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療育コラム

2026.01.26

絵本を読んでも聞いてくれない子へ|発達が気になる子の読み聞かせと療育の工夫

 

「絵本を読もうとしても、すぐにどこかへ行ってしまう」「ページをめくるばかりで話を聞いていないように見える」「質問しても答えず、反応が少ない」と感じることはありませんか。

 

読み聞かせは親子でゆったり過ごせる時間ですが、発達が気になるお子さまの場合、始めてもすぐに離れてしまったり、思うように進まなかったりすることがあります。

 

最後まで座って聞けない、同じページばかり見たがる、絵本を閉じてしまう、質問されると固まってしまう。そんな姿が続くと、「読み聞かせが合っていないのかな」「ことばの発達に影響があるのかな」と不安になる保護者の方も少なくありません。

 

けれど、絵本の読み聞かせは、最後まで静かに聞くことだけが目的ではありません。

 

見る、指差す、笑う、ページをめくる、好きな絵に戻る。そうした反応の中にも、ことばやコミュニケーションにつながる手がかりがあります。

 

このページでは、児童発達支援事業所ゆめラボの療育の視点から、絵本を読んでも聞いてくれない、反応が少ない、質問に答えにくいお子さまへの読み聞かせの工夫をご紹介します。

絵本を読んでも聞いてくれないのはなぜ?発達が気になる子に多い背景

 

絵本を読んでいる途中で立ち歩いたり、別のおもちゃに向かったりすると、大人は「聞いていない」と感じやすいものです。

 

ただ、発達が気になるお子さまの中には、絵本そのものが嫌いなのではなく、絵本の見方や聞き方がまだその子に合っていない場合があります。

 

大人が想定している読み方と、子どもが受け取りやすい読み方が合っていないと、途中で離れる、反応しない、ページを飛ばすといった姿につながることがあります。

 

まずは「なぜ聞いてくれないのか」と責めるのではなく、どんな場面で離れやすいのか、どのページには目が向くのか、どんな声かけには反応しやすいのかを見ることが、関わり方を変える第一歩になります。

最後まで座って聞くことだけが読み聞かせではありません

絵本の読み聞かせというと、子どもが座って、大人の声を聞きながら、最初から最後までページを追う場面を思い浮かべる方が多いかもしれません。

 

けれど、発達が気になるお子さまにとって、その形が最初から合うとは限りません。

 

体を動かしながら聞くほうが落ち着く子もいれば、気になるページだけをくり返し見たい子もいます。話の流れよりも、絵の一部分や音の響きに強く惹かれる子もいます。

 

大人から見ると「ちゃんと聞いていない」と感じる場面でも、子どもなりに絵本の一部を受け取っていることがあります。

 

最初は一冊を読み切ることよりも、「このページを見た」「この言葉に反応した」「大人の声で少し振り向いた」といった姿を拾うほうが、絵本の時間を続けやすくなります。

絵の細かさや文章の長さが合わないと離れやすい

絵本に集中しにくいときは、絵の情報量、音の響き、物語の展開の速さが負担になっている場合もあります。

 

絵が細かすぎると、どこを見ればよいのかわかりにくい子がいます。文章が長いと、耳から入る情報を追い続けることが負担になる子もいます。

 

また、ページをめくるたびに場面が変わる絵本では、気持ちが追いつかず、途中で興味が切れてしまうこともあります。

 

反対に、同じ言葉がくり返される絵本や、絵がはっきりしている絵本、音のリズムが楽しい絵本では、視線や笑顔、声などの反応が出ることもあります。

 

絵本を聞いてくれないと感じるときは、子どもの集中力だけでなく、絵本の内容や読み方が今のお子さまに合っているかも見ていきましょう。

反応が少なくても見ている・聞いているサインがあります

絵本を読んでも返事がない、笑わない、質問に答えないと、「興味がないのかな」と感じるかもしれません。

 

しかし、反応が目立たなくても、絵や声を受け取っていることはあります。
 

たとえば、目線が一瞬だけ絵に向く、同じページに戻ろうとする、大人の声が止まるとこちらを見る、好きな場面で体が少し前に出るといった姿は、絵本に関心が向いているサインです。

 

言葉で答えることがまだ難しい時期や、質問されると緊張しやすいお子さまでは、表情や姿勢、手の動きに反応が出ることがあります。

 

