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療育コラム

2026.06.01

家庭でできる療育:発達が気になる子の「見る力」を育てる目の使い方あそび

 

「絵本を見ていてもすぐに視線がそれる」「探し物がなかなか見つからない」「ボールを受け取るのが苦手」「シールを貼る位置がずれやすい」。発達が気になるお子さまの中には、遊びや生活の中で、目の使い方に関わる苦手さが見られることがあります。

 

ここでいう「見る力」は、視力だけの話ではありません。目で動きを追う、必要なものを探す、見た場所へ手を動かす、形や色を見比べる、相手と同じものを見るといった、生活や遊びの中で必要になる力を指します。

 

見る力が育ってくると、絵本を見る、パズルに取り組む、シールを貼る、ボールを追う、着替えで服の向きを見るなど、毎日の動きに取り組みやすくなります。反対に、見ることに負担があると、集中が続かない、不器用に見える、探すことをすぐにあきらめるといった姿につながる場合があります。

 

このページでは、児童発達支援事業所ゆめラボの視点から、発達が気になる子の「見る力」とは何か、家庭でできる療育として取り入れやすい目の使い方あそびを紹介します。

INDEX

発達が気になる子の「見る力」とは?家庭療育で育てたい目の使い方

 

発達が気になる子の「見る力」を考えるときは、視力の良し悪しだけで判断しない視点が必要です。物が見えていても、動くものを目で追い続けること、たくさんある中から必要なものを探すこと、見た位置に手を合わせることが苦手な子もいます。

 

もちろん、目を細める、極端に近づいて見る、片目を隠すと嫌がる、よくぶつかるなどの様子がある場合は、視力や目の状態について医療機関で確認することも大切です。そのうえで、家庭や児童発達支援の場では、日常の遊びを通して目の使い方を育てていきます。

見る力は視力だけでなく目で追う・探す・合わせる力です

見る力には、動くものを目で追うこと、必要なものを見つけること、見た場所へ手や体を動かすことが含まれます。たとえば、転がるボールを目で追って手を出す、絵本の中から動物を見つける、シールを丸の中に貼るといった動きには、目の使い方が関わっています。

 

大人にとっては簡単に見える遊びでも、子どもの中では、見る、判断する、手を動かすという流れが起きています。この流れがうまくつながりにくいと、遊びへの入りにくさや不器用さとして見えることがあります。

 

家庭で取り入れる療育では、難しい課題を用意するよりも、子どもが楽しめる遊びの中で「よく見る」「目で追う」「見つける」「合わせる」経験を増やすことが大切です。

見落としやすい子は探し物や片付けで困りやすくなります

見る力に苦手さがある子は、探し物が見つからない、絵本の細かい部分に気づきにくい、パズルの向きを合わせにくい、片付ける場所を見つけにくいなど、生活の中で困る場面が増えやすくなります。

 

「ちゃんと見て」と言われても、子ども本人は見ていないつもりではない場合があります。視線をどこに向ければよいのか、どの範囲を見ればよいのか、何を手がかりに探せばよいのかが分からず、困っていることもあります。

 

そのため、家庭では「よく見て」と言うだけではなく、「赤い丸を探そう」「上の段を見てみよう」「右の箱に入っているよ」のように、見る場所や探す手がかりを伝えると動き出しやすくなります。

目で見た場所に手を動かせると遊びや身支度にもつながります

見る力は、手先の動きとも深く関係しています。目で見た場所へ手を伸ばす、形を見ながら向きを合わせる、手元を見ながら細かく動かすといった経験は、遊びだけでなく身支度にもつながります。

 

たとえば、ボタンを見ながら留める、靴下の向きを見る、スプーンで食べ物をすくう、紙の上にシールを貼るといった動きにも、目と手の協応が関わっています。

 

目で見た場所に手を合わせられると、子どもは「できた」と感じやすくなります。うまくできないことを責めるのではなく、見やすい位置に置く、動きをゆっくり見せる、手を出すタイミングを待つなど、子どもが目を使いやすい場面を作ることが大切です。

見る力が育ちにくい子に見られやすいサイン

 

