お子さまが「ぼ、ぼ、ぼくね」と同じ音を繰り返したり、話し始めようとしても言葉がなかなか出てこなかったりすると、「これってどもりなのかな」「しばらく様子を見ても大丈夫?」と気になる保護者の方もいらっしゃいます。
幼児期に始まる吃音の多くは「発達性吃音」と呼ばれ、特に言葉が大きく増える2〜4歳ごろに始まりやすいことが知られています。話しやすい日と詰まりやすい日があり、一度落ち着いたように見えてから再び目立つこともあります。
一方で、どもりが長く続く、言葉を出そうとすると顔や体に力が入る、本人が話すことを嫌がるといった様子がある場合には、「そのうち治るだろう」と待ち続けるのではなく、言語聴覚士など吃音について相談できる専門家に相談することも考えます。
このページでは、児童発達支援事業所ゆめラボの視点から、幼児の吃音に見られる話し方、発達障害との関係、どのようなときに相談した方がよいのか、家庭で子どもが話すときにどのように接すればよいのかを解説します。
子どもが言葉を繰り返したり、話の途中で止まったりする姿があると、すべてが吃音なのではと感じることがあります。
しかし、幼児が話しながら言葉を考えて言い直すことと、吃音に見られる話し方は同じではありません。
吃音には、主に三つの症状があります。「ぼ、ぼ、ぼく」のように言葉の最初の音や一部を何度も繰り返す話し方は「連発」、「ぼーーく」のように一つの音を長く伸ばす話し方は「伸発」と呼ばれます。
もう一つは、話そうとしているのに最初の音がなかなか出てこない「難発」です。本人は話し始めようとしているものの、口元に力が入ったまま言葉が出なかったり、数秒たってからようやく言葉が出たりします。
どの症状が強く出るかは子どもによって違います。また、同じ子でも毎回同じようにどもるわけではありません。家では目立つのに園ではあまり出ない日もあれば、よく話す場面ほど繰り返しが増えることもあります。
幼児期に始まる吃音の多くは「発達性吃音」と呼ばれます。特に、単語だけでなく二語文や三語文を使い始め、話す内容が急速に増えていく2〜4歳ごろに始まりやすいことが知られています。
それまで普通に話していた子が、ある時期から突然「き、き、きょうね」のように繰り返し始めることもあります。そのため保護者からすると、「何か嫌なことがあったのでは」「自分の接し方が原因だったのでは」と感じることがあります。
しかし、発達性吃音は保護者の育て方や、子どもを叱ったことだけが原因で起こるものではありません。生まれ持った体質的な要因に、言語・認知・運動が大きく発達する時期の要因などが関係して始まると考えられています。
幼児は、自分が伝えたい内容を考えながら話しています。そのため、「きのう、じゃなくて今日ね」のように途中で言い直したり、「えーっと」「あのね」と考える間を置いたりすることがあります。
「ぼく、ぼくがね」のように単語全体を繰り返すこともあります。このような話し方は幼児期の会話でも見られるもので、言葉の最初の音を細かく繰り返す、音を伸ばす、話そうとしても音が出ないといった吃音の特徴とは分けて考えます。
家庭だけで吃音かどうかを確かめようとして、何度も言い直させる必要はありません。どのような場面で出やすいか、繰り返しなのか、引き伸ばしなのか、言葉が出ない状態なのかを見ておくと、専門家へ相談するときにも伝えやすくなります。
吃音について調べると「発達障害」という言葉を目にし、「どもるということはASDやADHDなの?」と心配になる方もいます。厚生労働省では、吃音(症)も発達障害に含まれるものとして示されています。
ただし、吃音とASDやADHDは同じものではありません。
子どもに吃音があるからといって、それだけで自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)と判断することはできません。
ASDでは、人とのやり取りやコミュニケーション、興味や行動の特徴などを含めて見ていきます。ADHDでは、不注意、多動性、衝動性によって家庭や園など複数の場面で生活に支障が出ているかを確認します。どもりだけを見て判断するものではありません。
一方で、吃音とASDやADHDを併せ持つ子どももいます。その場合には、吃音だけを見るのではなく、本人がどのような場面で話しにくいのか、普段のコミュニケーションや園生活でどのような困りごとがあるのかも合わせて見ていく必要があります。
発達性吃音は、まだ単語がほとんど出ていない時期よりも、言葉が増えて文章で話せるようになってくる時期に始まりやすい特徴があります。
たとえば、以前は「くるま」「ママきた」と短く話していた子が、「きょう保育園でね、○○ちゃんと遊んで、それからね」と長い出来事を説明し始める時期があります。伝えたい内容が増えるほど、一度に組み立てる文も長くなります。
この時期に吃音が始まったからといって、言葉の発達そのものが遅れているとは限りません。むしろ、語彙が増え、より長い文章で話そうとする時期にどもりが目立つこともあります。
吃音だけが気になる子もいれば、言葉の数が少ない、質問された内容を理解しにくい、自分の気持ちを言葉にしにくい、人との会話が続きにくいなど、ほかの困りごとが一緒に見られる子もいます。
この場合には、「どもらず話せるようにすること」だけを目標にするのではなく、言葉の理解、伝える力、相手とのやり取りなど、その子が普段どこで困っているのかを見る必要があります。
発音、言葉の理解、語彙、会話など吃音以外のことばの発達についても気になる場合は、子どもの言語療法で行う支援内容についての記事も参考にしてください。
幼児の吃音では、「何歳までなら様子を見てもいい」「何か月続いたら必ず治療する」と一律に決めることはできません。