「答えたかどうか」だけで判断せず、どんな反応が出ていたかを見ると、絵本の時間をやりとりの場に変えやすくなります。

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発達が気になる子に合う絵本の選び方

 

絵本の読み聞かせを続けるには、読み方だけでなく、絵本選びも大きく関わります。

 

大人が「読ませたい」と思う絵本と、子どもが「見たい」「触りたい」「もう一回」と感じる絵本は、必ずしも同じではありません。

 

発達が気になるお子さまの場合、年齢だけで絵本を選ぶよりも、今どんなものに反応しやすいか、どれくらいの長さなら見ていられるか、どんな音や絵を好むかに合わせるほうが、読み聞かせが始めやすくなります。

 

無理に難しい絵本へ進める必要はありません。まずは、子どもが自分から見ようとする絵本から始めると、大人とのやりとりも生まれやすくなります。

短い言葉と絵がはっきりした絵本から始める

絵本を聞いてくれないときは、文章が短く、絵が見やすいものから始めると、目線や指差しが出るきっかけになります。

 

一文が長い絵本や、背景まで細かく描かれた絵本は、大人には魅力的に見えても、子どもにとっては情報が多すぎることがあります。

 

「りんご」「わんわん」「ねんね」など、見たものと短い言葉がつながりやすい絵本であれば、絵とことばを結びつけやすくなります。

 

大人が読む量を減らして、絵を指差しながら短く言うだけでも、読み聞かせは成立します。

 

最初から文章を全部読もうとせず、その子が見ている絵に合わせて短く言葉を添えると、絵本の時間が負担になりにくくなります。

くり返しや音のリズムがある絵本は参加しやすい

同じ言葉が何度も出てくる絵本や、音のリズムが楽しい絵本は、発達が気になるお子さまでも参加しやすいことがあります。

 

くり返しがあると、次に出てくる言葉を予測しやすくなります。「また同じ言葉が出てきた」という安心感があることで、子どもが声を出したり、笑ったり、ページをめくるタイミングを覚えたりしやすくなります。

 

まだ言葉でまねできなくても、同じリズムで体を揺らす、口の形だけ動かす、同じページで笑うといった反応が出ることもあります。

 

その反応に大人が気づいて返すことで、絵本は「聞かされる時間」ではなく、「一緒に楽しむ時間」へ変わっていきます。

子どもの好きなものから選ぶとやりとりが広がります

絵本への興味を引き出すには、子どもの好きなものから選ぶのが近道です。

 

電車が好きな子なら電車の絵本、動物が好きな子なら動物が出てくる絵本、食べ物に興味がある子なら食べ物の絵本から始めると、目線や指差しが出やすくなります。

 

好きなものが出てくると、子どもは自分からページを見たり、手を伸ばしたり、大人の声に反応したりしやすくなります。

 

その場面で「電車だね」「速いね」「もう一回見る?」と短く返すことで、好きなものを通したやりとりが生まれます。

 

絵本を選ぶときは、知育になるかどうかだけでなく、その子が「見たい」と思えるかどうかを見てあげると、読み聞かせが続きやすくなります。

絵本を聞いてくれない子への声かけと質問の工夫

 

絵本の読み聞かせで質問を入れると、子どもは見る、聞く、考える、伝えるという流れを経験できます。

 

ただし、質問が多すぎたり、答えにくい形だったりすると、子どもはかえって黙ってしまうことがあります。

 

特に発達が気になるお子さまは、「どうして?」「何が起きたの?」といった質問にすぐ答えることが難しい場合があります。

 

読み聞かせ中の質問は、正しい答えを引き出すものではなく、子どもが絵本に参加するきっかけとして考えると使いやすくなります。

「どっち?」など答えやすい質問にする

質問に答えにくいお子さまには、最初から自由に答える質問をするより、選びやすい形にすると反応が出やすくなります。

 

「これは何?」と聞かれると答えられなくても、「ねこかな?いぬかな?」と選ぶ形なら、指差しや視線で返せることがあります。

 

「どっちが食べたい?」「どこにいるかな?」「こっちかな?」といった短い質問は、子どもが参加しやすい入り口になります。

 

言葉で答えられなくても、見た、指を伸ばした、笑った、ページに触れたといった反応があれば、その場で「こっちだね」と返してあげると、やりとりが続きやすくなります。

 