見る力に苦手さがある子の様子は、家庭の中では「落ち着きがない」「集中しない」「不器用」「探すのが苦手」と見えることがあります。ただし、その背景には、目で情報を追うことや、必要なものを見分けることへの負担が隠れている場合があります。

 

ここでは、家庭や園生活で見られやすい様子を紹介します。当てはまる数よりも、お子さまがどの場面で困りやすいのかを見ることで、家庭での遊び方や声かけを考えやすくなります。

絵本やおもちゃを目で追い続けにくい子がいます

絵本を読んでいるとすぐ別の方向を見る、動くおもちゃを最後まで目で追わない、ボールが転がっても途中で見失うといった姿が見られることがあります。この場合、興味がないだけではなく、目で追い続けることが負担になっている場合があります。

 

動くものを目で追う力は、急に育つものではありません。最初は、速く動くものよりも、ゆっくり動くものの方が見やすい子が多くいます。大人が目の前でおもちゃを動かすときも、左右に速く動かすより、ゆっくり短い距離から始める方が追いやすくなります。

 

絵本を見るときも、ページ全体を一度に見ることが難しい子には、指で絵を示しながら「ここに犬がいるね」「赤い車が走っているね」と伝えると、見る場所が分かりやすくなります。

探し物や間違い探しに時間がかかる子がいます

おもちゃ箱の中から必要なものを探せない、同じ絵を見つけるのに時間がかかる、間違い探しをすぐにあきらめるといった様子も、見る力と関係していることがあります。

 

たくさんのものがある中から一つを見つけるには、見る範囲を決めること、形や色を比べること、必要な情報に目を向け続けることが必要です。これが苦手な子にとって、物が多い場所から探すことは大きな負担になります。

 

家庭では、最初から難しい探し物をさせるのではなく、少ない数から始めます。たとえば、三つのカードの中から同じ絵を探す、机の上に置いた二つのおもちゃから赤い方を選ぶなど、見つけやすい場面を作ることで、探す経験を積み重ねやすくなります。

手元を見ながら動かしにくく不器用に見える子がいます

シールを貼る場所がずれる、型はめの向きが合わない、ひも通しで穴を見つけにくい、ブロックを重ねると崩れやすいといった姿は、手先だけの問題ではないことがあります。

 

手元を見ながら動かすには、目で位置を確認し、手をその位置へ合わせる必要があります。目と手の動きがつながりにくいと、本人は一生懸命やっていても、不器用に見えることがあります。

 

こうした姿があるときは、細かい作業を何度も練習させるよりも、見やすい大きさ、持ちやすい道具、合わせやすい位置から始めます。成功しやすい形から始めることで、子どもは手元を見る経験を積みやすくなります。

家庭でできる療育として取り入れたい目で追うあそび

 

目で追うあそびは、見る力を育てる家庭療育として始めやすい遊びです。特別な教材がなくても、家にあるおもちゃ、ボール、風船、シャボン玉などを使って始められます。

 

大切なのは、子どもが見やすい速さと距離で始めることです。大人が楽しそうに見せながら、子どもが目で追えた瞬間を一緒に喜ぶことで、「見ようとする気持ち」が育ちやすくなります。

ゆっくり動くおもちゃを目で追う練習から始めます

はじめに使いやすいのは、子どもの目の前でおもちゃをゆっくり動かす遊びです。車のおもちゃ、ぬいぐるみ、光るもの、音が出るおもちゃなど、子どもが興味を持ちやすい物を使います。

 

動かす距離は短くてかまいません。子どもの顔の前で左右に少し動かし、「こっちに行ったね」「今度はこっちだよ」と声をかけます。目だけで追うのが難しい場合は、顔ごと向いても大丈夫です。まずは、動くものに気づき、最後まで見ようとする経験を作ります。

 

速く動かすと見失いやすくなるため、大人が思っているよりゆっくり動かします。子どもが追えたら、少し距離を伸ばしたり、上下の動きを入れたりして、無理なく見る範囲を広げていきます。

シャボン玉や風船で視線を上下左右に動かします

シャボン玉や風船は、目で追うあそびに使いやすい素材です。動きがゆっくりで、形や色の変化もあり、子どもが自然に目を向けやすくなります。

 