自然に目立たなくなる子が多い一方で、就学後まで続く子もいるためです。
発達性吃音は、幼児期に始まったあと自然に目立たなくなる子が多く、国立障害者リハビリテーションセンターでは7〜8割ほどが自然に治るとされています。
また、幼児の吃音には波があります。先週までは何度も繰り返していたのに今週はほとんど気にならない、しばらく落ち着いていたのに急にまた目立ち始めるといった変化があります。数日間だけの増減で治った、悪化したと判断するのではなく、ある程度の期間を通して話し方の変化を見る必要があります。
様子を見るときに確認したいのは、何か月続いているかだけではありません。最初は「ぼ、ぼ、ぼく」のような軽い繰り返しだけだったのに、次第に言葉が出るまで長く止まるようになった、話すときに力が入るようになったといった変化も見ます。
幼児吃音臨床ガイドラインでは、年少組までは経過観察的な支援を基本とし、年中組では積極的な介入の開始を検討、年長組では積極的な介入の開始を推奨しています。ただし、吃音が強くなっている、話すときに苦しそうな様子がある、本人が吃音を強く気にしているといった場合には、年齢だけで判断せず相談を考えます。
どもり始めて間もなくても、保護者が接し方に迷っている、園での対応を相談したい、症状が強くなっていると感じる場合には、その時点で言語聴覚士などに相談してください。
話し始めるときに顔をしかめる、口や首に強く力を入れる、足を踏み鳴らすなど、言葉を出そうとして体に力が入る様子が増えているときは相談を考えたい状態です。
また、「話せないから言いたくない」「人前では話したくない」など、本人がどもることを気にして話す場面を避け始めている場合にも、長く様子を見る必要はありません。
吃音は、話し方だけで重さを判断できないことがあります。どもる回数が多くなくても、本人が強く気にしている場合があります。反対に、よく繰り返していても本人は気にせず楽しそうに話していることもあります。どもる回数だけではなく、本人が話すことをどう感じているかも見ることが大切です。
子どもがどもっていると、「落ち着いて」「もう一回言ってみよう」「ゆっくり話して」と声をかけたくなることがあります。
しかし、家庭でまず意識したいのは、子どもの話し方をその場で直すことではありません。
子どもが「き、き、きょうね」と言葉を繰り返していても、子どもの言葉を先取りせず、話し終えるまで待ちます。
そのときに大人が注目するのは「上手に言えたか」ではなく、子どもが何を伝えようとしているかです。「今日ね、○○ちゃんと遊んだ」と話せたら、「○○ちゃんと遊んだんだね」と話の内容に応じて返します。
最後まで聞いてもらえる経験が続くと、子どもは「どもっても話を聞いてもらえる」と感じやすくなります。言葉が詰まるたびに大人の表情が変わったり、言い直しを求められたりすると、自分の話し方を必要以上に意識するきっかけになることがあります。
「ゆっくり話して」という言葉は、大人にとっては子どもを助けるための声かけです。しかし幼児自身が、意識して発話の速さや言葉の出し方を調整することは簡単ではありません。
子どもへ話し方を直すよう求めるより、大人側が少しゆったりした速さで話し、文と文の間に間を取ります。質問を立て続けに重ねるのではなく、一つ聞いたら子どもの返事を待つ時間を取ります。
兄弟が同時に話している家庭では、「次は○○ちゃんの番ね」と話す順番をつくることも役立ちます。子どもが急いで話し始めなくても聞いてもらえる環境にすると、会話そのものへの負担を減らせます。
子どもがどもるたびに「今また詰まったよ」「今日は多いね」と指摘し続ける必要はありません。家庭では、どもらないことを目標にするより、「伝えたいことを安心して話せること」を大切にします。
一日の中で短い時間でも、テレビを消し、スマートフォンを置いて、子どもが選んだ遊びをしながら一対一で話せる時間をつくる方法があります。その時間は質問攻めにせず、子どもが話したときに大人が応じるくらいでも十分です。
また、本人から「なんで言葉が出ないの?」と聞かれたときまで吃音の話題を避ける必要はありません。「言葉がつっかえることがあるね」「急がなくても聞いているよ」と伝え、本人が感じている話しにくさを否定せずに受け止めます。
吃音ではなく、言葉そのものがなかなか増えない、伝えたいことを言葉にすることが難しいという悩みが中心の場合は、子どもの言葉が遅いと感じたときの家庭での関わり方もあわせてご覧ください。
子どもが同じ音を繰り返す、音を長く伸ばす、話そうとしても言葉が出てこないといった様子は、吃音に見られる主な特徴です。幼児期に始まる吃音の多くは発達性吃音で、自然に目立たなくなる子も多くいます。
吃音があるだけでASDやADHDと判断することはできません。一方で、吃音に加えて言葉の理解や発語、人とのやり取りなどにも気になる様子がある場合には、吃音だけを切り取らず、その子のコミュニケーション全体を見ることが必要です。
家庭では、どもったときに言い直させたり、毎回「ゆっくり話して」と求めたりするより、子どもの話したい内容を最後まで聞き、大人がゆったり話せる環境をつくります。どもりが長く続いている、言葉を出すときに力むようになった、本人が話すことを嫌がっているときは、言語聴覚士など吃音について相談できる専門家に相談してください。
児童発達支援事業所ゆめラボでは、言葉の数や話し方だけではなく、お子さまがどのように気持ちを伝えているか、人とのやり取りでどこに困っているかを見ながら支援を行っています。
吃音に加えて、言葉の遅れやコミュニケーションなど発達面にも気になることがある場合は、お近くのゆめラボへご相談ください。
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