質問は、答えを迫るためのものではありません。子どもが返しやすい形にして、「伝わった」と感じられる経験を増やすことが大切です。

指差しや視線に合わせて短く返す

読み聞かせ中に子どもが絵を見たり、指を伸ばしたりしたときは、その反応に合わせて短く返すとやりとりが生まれやすくなります。

 

大人が質問したい内容を先に決めるより、子どもが見ているものに合わせたほうが、視線や指差しが返ってきやすくなります。

 

たとえば、子どもが車の絵をじっと見ていたら、「くるまだね」「赤いね」「走ってるね」と短く言葉を添えます。

 

まだ指差しが出ていない場合でも、大人が「ここにいるね」と指を添えながら見せることで、どこに注目すればよいかがわかりやすくなります。

 

指差しや共同注意そのものについて知りたい方は、療育で伸ばす言語前スキル|模倣・共同注意・指差し要求を日常で育てるも参考になります。

気持ちや場面の質問は慣れてから入れる

絵本に少し慣れてきたら、登場人物の気持ちや場面の変化にふれる質問を入れていくこともできます。

 

ただし、「この子はどんな気持ち?」と聞かれてすぐに答えるのは、子どもにとって難しい場合があります。

 

そのため、最初は大人が気持ちを言葉にして見せるほうが、子どもも場面を追いやすくなります。

 

「びっくりした顔だね」「泣いてるね」「うれしいのかな」と、大人が絵を見ながら短く言うことで、子どもは表情や場面に目を向けやすくなります。

 

答えを求めすぎず、「そう見えたんだね」「ここを見ていたんだね」と返すことで、子どもは安心して反応を出しやすくなります。

絵本に興味が続かないときの関わり方

 

絵本に興味が続かないと、「集中力がないのかな」「読み聞かせを嫌がっているのかな」と感じることがあります。

 

ただ、興味が続かないように見える背景には、話の流れを追う難しさ、じっと座る負担、音や絵の刺激の受け取り方が関係している場合があります。

 

絵本の時間は、長く続けるほどよいわけではありません。

 

短い時間でも、子どもが見た、反応した、大人と同じものに目を向けたという経験があれば、それはことばやコミュニケーションの育ちにつながります。

途中で閉じても反応が出たページを覚えておく

読み聞かせの途中で絵本を閉じる、別のページに戻る、急に立ち上がるといった姿があっても、それだけで失敗ではありません。

 

子どもがどの場面で見たのか、どのページで手が止まったのか、どんな言葉に少し反応したのかを見ることで、次の関わり方が見えてきます。

 

一冊を最後まで読むことにこだわりすぎると、大人も子どもも絵本の時間が苦しくなりやすいです。

 

今日は一ページだけ見た、同じ絵を何度も見た、ページをめくることだけ楽しんだ。そんな日があってもかまいません。

 

その中で「ここ好きだったね」「もう一回見る?」と返していくと、絵本に戻るきっかけを作れます。

ページをめくる前に少し待つ

読み聞かせでは、上手に読むことよりも、少し待つほうが子どもの反応を拾いやすい場面があります。

 

ページをめくる前に一呼吸置くと、子どもが絵を見直したり、次のページを期待したり、自分から手を伸ばしたりしやすくなります。

 

大人がすぐに読み進めると、子どもの小さな反応に気づきにくくなることがあります。

 

反対に、短い間をつくることで、視線が動く、表情が変わる、ページをめくろうとする、声が出るといった反応が見えやすくなります。

 

「次は何かな」「めくってみる?」と短く声をかけるだけでも、読み聞かせは大人だけが進める時間ではなく、子どもも参加できる時間になります。

日常の中で絵本と同じ言葉をつなげる

絵本で見た言葉は、日常の場面とつながることで、子どもにとって意味を持ちやすくなります。

 

絵本で「くるま」を見たあとに、外で車を見つけたら「絵本と同じくるまだね」と声をかけることができます。

 

食べ物の絵本を見たあとに、食事の場面で「バナナあったね」とつなげることもできます。

 

絵本の中だけで終わらせず、生活の中で同じ言葉や場面に出会うことで、ことばの理解が広がりやすくなります。

 