シャボン玉を見るときは、「上に行ったね」「消えたね」「大きいのがあるね」と短く声をかけます。子どもが指をさしたり、目で追ったり、手を伸ばしたりしたら、その動きを言葉にして返します。

 

風船は、落ちる速さがゆっくりなので、目で追って手を出す経験につながります。大人が軽く上に投げて、子どもが目で追う、手で触る、もう一度大人に渡すという流れにすると、見る力に加えて、やりとりの楽しさも感じやすくなります。

 

視線や指さしを使ったやりとりについては、発達障害の子どもの「共同注意」を育てる療育遊び:指差し・見て・まねしてでも紹介しています。

転がるボールを見て取るあそびで目と体をつなげます

ボールを転がして取る遊びは、目で追う力と体の動きをつなげる遊びです。投げるよりも、床の上でゆっくり転がす方が見やすく、取り組みやすくなります。

 

最初は近い距離で、大人から子どもへまっすぐ転がします。子どもが見て手を出せたら、「見て取れたね」と具体的に伝えます。慣れてきたら、少し横に転がす、トンネルの下を通す、箱に入れるなど、遊び方を増やします。

 

ボールを取れなかったときに、「ちゃんと見て」と言う必要はありません。速すぎたのか、距離が遠かったのか、物が多くて見にくかったのかを見直し、次は取りやすい条件に変えてみます。

探す力を育てる家庭あそびと声かけの工夫

 

探す力は、日常生活の中でよく使います。おもちゃを探す、靴下を見つける、絵本の中から好きなものを見つける、同じ色を探すといった場面で必要になります。

 

探すことが苦手な子には、最初から広い範囲を探させるのではなく、見つけやすい範囲を作ることが大切です。見つけられた経験が増えると、子どもは「探してみよう」という気持ちを持ちやすくなります。

同じ絵や色を探すあそびで見る範囲を広げます

同じ絵や色を探すあそびは、家庭で取り入れやすい見る力の練習です。カード、積み木、ブロック、シール、絵本などを使って、「同じ赤はどれかな」「同じ車を探そう」と声をかけます。

 

最初は、選択肢を少なくします。二つや三つの中から探すことで、子どもが見比べやすくなります。慣れてきたら、少し数を増やしたり、似ている色や形を混ぜたりしていきます。

 

子どもが見つけたら、「赤を見つけたね」「同じ車だったね」と、何を見つけたのかを言葉にします。見つけた行動を言葉にすることで、子どもは自分がどこを見て、何に気づいたのかを感じやすくなります。

宝探しあそびで見る・探す・見つける経験を増やします

宝探しあそびは、遊びながら探す力を育てる活動です。小さなおもちゃやカードを部屋の中に置き、「青い車を探そう」「くまさんはどこかな」と声をかけます。

 

最初は、見えやすい場所に置きます。クッションの上、テーブルの端、箱の中など、子どもが探しやすい場所から始めます。見つけることが続くと、子どもは探す遊びに入りやすくなります。

 

見つからないときは、すぐに答えを教えるのではなく、「机の近くを見てみよう」「上の方にあるよ」のように、見る場所を少しだけ伝えます。探す範囲を狭めることで、子どもが自分で見つける経験につながります。

見つけた場所を言葉にして空間の理解にもつなげます

探す力を育てるときは、見つけた場所を言葉にすることも役立ちます。「箱の中にあったね」「机の下にあったね」「右の棚にあったね」と伝えることで、見る力と空間の理解がつながります。

 

空間を表す言葉は、生活の中でもよく使います。上、下、中、横、前、後ろといった言葉が分かると、片付けや身支度、園での指示理解にもつながりやすくなります。

 

子どもが言葉で答えられなくても、大人が代わりに言葉にしてかまいません。「ここにあったね」と指をさしながら伝えることで、見る場所と言葉を結びつけやすくなります。

目と手を合わせる力を育てる家庭あそび

 

目と手を合わせる力は、遊びや生活動作を進める土台になります。手先が不器用に見える子でも、見やすい位置や扱いやすい素材を使うことで、取り組みやすくなることがあります。

 

