見ていたのかを確認します。

横目で見る頻度や時間が増えていないか確認する

たまたま一度だけ横からおもちゃを見た場合と、毎日のように長い時間繰り返している場合では意味が違います。以前から時々見られていたのか、最近になって急に増えたのか、一日に何度も行うのか、特定の遊びのときだけなのかを見ておきます。

 

横目で見る回数を細かく数える必要はありませんが、「ミニカーで遊ぶと毎回する」「最近はテレビを見るときも横を向くようになった」など、変化が分かる程度に覚えておくと相談時に伝えやすくなります。

横目以外にも発達や目の見え方で気になる様子がないか確認する

横目を見る行動が気になったときは、それだけでなく普段の生活でほかに気になる様子がないかも確認します。

 

発達面では、人との視線のやり取りや指差し、遊び方などに気になる点が重なっているかを見ます。目が合いにくい、指差しが少ないといった様子があっても、それぞれ一つの行動だけでASDを判断することはできません。

 

一方、目の見え方については、片目をつぶる、首を傾ける、顔をいつも同じ方向へ向ける、物へ近づいて見る、目の位置がずれて見えるといった様子がないかを確認します。

 

目で追う、探す、見比べるといった力については、発達が気になる子の「見る力」を育てる目の使い方でも紹介しています。

子どもが横目で見るときはどう対応する?相談の目安

 

横目を見ること自体をすぐに直そうとする必要はありません。

ただし、目の症状が気になる場合は眼科、横目以外にも発達面で気になる様子が重なっている場合は発達相談など、気になる内容に合わせて相談先を選びます。

横目を無理にやめさせたり、正面から見るよう何度も注意したりしない

子どもが横目で物を見ているたびに、「正面から見て」「横から見ないで」と何度も注意する必要はありません。

 

行動だけを止めても、本人の見え方や困りごとは分かりません。まずは何を見ているのか、どのくらい続くのか、遊びや生活に影響しているのかを確認します。

 

ただし、危険な場所へ顔を近づけるなどけがにつながる場合は、安全を優先して止めます。横目そのものを直すことと、安全を守ることは分けて考えます。

首を傾ける・片目をつぶる・目の位置がずれるときは眼科へ相談する

物を見るたびに首を同じ方向へ傾ける、顔を大きく横へ向ける、片目をつぶって見る、目の位置がずれて見えるといった場合には眼科へ相談してください。

 

子ども自身は「見えにくい」と言葉で伝えられないことがあります。特に幼児では、本人にとってその見え方が当たり前になっていると、自分から訴えないこともあります。

 

弱視は早い時期の発見が重要です。「発達特性なのかもしれない」と考えて眼科受診を後回しにせず、見え方に気になる様子があれば眼科で確認することが大切です。

横目以外にも発達面の気になる様子が重なるときは発達相談を考える

眼科で目の状態に大きな問題がなくても、横目で物を見る行動に加えて、人とのやり取りや遊び方、ことばなど発達面でも気になる様子が続いている場合には、発達相談を考えます。

 

相談するときには「横目をするから自閉症でしょうか」と行動一つだけを伝えるより、「どんな物を見るときに横目になるのか」「どのくらい続くのか」「ほかにどのような様子が気になっているのか」を伝えると、普段の姿を共有しやすくなります。

 

児童発達支援では、横目だけを直すのではなく、子どもが何に興味を持っているのか、どのように物を見て遊んでいるのか、人とのやり取りではどのような様子があるのかなど、普段の遊びや人とのやり取りも合わせて見ながら関わり方を考えていきます。

まとめ|子どもの横目だけで自閉症・ASDと判断せず見え方と発達の両方を確認しよう

 

子どもが物を横目で見る、顔を横へ向けて眺めるといった行動は、ASDのある子どもに見られることがあります。ただし、横目を見るという行動だけで自閉症と判断することはできません。

 

ASDや発達特性のある子どもでは、物を視野の端や普段と違う角度から見る「独特な視覚探索」が見られる場合があります。一方で、斜視など目の状態によって横を向いて見ることもあります。

 

横目が気になったときは、何を見ているときに起きるのか、どのくらいの頻度や時間なのか、片目をつぶる・首を傾けるなど目の見え方で気になる様子がないかを確認してください。

 

目の位置がずれる、片目をつぶる、いつも同じ方向へ顔を向けるといった様子がある場合は眼科へ相談します。目の状態に大きな問題がなく、横目以外にも人とのやり取りや遊び方など発達面で気になる様子が重なる場合には、発達相談や児童発達支援への相談を考えてください。

 

児童発達支援事業所ゆめラボでは、一つの行動だけで判断するのではなく、お子さまが何に興味を持ち、どのような見方や遊び方をしているのか、人とのやり取りではどのような様子があるのかを見ながら個別療育を行っています。横目で物を見ることに加えて、発達面にも気になることがある場合は、お近くのゆめラボへご相談ください。

 

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