ことばのやりとりを家庭で増やしたい方は、子どもの言葉が遅いと感じたら?家庭でできる5つの関わり方をご紹介もあわせてご覧ください。

絵本の読み聞かせを療育につなげる家庭でのポイント

 

絵本の読み聞かせは、家庭で取り入れやすい関わりのひとつです。

 

ただ読むだけでなく、子どもの視線に気づく、指差しに返す、反応を待つ、好きな場面をくり返すことで、ことばやコミュニケーションの土台につながります。

 

発達が気になるお子さまの場合、読み聞かせを「正しくできているか」で見るよりも、その子がどんな形なら参加しやすいかを見ることが大切です。

 

絵本を通して生まれた小さなやりとりは、療育の中でも大切にしたい経験です。

指差し・視線・共同注意を無理なく育てる

絵本の時間は、大人と子どもが同じものを見る経験をつくりやすい場面です。

 

大人が絵を指差して「ここにいるね」と言う、子どもが見た絵に「見つけたね」と返す、同じページを一緒に見ながら笑う。こうしたやりとりは、共同注意の育ちにつながります。

 

共同注意とは、大人と子どもが同じものに目を向け、その場面を共有する力のことです。ことばを覚える前の時期にも、コミュニケーションの土台として大切な力です。

 

指差しをすぐに求める必要はありません。まずは、大人が指差しの見本を見せること、子どもの視線に合わせて返すことから始めると、無理のない関わりになります。

 

共同注意を遊びの中で育てたい方は、発達障害の子どもの「共同注意」を育てる療育遊び:指差し・見て・まねしても参考になります。

発語が少ない時期は表情や動作も返事として見る

絵本を読んでも言葉で返ってこないと、不安になることがあります。

 

しかし、発語が少ない時期でも、子どもは表情や動作で反応していることがあります。

 

好きなページで笑う、身を乗り出す、絵に触れる、同じページを開こうとする、大人の声をまねて口を動かす。こうした姿は、ことばになる前の大事な反応です。

 

大人がその反応に気づいて「そこが好きなんだね」「もう一回見る?」と返すことで、子どもは自分の反応が相手に伝わったと感じやすくなります。

 

発語のきっかけを家庭の遊びの中で増やしたい方は、家庭でできる療育|まねっこ遊びで発語のきっかけを増やす方法をご紹介!もご覧ください。

家庭だけで悩まず児童発達支援に相談する

絵本を読んでもまったく見ようとしない、呼びかけへの反応が少ない、指差しや視線のやりとりがなかなか増えないと感じるときは、家庭だけで抱え込まなくても大丈夫です。

 

読み聞かせがうまくいかない背景には、ことばの理解、感覚の受け取り方、注意の向け方、模倣や共同注意の育ちなど、いくつかの要素が関係していることがあります。

 

児童発達支援では、お子さまの様子を見ながら、どのような関わり方が合いやすいかを一緒に考えることができます。

 

ゆめラボでも、絵本や遊びを通して、見る、聞く、まねる、伝えるといった力を育てる個別療育を行っています。

 

「絵本を読んでも反応が少ない」「質問すると固まってしまう」「ことばのやりとりを増やしたい」と感じるときは、早めに相談することで、ご家庭での関わり方も見つけやすくなります。

まとめ|絵本を聞かない・反応が少ないときもゆめラボにご相談ください

 

絵本を読んでも聞いてくれない、反応が少ない、質問に答えないという姿があると、保護者の方は不安になりやすいものです。

 

けれど、読み聞かせは最後まで座って聞くことだけが目的ではありません。

 

一瞬見る、指を伸ばす、好きなページに戻る、声のリズムに反応する。こうした姿は、ことばが出る前のやりとりとして見ていくことができます。

 

大切なのは、子どもに合う絵本を選び、短い声かけを入れ、反応を待ち、出てきたサインに返していくことです。

 

児童発達支援事業所ゆめラボでは、お子さま一人ひとりの発達や特性に合わせて、絵本や遊びを通した個別療育を行っています。

 

「うちの子にはどんな読み聞かせが合うのかな」「絵本に興味が続かないけれど大丈夫かな」「家庭でどんな声かけをすればよいのかな」と感じたときは、お気軽にご相談ください。

ゆめラボでは、教室で見られた反応をもとに、ご家庭で取り入れやすい読み聞かせや声かけも一緒に考えていきます。

 

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