ここでは、家庭で取り入れやすいシール貼り、型はめ、洗濯ばさみ、ひも通し、積み木やブロックの遊びを紹介します。どの遊びも、できる形から始めることが大切です。

シール貼りや型はめで目で見た位置に手を動かします

シール貼りは、目で見た場所に手を動かす練習になります。最初は小さいシールではなく、大きめでつまみやすいシールを使います。貼る場所も、細かい枠ではなく、大きな丸や四角の中から始めます。

 

「ここに貼って」と言うだけでは分かりにくい場合は、大人が指で場所を示します。子どもが少しずれて貼ったとしても、まずは見た場所へ手を動かそうとしたことを認めます。

 

型はめは、形を見比べる力と手を合わせる力を使います。うまく入らないときは、「違うよ」と言うよりも、「くるっと回してみよう」「角を合わせてみよう」と、見るポイントを伝えます。

洗濯ばさみやひも通しで指先と見る力を一緒に使います

洗濯ばさみを紙皿や箱のふちにつける遊びは、指先の力と見る力を一緒に使う活動です。どこにつけるのかを見て、手の力を調整しながら動かします。

 

最初は、開きやすい洗濯ばさみを使います。硬いものを使うと、見ることよりも指の力に意識が向きすぎてしまいます。子どもがつけやすい位置に紙皿や箱を置くことも大切です。

 

ひも通しは、穴を見る、ひも先を見る、手を動かすという流れが必要です。初めは大きな穴の素材を使い、ひも先が見えやすい色のものを選びます。通せたときは、「穴を見て通せたね」と、見る力に触れながら声をかけます。

 

手先の活動や机上課題の考え方については、机上療育ってどんなことをするの?でも紹介しています。

積み木やブロックで見比べながら形を合わせる経験を作ります

積み木やブロックは、形や向きを見比べながら手を動かす遊びです。同じ形を探す、同じ高さに積む、見本と同じように並べるといった活動は、見る力と手の動きをつなげます。

 

最初から複雑な見本を作る必要はありません。大人が二つ積んで見せて、子どもが同じように二つ積むだけでも十分です。慣れてきたら、色を合わせる、形を合わせる、横に並べるなど、少しずつ見るポイントを増やしていきます。

 

ブロック遊びでうまくはまらないときは、子どもの手元が見えやすいように置く向きを変えます。大人が先にゆっくり見本を見せると、子どもは目で確認しながらまねしやすくなります。

見る力を育てる家庭療育は楽しい遊びの中で少しずつ続けましょう

 

発達が気になる子の見る力は、視力だけではなく、目で追う、探す、見比べる、見た場所へ手を動かすといった目の使い方と関係しています。生活の中で見落としが多い、探すことが苦手、手元の作業が不器用に見えるときは、見る力の負担が関係している場合があります。

 

家庭でできる療育としては、ゆっくり動くおもちゃを目で追う、シャボン玉や風船を見る、同じ色や絵を探す、宝探しをする、シール貼りや型はめをするなど、遊びの中で目を使う経験を増やす方法があります。

 

大切なのは、難しい課題として取り組ませることではありません。子どもが楽しいと感じられる遊びの中で、見つけられた、目で追えた、手を合わせられたという経験を重ねることです。

 

一方で、極端に近づいて見る、片方の目を使いにくそうにする、よくぶつかる、文字や絵を見ると強く疲れるなどの様子がある場合は、目の状態について医療機関に相談することも大切です。そのうえで、発達面や生活面の困りごとが続く場合は、児童発達支援事業所に相談することも選択肢になります。

 

ゆめラボでは、発達が気になるお子さまや発達障害のあるお子さまに対して、一人ひとりの特性に合わせた個別療育を行っています。見る力、手先の使い方、遊びへの入り方、身支度につながる動きなども、お子さまの様子に合わせて支援しています。

 

「探し物が苦手」「目で追う遊びが続かない」「手元を見ながら動かすことが苦手」「家庭でどんな遊びを取り入れればよいか分からない」と感じている保護者さまは、ゆめラボへご相談ください。見学や個別相談では、お子さまの様子をうかがいながら、ご家庭で試しやすい形でお伝えします。

 

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